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どろり濃厚 真・女神転生2【クリアレビュー】

真VVのとあることがきっかけで、真2を猛烈に遊びたくなり、久しぶりにプレイ。

以前クリアしていたのはカオスだけだったので、今回はニュートラルをクリア。

結論:
どろり濃厚ファンタジー

なんという味わい深さ。
飲み込んでもなお、舌に残る濃ゆさ。
この思いを令和に伝えたい。

公平性も中立性もない、ただの狂信者が感想を書き殴るだけです。
ご容赦ください。


プレイフィール

人の弱さと強さ

僕は僕含む人間を「弱い生き物」だと思っている。

人間そのものに不満足なのだ。普段意識することはないけれど。
だから、人間よりもすごい、空想上の生き物に憧れてしまうのだ。

真2からはひしひしと「人間の弱さ」を感じる。

一貫して伝えられるメッセージ。含蓄がある。

お前は弱い。

混沌然とした世界で、叩きつけられる正論がとても心地よい。
根底に流れるテーマが気持ち良いのだ。やはり僕は、心のどこかで人類を馬鹿にしているんだと思う。

真2では、とにかく「力」に振り回される。

お前は一体なんなんだ、STEVEN。
いきなり言われても…
私、関係ないと思うんですけど……

例えば悪魔の力であったり、組織の力であったり、民衆の力であったりと様々だ。壊れてしまった世界の中で、なおも生きようとする人々を多方面に描いている。

この多方面というのがミソだ。利害はどこまでも一致しない。しかし、利益追求をやめられる状況にはない。だから衝突する。わかりやすくて面白い。

そしてこのゲームの敵は強大だ。
強大で、圧倒的だ。格の違いを感じる。

ご立派様。下ネタ要員だけじゃなく、原典通り主人公を誘惑してくる。正直、どの作品よりも魅力が詰まっていると思う。
大天使を中盤のボスに据える大盤振る舞い。

弱い生き物である人間が、強大な敵に振り回されながら、なおも牙をむくのが楽しい。

「強そうだ」とワクワクする反面、心のどこかでは「絶対に負けない」と思っている自分がいる。

挑みたい。挑んで勝ちたい。自分の弱さを否定したい。

真2は一見矛盾する我儘な感情を、どこまでも満たしてくれるのだ。

悪魔のいる世界に足を運ぶ感覚

真1のICBMによって、大破壊が起きた。

大破壊以前から東京中に跋扈していた悪魔は、それぞれに居を構える。
真2では、その根城に足を運ぶ。これがなんともたまらない。

センターによって構築された、一般市民の世界。

LAWの体制が敷かれていながらも、荒廃した世界の中で、民衆は生きている。バーでお酒を飲んだり、ディスコで踊ったり、カジノで遊んだり、コロシアムに興じたり。

そしてその地下には、破壊された旧東京がうち捨てられている。

もはや人が住みつかなくなった空間には悪魔たちが跋扈し、それぞれの根城を築く。縁あって足を踏み入れた主人公は、そこで暮らす悪魔と出会う。

物語中盤からは、魔界にも行くことができる。

魔界に腰を下ろし、MAGを貯めるモロク。たまらん。

魔界の王は、深奥に城を構え、暗躍しながら時を待っている。
そして、決着をつけにきた主人公の前に立ちはだかる。

魔界の最深部ってど定番だよね。それが良い。

真2を語る上でよく挙げられる「スケールの大きさ」というのは、こういうところにも現れていると思う。

イタズラにマップを増やすことや、設定を増すことが良いわけではない。
でも、世界観の奥行きと濃厚なゲーム体験は切ってもきれないと思う。

旧新宿には妖精族の集落がある。
廃墟の中で、オベロンが妖精族を束ねている。

バチバチにキャラが立っている妖精族の王様

うまく言語化できないけれど、これがいいんだ。生活感を感じる。

表現力の乏しいゲーム画面の奥に、色々な妄想が膨らんでしまう。

それを「乏しい描写を脳内補完しているだけだ」と一蹴しないでほしい。
表示されるテキストの数々が、彼らの生活を想像させてくれるのだ。

例えば、魔界ではよくルシファー閣下の話を耳にする。こういうのがいい。

お使いゴモリーちゃん。出番はほんのちょっとなのに、印象に残る。
最新作で大出世したティアマト。顔怖いよ。

こういった要素が、「悪魔が住む世界に迷い込んだ感覚」の一因になっているのだ。

遊ぶ上での問題点

きつめに書いておくけれど、ゲームとしては、クソゲーもいいところだと思う。

ゲーム進行が不可能になるバグだってあるし、システム周りはところどころ面倒臭い。エンカウント率が高く、敵が複数体出現するため、一回の戦闘にかかる時間が長い。

残念なことに真2はどこまで行ってもおつかいゲーだ。
何度も往復して、もはや新鮮味に欠けた場所を何度も往復させられる。体集めとかピラー集めとかだるすぎ。

移動が多いくせに、エンカ率が高く、戦闘が長い。
油断すると死ぬ。なんだこのクソゲーは。

移動を楽にしてくれるはずのターミナルによる転送は、ところどころ使えなくなる瞬間がある。

基本的には一度起動した拠点は自由に行き来できるのだが、センター管轄のターミナルはいきなり使用不可になることも多い。

そうなると今度はまた、面倒臭い地下通路を通って目的地に向かう必要がある。終盤になると道覚えるよね。

そのくせ、戦闘も別に面白いわけではない。
「メガテンには銃がないと!」とか言われるけど、個人的には「?」っていう印象。確かに真1では強かったけど。

今作から悪魔合体で魔法が継承されたけど、これがどうも使いにくい。
マルバツゲーがどうとかっていうレベルじゃない。全然思い通りに継承できない。

当たり前だけど、悪魔全書もない。素材悪魔を調達するには会話しに行くしかない。

せいどうのはこを使えば任意エンカウントができるので、多少は楽になる。それでも悪魔全書のお手軽さには敵わない。

総じて、初心者には難易度が高いゲームだと思う。
だからこそ、どんな手でも使っていいと思うんだ。

自重はしなくても良いのさ

今回は2周目ということもあって、金剛神界も制限しませんでした。

ゲームプレイは以下の通り。
カジノでイカサマ、香増殖、金剛神界でレベリングなどなど。

最強剣ヒノカグツチ。金剛神界のスサノオからドロップしました。

これから遊ぶ人は、1周目をカオスルートでプレイすることをオススメ。
香の増殖やカジノのイカサマでヌルヌルプレイをしよう。
エストマとトラエスト・ポートは必須。ヘケトとユニコーンを仲魔にしよう。カジノ武器の大半がカオスなので、都合が良いです。閣下と旅もできるしね。

どろり濃厚なファンタジーを楽しんでくれ。
クリアしたらまた会おう。

以下、ネタバレありです。

評価点

スポットが当たる悪魔たち

行く先々に悪魔が待ち構えている構図は、王道RPGという感じがあって、とても心地が良い。

メガテンでもトップクラスに顔が怖いと思う。小学生泣いちゃうよ。
お前この、この、ほんっとにさぁ、この、お前。この。このこのこのこの。

「騒動の原因が悪魔である」のがとても良い。

昨今のメガテンは人間キャラのイベントが中心であって、悪魔にスポットが当たることが薄い気がしている。パッと思いつくので、真4のケルビーくらいか。(ピアレイの首を持っていくやつ)

特定の悪魔がイベントの中心に据えられていると、その世界に悪魔たちの息遣いを感じられる。

大教会冷やしても面白くないでしょうに。

本当に「悪魔と共存する世界」に来たんだなぁと感じられる。

こういった世界観を土台に、属性の異なる勢力がバチバチと対立し合う。

デザインがかなり好き。再登場待ってる。

混乱に乗じて、国津神が天津神に反旗を翻そうという発想が面白い。
結局それすらも失敗して、散々な目に遭うところも最高だ。

お美しい御姿ですわ、将門様。

交わらないはずの宗教同士が入り乱れる混沌な世界。
これにはしゃぶってもしゃぶり尽くせないほど味がある。

メガテンの主軸に据えられるのは、大体がユダヤ・キリスト教だけれど、例えばヒンドゥー教や神道が頂点に君臨したっていい。

ブラフマーやイザナギが作り上げた体制に対して、ルシファー率いる天使の軍勢が反旗を翻す話でも面白そうだ。話が逸れた。

こういうことを延々と考えられるくらい、真2が作り上げた世界観や路線は面白いのだ。

腐敗したLAW体制と人間

LAWから始まる、というのが最高にクール。

世界が荒廃すると、人々は救いを求める。

LAWからストーリーを始めるにあたって、これ以上説得力のある設定はない。

序盤、主人公はセンターの命令を元に悪魔退治へと赴く。
プレイフィールでも述べたように、この頃は組織や悪魔に振り回されてばかりだ。

センターは全般的に胡散臭い。マンセマットなんか比ではない。

理想の国アルカディア。その統治者ギメル。

面白くなるのは、中盤。
アバドンがヴァルハラを飲み込んで、ザインがセンターのおかしさに気づいてからだ。

人々にセンターのおかしさを訴えかけるザイン。
ここからがとんでもなく面白くなるんだ。
ザインがセンターに出頭しないと、皆殺し。
THE・管理社会って感じで潔し。

出頭を命じられたザインの後を追うと、衝撃の展開が連続する。

センタートップ(元老院)の正体は大天使。
LAW体制なら納得の采配。
大天使如きが偽の神まで作ってしまう狂気。
アブディエルもここまでやりなさいよ。
狂気溢れるテキスト。虚しくて儚い。頭おかしくて最高。

思い出しながら浸っている。最高すぎる。
どこまで天使を馬鹿にすれば気が済むのか。もっとやってくれ。

シニカルな世界観がどこまでもクールだ。

人は弱いから、集団で生きるしかない。
その理屈でLAWの体制を敷いたはずだ。

それなのにセンターは腐敗してしまっている。
明かされた真実は、僕の心をガッチリとらえて離さない。

いつか救世主が来るはずだ→いつまで経っても来ない→じゃあ、造って待っちゃおう(^q^)

何もかもぶっ飛んでる。倫理観も、思想も何もかも。
挙げ句の果てには、偽の唯一神まで祭り上げて、自己満足に浸っている。

どこまでも自分勝手な帳尻合わせ。
結論を変えることはできないから、ハリボテだろうが整える。
なんて合理的で、非合理的なのだろうか。
ここにLAWの極致が詰まっている気がする。

側から見ると滑稽なんだけど、LAWの連中ならやりかねないと思ってしまえる。だから面白い。スッと腹に落ちてくる。

理想の社会は仮想現実でした。
信じられる?30年前のゲームだよ?
アバターで着飾った現代人には、あながち笑い飛ばせない。

作品全体を通して、自分を、人間そのものを小馬鹿にされているような気持ちになる。

でも、それが不思議と嫌じゃない。「そういうところあるよね」って共感してしまう。

多分、ここが真2の肝なんだと思う。
真2の熱狂的な信者は、こういう刺激を求めている。

僕はそれが痛いほどわかる。最近のメガテンをして「こんなのメガテンじゃない!」って言われると、ぐうの音も出ない。

シリーズが終わるより前に、こういう作品が現れるのだろうか。

真2と出会ってから、僕は密かに期待し続けている。

力でねじ伏せる爽快感

「お前は弱い」

散々突きつけられてきたからこそ、強大な敵とのバトルに燃えるんだ。

まずはカオスの軍勢。

胸の高鳴りを抑えられない。最高。ぶちゅ。
閣下はそのままの御姿でいらしてください。
お願いします。本当にお願いします。

そして、僕がいろんな記事で散々言ってる、神霊ラッシュ。

初めて見た時、度肝抜かれたデザイン。
一つ目のキャラクターが好きです。
デカラビアにせよ、ギリメカラにせよ。
僕らに辛辣なエロヒムさん。
悪魔の子って。
デザイン良すぎる。本当に。

そして、最後に待ち構えるのは・・・、

YHVHと戦える幸せ。

驚くのは、こんな超豪華ボス陣にたった1つのカセットで挑めるってことだ。今の感覚だとありえない。

これが最高なんだ。この背徳感が最高なんだ。

だから強く思う。現代のクオリティで、このボスラッシュをやりたい。

LAWルートなら魔王らとぶつかり合う。
CHAOSルートなら神霊らとぶつかり合う。
NEUTRALならそのどちらもと。

ボスが1、2体変わるとかじゃない。ガラリと展開を変えて欲しいんだ。
敵対する陣営に喧嘩をふっかけたいんだ。

わかる、わかるよ。予算的に不可能なことくらいわかっている。
でも、仕方ないじゃないか。本当にワクワクしてしまうんだから。

閣下は本気だったのだろうか。

僕は人間を弱い生き物だと思っている。
だからこそ、超常の存在に挑みたい。

挑んで、下したい。
力でねじ伏せたい。

例えそれが見せかけで、ただの数値のやり取りだったとしても、そういうゲーム体験がしたいんだ。

総評

どろり濃厚な一端だけでも味わってもらえただろうか。

これからもよろしく
とてつもなくワクワクするテキストセンス

2022年9月、僕は初めて真2をプレイし、クリアした。
それをきっかけにnoteを始めてみようと思ったのだ。

何の気なしにプレイした真2が面白すぎて、頭がクラクラした。
濃密なゲーム体験にやられ、興奮気味でクリアした。それは幸せなことだった。

問題は、そのあとだ。

いきりたったこの気持ちを共有する相手がいない。
当たり前だ。30年前のゲームに多くのレビューがつくわけがない。

でも、もったいないと思った。もっと余韻に浸りたかったのだ。

「せっかくクリアしたのに、語り合う人がいないんじゃ寂しい」

こんな思いをもとにnoteを始めた。

ありがたいことに、僕のnoteは多くの人に読んでもらえている。
正直、想定外だ。いいねをもらうたびに、僕の大好きなアトラスが褒められたような気がして鼻が高い。

この記事も、真2をクリアした興奮がおさまらない誰かに届くことを願う。

ありがとう、アトラス。コンゴトモヨロシク。

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