10人に1人が産後うつ!なりやすい人/ならない為の予防法2つ
無事に出産を迎え、ほっとしたのもつかの間。
「なんだか体調が優れない」
「気分が落ち込む日がある」
もしかしたらそれは産後うつの傾向かもしれません。
今や10人に1人が産後うつともいわれ、多くの人が不安を抱えています。
「どんな人がなりやすい?」
「対処法はある?」
など、産後うつについてご紹介します。
1.産後うつってなに?
産後うつは、赤ちゃんが生まれておよそ1ヶ月くらいからあらわれるうつ症状のことをいいます。
気力がなくなり食事も摂れないなど、体や心に不調があらわれます。
産後うつとマタニティーブルーが混同されることがありますが、一般的にマタニティーブルーは数週間で治まる一過性のものをいいます。
産後うつは本人が自覚しづらく、長期にわたるケースが多いのが特徴です。
2.産後うつになりやすい人
産後うつは誰もがなる可能性があるものです。
しかし、なりやすい人となりにくい人がいるのは事実。
産後うつになりやすいといわれているのは、
・まじめで几帳面な人
・何事にも一生懸命な人
・核家族などまわりに頼れる人がいない
・義家族と同居するなどストレスがある人
などが挙げられます。
手を抜くのが苦手で、なんでも全力で取り組む人は、産後うつになりやすい傾向にあるようです。
また夫が育児に非協力的で頼るところがない人も、産後うつになりやすいといわれています。
3.心と体にどんな症状がでるの?自分でできるうつチェック!
産後うつは自分で気づくことが難しいといわれていますが、何をしてもうまくいかないと感じたら、もしかしたら産後うつかもしれません。
ここでは産後うつの症状と、うつチェックについてご紹介します。
①産後うつの症状
産後うつの症状は個人差が大きく、この症状があれば産後うつ、という判断をするのは難しいのです。
一般的に産後うつの症状とされているのは、
・赤ちゃんのお世話をする気力がない
・育児に自信が持てない
・食欲がない
・眠れない
などが挙げられます。
症状が悪化すると
・消えてしまいたい
・起き上がれない
・お世話ができなくなる
といった症状がみられることも。
②産後うつチェック
「もしかして産後うつ?」
と思ったら、「エジンバラ産後うつ病質問票」で産後うつチェックをしてみましょう。
1.笑うことができたし、物事の面白い面もわかった
(0)いつもと同様にできた
(1)あまりできなかった
(2)明らかにできなかった
(3)全くできなかった
2.物事を楽しみにして待った
(0)いつもと同様にできた
(1)あまりできなかった
(2)明らかにできなかった
(3)全くできなかった
3.物事が悪くいった時、自分を不必要に責めた
(3)はい、たいていそうだった
(2)はい、時々そうだった
(1)いいえ、あまり度々ではなかった
(0)いいえ、全くそうではなかった
4.はっきりとした理由もないのに不安になったり、心配した
(0)いいえ、そうではなかった
(1)ほとんどそうではなかった
(2)はい、時々あった
(3)はい、しょっちゅうあった
5.はっきりとした理由もないのに恐怖に襲われた
(3)ほとんどそうではなかった
(2)はい、時々あった
(1)はい、しょっちゅうあった
(0)いいえ、そうではなかった
6.することがたくさんあって大変だった
(3)はい、たいてい対処できなかった
(2)はい、いつものようにはうまく対処しなかった
(1)いいえ、たいていうまく対処した
(0)いいえ、普段通りに対処した
7.不幸せなので、眠りにくかった
(3)はい、ほとんどいつもそうだった
(2)はい、ときどきそうだった
(1)いいえ、あまり度々ではなかった
(0)いいえ、全くそうではなかった
8.悲しくなったり、惨めになった
(3)はい、たいていそうだった
(2)はい、かなりしばしばそうだった
(1)いいえ、あまり度々ではなかった
(0)いいえ、全くそうではなかった
9.不幸せなので、泣けてきた
(3)はい、たいていそうだった
(2)はい、かなりしばしばそうだった
(1)ほんの時々あった
(0)いいえ、全くそうではなかった
10.自分自身を傷つけるという考えが浮かんできた
(3)はい、かなりしばしばそうだった
(2)時々そうだった
(1)めったになかった
(0)全くなかった
9点以上で産後うつの可能性が高いと考えられています。
もし不安を感じたら、出産をした産科などの医療機関に相談しましょう。
4.産後うつの予防にとっておきたい栄養
現在では産後うつを予防する十分なエビデンスがないものの、妊娠中や産後に貧血傾向にある女性は、産後うつにやりやすいといわれています。
他にも栄養不足も指摘されているため、バランスよく栄養を摂ることが大切です。
特に意識的に摂取したいのが、
・鉄分
・ビタミンB群
・ビタミンD
・葉酸
・オメガ3脂肪酸
などが挙げられます。
5.産後うつの予防に妊娠中に整えたい環境
産後うつは、もともとの性格もありますが、産後の環境も要因のひとつ。
産後うつにならないために、妊娠中に産後の環境を整えておくのも予防になります。
・両親などのサポートが受けられるか
・子どもを預けられる場所の確保
・パートナーとの役割分担
・相談できる場所を把握しておく
・ネットスーパーなどの手配
いい意味で「ママが手を抜ける」環境を作っておくことが、産後うつの予防になりますよ。
6.産後うつの対処法
もしも産後うつになってしまったら、より悲しい気持ちになってしまうかもしれませんね。
ここでは3つの対処法について見ていきましょう。
①赤ちゃんと一緒に寝る
睡眠不足が産後うつの原因のひとつと考えられています。
とはいえ、赤ちゃんが生まれると昼夜関係なく授乳が必要で、必然的に寝不足になってしまいますよね。
赤ちゃんが寝ている間に家事や趣味に時間を使いたいところですが、赤ちゃんが寝たら自分も寝る、という習慣をつけるのがおすすめ。
休めるときにしっかり休むことが大切です。
②何もしない日を作る
がんばることは良いことですが、がんばりすぎるのは産後うつにとってマイナスになってしまいます。
産後はホルモンバランスのせいで、心も体もいつもより疲れやすくなっています。
1週間に1度は、何もしない日を作ってゆっくり過ごすのもおすすめ。
ちょっとくらい掃除をしなくたって、すぐに病気になるわけではありません。
食事もパートナーに買ってきてもらったり、冷凍食品をうまく活用したり、上手に手を抜くことをがんばりましょう。
③規則正しい生活を心がける
うつ傾向に陥ってしまうと、朝起きられなかったり夜眠れなかったり、不規則な生活になりがちです。
しかしこれが悪循環となり、改善を遅らせてしまうかもしれません。
早起きをする必要はありませんが、朝は決まった時間に起きて朝日を浴びる、夜は決まった時間になったら寝室に行くなど、規則正しい生活が大切です。
食事も3食きちんと摂ることを意識しましょう。
7.まとめ
産後うつは誰もがなる可能性があるものです。
慣れない育児で、想像以上にハードな毎日が続きますから、上手に手を抜きながら休息をとることが、産後うつの一番の予防になるはず。
もし産後うつになってしまったら、パートナーなど周りの理解は必須です。
人を頼ることは決して悪いことではありません。
妊娠中に、子どもや家庭のことを相談できる場所を見つけておくと、産後不安を感じた時にも安心ですね。
助産師/高木奈美
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