花曇り
花曇りの春は
過ぎ去るようで…
菜種梅雨の 寒さも
ゆるゆると去るようで…
雪解け水が
小川のせせらぎに
同調するように…
いつの間にか何もかも
水彩の淡いものが
滲んで溶け合うように…
春は限りを決めている
協調できなかったわたしだけ
ガラスに閉じ込められた人形みたいに佇んでいる
交差点の後ろのビルの片隅
スプリングコートは
いくつになっても似合わず
イラつきながら
蹴り出した一歩
散り染む桜に
足を掬われた…
春はいつでも
迷うばかりの交差点
桜色に微笑むきみが
ずっと遠い人に思える
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