必要としたときに、音楽があった
影響を受けた音楽。
絶対何かあるだろうと思って筆を取ったけど、どんなに記憶を辿ってみても……それらしきものが思い当たらない。(おやおや)
音楽によって自分が変わるというよりも、言うなれば自分がその曲を必要としているときに偶然にも出会い、必要な養分を受け取って自分の中に取り込んできたというような感じかも。
もしそこまで拡大解釈してこのnoteを書いてみてもいいのなら、このままつづらせてほしい。
失恋の果てに……『元気を出して』
親世代の曲は割と好きだ。
定期的にテレビで特集が組まれる昭和の名曲ランキングとかでいろんな情報を仕入れては、社会人時代には上司を喜ばせるために歌を予習してカラオケで披露することも日常茶飯事で。
『舟唄』、『いい日旅立ち』、『天城越え』。
ほとんどネタみたいなものだったが、メロディラインも気持ちが良く歌詞にも深みがあり、まるで映画のワンシーンのような情景が浮かぶ名曲の数々が好きだった。
ただ、どうにも共感する、には至らなかった。
あくまで映画のワンシーンであって、自分の住む場所とは別世界の登場人物が織りなす物語なのだというような意識があったから。
でも、そんな中でもいくつか、自分の現状に投影したうえで心を救ってもらえた曲がある。
その一つが竹内まりやさんの『元気を出して』だ。
遠距離恋愛のさみしさや不安、気持ちのすれ違いから当時の彼氏(今の夫)と別れた翌日。
私を心配した友人の一人が「私も失恋したときに元気をもらったの」と教えてくれたのがこの曲だった。
幸せになりたかった。
彼と一緒に、この悩ましい恋を乗り越えたかった。
久しぶりに再会して、彼の匂いを感じて、少し汗っかきな手をつないで、伸びた前髪の隙間から大好きな彼の瞳を探して。
こんなにドキドキして、そばにいるのに、なぜか遠く感じて、切ない。
別れた後でもそうだった。
一緒にいるのが辛かった。
でも、彼と一緒に幸せな明日を生きたかった。
私たちが明日を見つけるって、本当に簡単なんだろうか。
彼だけが男じゃない?
そんなことはずっと前から知っている。
わかっているのに、そばにいたいのは彼なんだよ。
彼と一緒にいるのが辛かったから別れたけど、失った今の方が何十倍も辛いんだよ。
チャンスは何度でも。
それって、彼に対しても同じでしょうか?
私はやっぱり彼が好きなんだ。
関係は一度なくなってしまったけれど、私はここから改めて彼に恋していくんだ。
元に戻れなくてもいい。
惨めでもいい。
でもここで何もせずに彼を手放したら、私は一生笑うことなんてできない。
思いを伝えよう。
きっとうまくいく。
『元気を出して』は、本来悲しい別れの未練を振り切って前向きに生きていこうというメッセージを込めた曲だったのかもしれない。
でも当時の私には、反対に別れた彼にもう一度思いを伝える勇気を出すためのきっかけをくれた。
知らなかった曲に不思議な縁で出会い、そのとき必要としていた養分がしっかりと私の中に染み渡り、その体験によって前に踏み出すことができた。
そのおかげで、大好きな夫と、そしてその夫との間に生まれた大切な息子に出会えた。
今を導いてくれた、という意味では、きっと私にとってこの曲が、影響を与えた音楽ってことになるのかも。