「エッセイの書き方」について私なりに考えてみた。
さくらももこさんのエッセイに魅せられた朝井リョウさん。
…のエッセイに魅せられた、moonです。
お二人の紡ぐ文章を読んでいると、まるで文字が、言葉が踊っているように見えます。
こんなにも、可笑しくて、面白くて、生きていると感じられる文章が
他にあるだろうか、と。
大好きな作家さんたちの小説とは別の顔がのぞけるエッセイが私は大好きです。
三浦しをんさん、吉本ばななさん、能町みね子さん、ジェーン・スーさん…
正直、あげたらキリがないですが、「私たちが普段生きている世界線をこんなにも言葉巧みに表現ができるなんて!」「人生の解像度高すぎる!」と読むたびに感嘆のため息が漏れてしまいます。
そんな私も、ライターの端くれ。やはり、すっばらしい文章に触れたら、どうしても自分でも何か書きたくてうずうずしてしまうんです。
最近ありがたいことに、「moonさんは、どんなふうにエッセイを書いていますか?」という質問をいただくことが何度かありました。
完全に、作家の先生たちの足元どころか足底にも及ばないのですが、今日は、そのあたりには目を瞑っていただき、完全に私の考える「エッセイの書き方」について書いてみようと思います。
エッセイとは何なのだろうか。
そもそもエッセイには2種類あるようでして…
・人間の内面について深く切り込んだもの
・自分の体験をもとに、独特に表現したもの
に分けられるようです。
いずれにせよ、エッセイを書くうえで大切になってくるのは、ただの日記ではなく、そこにある程度の情報や、読者にとっての何かしらの学びや発見があること、心をつきうごかす要素を入れ込むことなのかなと、常々思っています。
同じ「カレー」について書いたnoteでも
「神保町の専門店のカレーが美味しかったからまた行きたい」といった内容であれば、完全に個人の日記になりますが、
「神保町さぼうるのカレーを食べながらふと、カレーの歴史に思いを馳せてみた」
という内容であれば、自分の体験を織り交ぜながら、カレー好き読者にも刺さるようなエッセイに仕上げることができますね。
普通の日記であれば、有名人でない限り多くの方に読んでもらえない可能性もありますが、少しの工夫で、一般人が書いたとしてもかなり読まれる記事にすることも可能です。この辺りは、偏愛を極めた人が書けば書くほど面白いものになっていきます。(たまにマツコデラックスのテレビに出てくるような、「365日チーズケーキ生活をしてる会社員」とかそういう人ですね。笑)
ちなみに、たとえ日記の形態であったとしても、「神保町さぼうるのカレーを100日間食べてみた」という形に変えてみるだけで、興味や好奇心をそそられ、「100日!どういうこと!」とクリックしてしまうので、もはや何を持ってエッセイと言うのか、は書き手よりも読み手に委ねられているのかも…しれません。
moonはこんなふうにエッセイを書いています。
1:エッセイを仕込むためのスパイス探し
書くために大事なのは、経験することであると、これは常々思っておりまして。
水野学さんの描かれた「センスは知識から始まる」という有名な本があります。
エッセイを書くことができる人は、「興味深い経験を言語化できる人」というイメージがあるかもしれませんが、私はそれだけではないと思うのです。
それどころか、面白いエッセイ文章を書いたり表現するために必要不可欠なのは、「日々の人生に対する探究心や好奇心に尽きる」と言えるかと思います。
水野さんも、「センスは生まれつきではなくて、知識をインプットすることで誰でも会得可能」だと本書でおっしゃっています。
毎日をただ淡々と過ごしてしまうのではなく「今日は1駅手前で降りて歩いてみよう」「今日はお風呂を右足ではなく、左足から入ろう」といった、小さな変化(インプット)を積み重ねていくことで、「センス」は醸成されるとのこと。
まさにエッセイを書くためのスパイスは、こうした日常生活に変化を加える努力の賜物なのでしょう。
いいエッセイは、「いつもと違う毎日」から始まる。のかもしれませんね。
2:タイトルで惹きつけたい
noteで書くエッセイであれば、このタイトルとサムネイルだけで読まれるかどうかは9割ほど左右されるといえるでしょう。
その時、よく言われるのは、先ほどのカレー「100日」のように具体的な数値を入れ込むといい」ということや、「〜〜してみた」という体験系が良いということですかね。
個人的には、ハウツー本ではないので、「〜〜する方法」などではなく、
「一体どういうこと!?」と思わせる、思わず「え!?」となってしまうようなタイトルの方がおすすめではあります。
タイトルをつけるためのコツは様々です。この辺りは、正直いろんな本で勉強しながら、少しずつ私も実践していますが、気合を入れて作ったタイトル、サムネよりも、ゆるさ100%で書いてUPした記事の方が読まれたりするのでなんとも言えないですね。笑
ひとまず、一つ言えるのは、惹きつけることばかりにとらわれすぎず、
最低限は「その記事に何が書いてあって、誰に読んでほしいのか」ということがパッとみてわかることは大事なのかなと思っています。
3:ターゲット選定、イメージ選定は侮らない!
この記事は誰に読んでほしいのか、どんな感じの雰囲気にしたいのか、は初めに決めてしまうのが吉です。
私はいつもエッセイを書くときは、「ふんわり柔らか系」にしたいので、あえて話し言葉を交えつつ、ひらがなや改行を多めに用いてあたたかい雰囲気を心がけています。
自分の気持ちを吐露する、ぶっちゃけた記事を書くときは、逆に丁寧語をやめたりもしています。
ちなみに、想定読者=(ターゲット)となる人は、架空の人物でなくても構いません。
「失恋して落ち込んでいる友人」とか「カレー好きの弟」とか、誰か特定の人に絞ってしまっても良いのです。
結果的には、狭くした方が「刺さる」文章になることだってあるのです。
「いろんな人に見てほしい」というぼやっとしたターゲティングだと、それは結果として「誰にも見てもらえない」という結末になってしまうことがあるので、そこだけ気をつけています。
エッセイを書くうえで私がこだわっていること
1:書き出しにこだわりまくる。
エッセイの書き方は原則自由です。が、この書き出しの一文こそに、エッセイの旨みが詰まっていると私は思っています。
同じカレーについて書くというものでも、
「今日はカレーについて書いてみようと思う。」よりも、
「思えば、2023年、カレーのことを考えない日は1日もなかった」の方が、惹きつけられる要素は大きいかなと思うのです。
私は、書き出しの一文は、タイトルに相当すると考えているくらい、エッセイの要だと認識しています。自己紹介から始めてしまうなんて、本当に勿体無い。
ぜひ冒頭から「あなたワールド」にひきこんでみてほしいなと思っています。
2:具体的エピソードを織り交ぜる。
エッセイで大切なのは、あなたの体験が「リアル」に感じられるようにすること。
味わいや香りなど、なかなか文章だけでは伝わりづらいことを、どうにかこうにか
あなたの頭の中の辞書をめいいっぱい使って言語化することで、「あなたの思っているイメージ」がそのままに伝わることができます。
その際に、ありきたりの表現より難解な表現を使えばいいのか、というとそうでもありません。誰も知らないような四字熟語を並べられてもイメージはしづらいのです。
ただ、「素晴らしい味だった」というような「すごい」「エモい」「半端ない」といった描写に逃げるのではなく、漢字辞典などを用いてよりその「素晴らしい」を表現できる別の言葉がないか検索してみてほしいなと思います。
3:共感か驚きを持たせる。
できるだけ具体的な店や駅の名前を出したりすることにより「あるある」を狙うという手法は、結構おすすめです。
全国チェーンのお店など(ガストとかサイゼリアとか)での会話シーンであれば、そこで高校生たちが、いろんなドリンクを混ぜ込んで大笑いしていた、大人たちが真剣な顔をしてまちがえ探しをしていた、などと書くだけで、「あれね!」「あの時、私もそれはまったな〜」などと伝わり、自分もそのエッセイに入り込んだような気持ちになれるはずです。これは具体的であれば具体的であるほどいいです。メニュー名を書いたり、その駅の描写を入れたり。
逆に、他の人ができないようなレアな経験を書くことで「!?」という驚きを与えることも、エッセイの醍醐味。海外旅行や、珍事件、自分の周りにいる面白い人についての描写など、独自の視点や考え方などを入れ込みながら面白おかしくそれらを語ることで、読者も追体験できるような錯覚に陥るのです。
まとめ
エッセイは自由です。もちろん多くの人に読んでもらうためにはいくつか心がけた方がいいかなと思うことはあるのですが、それ以上に「自分自身が自分の文章を好きでいる」ということは、そのエッセイの価値を何倍にも高めることと思います。
書いて書いて、書きまくって。
それが誰かにとって意味のあるものであろうとなかろうと、どんどん世界に発信していく。
そこからあなたなりのエッセイが形作られていくのではないでしょうか。
これをご覧になった方が、少しでも「何か書いてみるかな」と思っていただけたらならば、これほど嬉しいことはありません。
書くことへの喜びをこれからも。
私自身が忘れずに、書き続ける人生を送りたいと思っています。
『ベストセラー作家になる』これが私の夢です。40歳までに形にします。もし、「エッセイ、よかった!」「頑張れ!moon!」と思っていただけたら、温かなサポートをお願いします!有名になって「あの時サポートしたんだ!」と思ってもらえるようにいたします✨(強気!笑)