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失恋の乗り越え方

大好きだった彼氏に振られてから、本当にずっとずっとしんどい日々が続いた。今まで恋愛はしたことあったけど、こういういわゆる失恋は初めてだったから、乗り越え方どころか自分の感情のコントロールの仕方さえわからなかった。この期間は本当に友達にお世話になった。振られたって連絡したらすぐ車で駆けつけてくれた友達、朝まで飲んでくれた友達、泊まりに来てくれた友達、号泣しても話を聞いてくれた友達、本当に感謝している。友達の大切さを改めて実感した。
彼は、一般的にみると、いわゆる「クズ」の部類だった。高卒で資格も貯金もなし。ニートの時代があって、やっと仕事に就いたと思ったら1年くらいでやめた。そして新しい仕事に就いたと思ったら1年くらいでもうやめたいとか言い出している。私よりも稼ぎは少ないし、お金ないくせに友達と飲みに行ってベロベロで夜中に電話かけてくるし、すぐ嘘つくし、本当に本当にいっぱい傷つけられた。
でも、それでも私はよかった。お金がないとか学歴がないとか、そんなこと関係なかった。こんなものは彼を構成する要素の一つなだけであって、もちろん嫌な要素もあるけど、それ以上に好きなところがたくさんあった。私にとって、お金や学歴なんかよりももっと大切な何かを彼は持っている気がしていた。好きっていうのは理屈じゃない気がした。

別れてからは、傷つけられたことよりも楽しかった思い出ばかりがよみがえってくる。いろんなところにデートに行った。昼過ぎまで寝てラストオーダーぎりぎりにラーメン屋に駆け込んだこともあった。アニメを一気見して夜を明かしてしまったこともあった。全部全部楽しかった。
なにより、一緒にいて居心地がすごくよかった。話すスピードとか、距離感とか、一緒に寝るときのフィット感とか、他にも色々、言葉に表せないようなことだけど、心地のいいことがいっぱいあった。
喧嘩もたくさんしたけど、そのたびに仲直りして、絆が強くなった気がしていたのに、別れる話になったら、どうしてもう終わる結末しかないんだろうと悲しかった。

そんな彼は、別れてからも何度かよりを戻そうと言ってきた。自分から振ったくせに、連絡とるのもやめようと決めたくせに、自分勝手すぎるだろうと思ったし、何より今戻ったとしても何も現状は変わっていないんだからまた同じ結末が見えて嫌だった。でも、本当は好きだった。好きだったから、伝えるときに涙が出た。戻ろうと思えば戻れたところを、自分で終わらせるというのはすごく勇気が必要だったし、自分自身もすごく傷つけた気がした。「強くなろう」とか「絶対戻ったらあかん」という気持ちはあったけど、でも今こんなにつらいなら、自分を傷つける必要はないんじゃないかなぁとも思った。

でも結局は戻らないことを決意して、私は前を向くことを決めた。一人でいたらふと思い出して泣いてしまいそうになるから、毎日予定を入れて、週末は朝まで飲み明かして、こうやって少しづつ、少しづつ彼のことを考える時間が減るように努力した。
でもそんなときに、彼からインスタのトーリーにいいねがくる。ちょうど忘れかけてたころ、絶妙なタイミングで彼は彼の姿を私にちらつかせる。インスタの投稿にいいねが来たこともあった。その日は運動もして、早い時間に寝て、明日もすっきり起きて仕事頑張ろうと思ってた日の朝。いい目覚めだと思ってスマホの通知を確認したら、彼が私の投稿にいいねをしてた。その通知を見て、その日は結局朝からずっと憂鬱だった。
こういう行動で思い知らされるのは、「また思い出してしまう」ってことよりも「まだ彼の一挙手一投足で感情を動かされている自分がいる」ということ。まだ好きじゃん、前向いてもう忘れかけてたつもりだったけどまだまだ全然引きずってるじゃん。その事実にまた落ち込んで、何にも前に進めていない自分が情けなかった。

時間が解決するというのは本当で、すぐに全部を忘れられるわけではないけれど、「1週間前と比べたら少しマシになってるかも?」みたいな感じで、自分では気付かないくらいのペースだけど、少しずつは前に進めている。でも、こうやって彼からのアクションがあると、それをまた振り出しに戻される感覚だった。腹が立った。こっちがどんな思いで毎日過ごしてると思っているんだ。ひどい。そう思った。でも、何よりもまだこんな男にかき乱されている自分がすごく悔しかった。

失恋ってつらい。時に正解が何かわからなくなる。この気持ちは本当にまだ「好き」なのか、それとも「執着」なのか。連絡が来たら返した方がいいのか、無視するのがいいのか。また会えるならあった方がいいのか、会わない方がいいのか。自分の気持ちに正直に動いてもいいのか。わがままになってもいいのか。プライドとかまた傷つくかもしれないという不安なんか捨てて、やっぱりまた会いたいという自分の気持ちに正直に動いた方がいいのか。
答えはわからない。
ただ、つらいのは事実。悩んでいるときは本当にどうしたらいいかわからないし、友達に話したところで解決するわけでもないから。

とりあえず私は今、いつか何もかも忘れられる日が来るのを待つだけしかできない。
完全に忘れることはできなくても、「悲しい記憶の1ページ」として心にしまえる日まで待とうと思う。

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