見出し画像

大学4年間マックでバイトしてた私が、購入直後その場で袋の中身を確認する理由


大学2年生から6回生で卒業するまで、1年の留学をはさみながら、マックでバイトしていた。

2012年に高田馬場にあるマックに入店して、2014年に閉店してしまってからは、西新宿にあるマックへ移動。

私はレジで注文を受けたり、商品を取り揃えたり。
たまにパティを焼いたり、ハンバーガーをアッセンブルして作ることもあった。

大学でサークルに入らなかった私は、マックでたくさんのバイト仲間に出会い、大学生らしい飲み会もそこで初めて経験した。
余談だけど、実は夫との出会いもマックのバイトだったりする(私が入店した頃、夫はバイトマネージャーになりたてだった)。


バイト時代、休憩時間にあんだけマックをくらっていたというのに、今でも結構マックが好きだったりする。
幸いなことに(?)息子もまんまとハッピーセットの虜になったので、週に1回くらいはマックをテイクアウト。
高確率で私も便乗して、期間限定バーガーのセットを注文する。


店員さんから商品を受け取った私が、真っ先にすること。
それは、空いている席で早々と袋の中を覗き、全商品がそろっているかその場で確認することだ。

チェック項目は多い。
ナゲットのソースや、ポテトの数、シャカシャカポテトのフレーバーもオーダーしていたら、それも忘れずに。
息子がせがむので、おもちゃはチェック後そのまま彼の手元にお渡ししてしまう。
そして全部そろっていることを確認できたら、いそいそとお店を出るのだ。

お店や他のお客さんの邪魔にならないように配慮はしているつもりだが、店員さんにとってはちょっと嫌な気持ちになるかもなと自覚している。
でも私がこのチェックを怠らないのには、過去にバイトした経験があるからこその明確な理由があって。


マックルー時代、注文を受けた商品を袋に包む仕事をしていたとき(マック用語で「ランナー」と呼ばれていた仕事だが、今もそうかな?)。
一番恐れていたのが、商品の入れ忘れだ。

特にお昼の混雑ピーク時。
そして複数セットのオーダーで、商品数が多かったり、ストローなどのコンディメントが付随するとき。

どんなに気をつけていても、どんなにお渡し前に確認をしていたとしても、残念ながらそれは発生する。

商品が待機するコンベアに、本来お客様の手元に届くべきだったバーガーやナゲットが、ちょこんと置いてあるのを見つける……。
途端に目の前が真っ暗になり、心臓がバクバクと音を立て、涙が出そうになる。
絶望……まさにそんな感じ。


入れ忘れが発生したとき、帰宅したお客様から店舗に電話が来ることがある。
(諦められる方も中にはいるのだろう)
電話を受け取るのはマネージャー。
電話越しにお客様のお名前、住所をお伺いして、急いでできたての商品を、お客様のお住いにお届けに行くのだ。

最初に働いた店舗の時代はデリバリーサービスもまだなかった(あるいは導入していなかった?)ので、お届けは徒歩。
落としたりしないように細心の注意を傾けつつ、その胸中は崩壊寸前。

「あぁ……なんて自分は馬鹿なんだろう……」
「無能すぎて死にたい、世界に迷惑しかかけてない……」
「生きてる価値のないゴミカス以下の存在……」
そんなことばかりが、脳内を反芻する。

お届けに伺った先で、お客様から叱責を受けることもある。
当然の報いだ。
でも中には、「わざわざありがとうね」と労ってくれる方もいた。
こんなゴミカス以下の自分に、優しい言葉をかけてくれるのか……
5分にも満たない短い会話の間に、感情がグシャグシャにかき混ぜられて、帰り道に安心感でぽろりと涙を流したこともあった。

つらかった。
怖かった。
申し訳なかった。
そして、ありがたかった。


で、なんで私が袋の中を確認するか。

店員さんの大変さが、痛いほどよくわかるからだ!
目が回るほど忙しいときはやっぱり、どうしてもなにかしら漏れてしまう。
ストローとか、ナゲットのソースとか、ハッピーセットのおもちゃとか。

マックのバイトに限らず、飲食店バイトって本当にやることが多い。
しかも、しょっちゅう期間限定商品を出してるし。
レギュラー商品に加えて、スポットのオペレーションがたびたび発生するから、つねに新しいことを覚えながら着実に正しいサービスを提供しなければならない。
……当たり前のことなんだけど、文字にするとめっちゃ大変じゃないか?!

私があの日お客様にご迷惑をおかけして絶望したように、店員さんにも絶望してほしくない。
もちろん、おもちゃやナゲット、ポテトを楽しみにしていた息子の笑顔も守りたい。

だから、私はその場で袋の中を覗く。
全部揃ってたら、「すみません、ありがとうございました!」と一言伝えるだけ。


私は、マックがいまだにスキだ。
店員から一ファンになった今も、当時を思い出しながらポテトをほおばっている。
お店もお客もスマイルでいられる、このちょっとした工夫を、これからも続けていくつもりだ。

いいなと思ったら応援しよう!

なりー
いただいたご支援は、もっとたくさん素敵な言葉に触れて、もっとたくさん素敵な言葉を生み増やせるように活用させていただきます🙇‍♀️✨