卒業式の後悔。お母さんごめんね。
今思い出すと、
母の気持ちを考えて泣けてきてしまう。
自分勝手なひどい娘だったなって、
後悔の思い出話です。
◇
今週は街のあちらこちらで
袴姿やスーツ姿の若い方々をよく見かけます。
昨朝も、仕事場までの途中にある国際会館前に、
多くの卒業生らしき若者が集まっていました。
そこには大階段があって、
絶好の写真スポットになっています。
そりぁ、華やかなこと!
許されるなら私も写真に収めたかった。
朝からとてもいい気分にさせて頂きました。
ただ、ふと気づいたのが
親御さんの姿がほとんどないことです。
ご時世的に仕方ないですが、
親の立場からすればどれだけやるせないでしょうね。
*
短大の卒業式。
成人式で買ってもらった振袖に袴を合わせて出席しました。
髪もキレイにセットしてもらって、
仲良しグループで申し合わせて集合して、
皆でお互いを褒め称えあって、
たくさん写真を撮って。
それは昨日のことのように覚えている
人生でもトップ5に入るくらいテンション高い日でした。
私は卒業生代表として、
壇上に上がり答辞を読むことになっていました。
でも実家は遠かったし、
両親とも働いていたし、
私は「来なくていい」と言っていました。
今日は憧れの袴姿で、
卒業式が終わったら街中の注目を浴びながら友達とランチして、
その後は彼氏とふたりだけで幸せな時間を謳歌する予定でした。
つまり、その日のスケジュールはパンパン。
式が終わって、
学校の門を出て、
さあみんなで街に繰り出そうとした時、
花道のようになっていた卒業生の親達の集団の中にいるはずのない母の顔を見つけたのです。
目が合ったとき、母も驚いていました。
まさかこの人数の中で、こんな早々に見つけられるとは思っていなかったのでしょう。
ぱあっと笑顔になって、人波をかき分けて駆け寄って来ました。
カメラを手に持って。
一方私は…
「なんで来てるの??」
って、迷惑そうな第一声。
親が来ている友人達はすでに別行動をしていたから、
ここにいるのはみんな親が来ていない、
“私たちだけ”で行動すること前提で集まっていたんです。
だから突然の親登場にみんなも戸惑っていました。
「一緒にご飯食べに行ったら?」と言ってくれる子もいましたが、
いやいや、それは私の予定ではないの。
今日はお母さんと過ごすことにはなってないの!
「何しに来たの?」
的なひどいことも言った気がします。
母の表情はみるみる曇って、
「せっかく答辞も読むんやし、娘の卒業式やもん見たいやん。そんな迷惑そうに…」
嫌がっていることが伝わったみたいでした。
でも、私の心情はそれどころではありません。
友人達は少しずつ距離を取って
気を遣い始めていました。
このままでは置いて行かれる。
私は母を気遣う余裕などなく、
「で、なに?写真?」
母の手にあるカメラにさっさと仕事をさせれば離れられると思い、構えさせて、私の袴姿を撮らせました。
一緒に撮るという発想なんてまるでありません。
「じゃあ、私行くし」
少し先に行っていた友人達に追いつきたくて、
さっさと母に背を向けました。
たぶん
対面していた時間は2~3分です。
*
いま当時に戻れるなら、
走る私の首根っこ取っ捕まえて、
その両頬をひっぱたいてやりたい。
もう往復ビンタです。
母は急遽仕事が休めたんでしょう。
電車を乗り継ぎバスに揺られ、
何時間もかけて来てくれた。
携帯など持っていない時代だったので
会えるかどうかは分からないのに、
晴れ姿で壇上に上がる娘を見に駆けつけてくれた。
そもそも、
2年間何百万円ものお金をかけて
勉強させてくれて、生活させてくれて、
その日着ていた着物だって全て両親のお金です。
その日の私の価値は
すべて両親の愛情で出来上がっていたのに。
わずか数分で袴姿の娘に背を向けられた時の母の思いたるや
いかがなものだったのか…。
当時のなるよ。
その追いかけた友人達と
その後付き合いが続くとでも?
一秒でも早く会いたかった彼氏。
そいつ後々浮気するよ?
私を本当に愛してくれていた人は誰か。
どうして“その時”には分からないんでしょうね…。
人生でも特に、若さという熱気に最高潮に当てられた1日だったから、仕方ないとも思います。
でもそれにしたって
あまりにひどい仕打ちじゃないですか…。
思い出すと、
情けなくて申し訳なくて、
未だに涙が出ます。
でも
母にあの時のことを聞いたことはないです。
あまりの申し訳なさにきっと泣き出してしまいそうで…。
いつか、
謝れたらいいな…。
もし、これを二十歳そこそこの学生さんが読んで下さったなら、反面教師にして欲しいです。
親への非礼は後悔します。
照れくさくても、親御さんの笑顔を崩すような態度は取っちゃダメだよ。
最後に、
卒業生の皆さん。
ご卒業おめでとうございます。
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