ペルソナ2罰はシリーズの集大成的な作品だ【クリアレビュー】
クリアいたしました、ペルソナ2罰。
うーん、気持ち的には満足。綺麗に終わったなぁ。
それでいて、妄想の余地を残した点はいいね。うん、P2を推す理由がわかりました。
PSP版をPSVITAでプレイ。
クリア時間は20時間程度。難易度はEASY。
※【評価点】からネタバレありです。
プレイフィール
大人のための大人のRPG
衝撃的なラストを踏まえて始まった罰。
主人公交代も相まって、罪のプレイ感覚とは大きく違いました。
全体を通してビターなシナリオ。
盛り上がりどころはしっかりあるものの、地味目な印象のままラストまで走っていきました。
今回の巨悪は大物政治家なので、権力抗争みたいなドロドロした展開になりがち。個人的には罪よりも好きでした。おじさんになったねぇ。
学園ジュブナイルという一点からは離れた作品。果たしてこいつをペルソナと呼んでいいのか。
いろんな意味で異端な作品だと思いました。
快適になったシステム周り
ペルソナ初期三部作の中では一番楽しかった。本当にストレスがなかった。
合体魔法関連が唯一の不満点だけど、それ以外は快適そのもの。なんでこれを最初からできなかったんだアトラス。
罪を遊んでゲンナリしているユーザーでも安心。
罰はヌルサクだからもう少し頑張ろう。
ファンディスクとしての立ち位置
罪の時から1のキャラは出ていたけれど、罰でそれらが加速した印象。
P3から雰囲気がガラッと変わったことを考えると、シリーズの集大成的な作品だったんだなぁと認識。
P3以降の世界に彼らが出てきてほしいかと言われれば、「うーん」。
まぁ、良くも悪くも綺麗に終わった印象。
プレイをしていて、「あぁ、終わるんだなぁ」としみじみ実感しました。
ここまでの作品にのめり込めばのめり込むほど、罰は特別な作品になったんだろうなと妄想。
ただ、罪ほどのインパクトはなかったです。完結編だし、仕方ないのか。
以下、詳細に入ります。
評価点
大人の魅力が詰まってる
序盤からハードボイルドな立ち上がりでストーリーが進みます。
本当にドラマを見ているみたい。これ、ペルソナだよね?
登場人物みんなが欠点だらけで魅力的。
個人的に、パオフゥとかっちゃんが好き。お前ら不器用で好きなんじゃ。
たっちゃんのために貯金するかっちゃんと、それを伝えちゃうパオフゥ。
大人の気持ちが詰まってるよね。みんなそんなに単純じゃないのよ。
例えばP3での子供同士の喧嘩は鬱陶しいけど、大人の喧嘩は見ていられる。
味がある。両者の言い分がわかるしね。
そういった意味で、従来の、そしてこれからのペルソナとは違った魅力な作品が詰まっていました。アトラスはおじさんを作るのが本当にうまい。惣治郎や遼太郎も好き。
『罪』は子供のお話だった
RPGで子供の活躍を見ていると「この世界の大人は何をしているんだ」ってのは、誰もが思ったことだと思う。
罰はそういった部分へのフラストレーションを解消してくれたように思える。
パーティの平均年齢が高いからこそ、渋いセリフがブッ刺さる。僕も彼らと同じ目線で達哉を見ていた。共感できるできる。
だからこそ、たっちゃんの切なさにしんみりしてしまうんだよなぁ。
たっちゃんが切ない
個人的には、ここを知れただけでも『罰』を遊ぶ意味があったなぁと思った。
たっちゃんにとって、『罪』はかけがえのない物語だったんだと思う。
幼少期の経験から人を寄せ付けない性格になって、その気持ちを昇華した結果出会えた仲間たち。仮面党の面々は、僕が思っている以上に大切な存在だったんだなぁ。
舞耶が死んでしまった時、記憶を引き換えに『罰』の世界を作った。
でも、たっちゃんだけは記憶を捨てられなかったんだよね。うーん、これがとっても人間臭い。
僕は『罪』をプレイした時に、罪そのものは舞耶が死んでしまったことを表してると思ってた。
自分が死ぬことで、また4人を縛ってしまう。そしたら淳がJOKERになったみたいな、不幸な出来事を起こしてしまうから。
でも、違ったんだなぁ。
罪はたっちゃんが思い出してしまった、捨てきれなかったことだったんだなぁ。
ずっとひとりぼっちで、お家の中もうまくいってなくて。
ようやくできた友達を、心からの仲間を、恋人を捨てろだなんてあんまりに酷だ。酷だよ。かわいそうだよ。だって18歳だよ? 無理に決まってんじゃん。
それを罪だといえるのか。いいや、言えないよ。
自分が高校生だったとしても言えないし、大人になった今は余計に言えないよ。あんなキラキラしたもの忘れろだなんて無理だ。あんまりすぎる。ニャルカスめ。
『罰』はたっちゃんのエゴへの後始末だ。
物言わぬ彼の心中を知った時、『罪』の作品そのものへの認識が変わる。
うーん。幸せになってくれ、たっちゃん。
不満点
なぜこの路線にしたのか
クリアしてみて思ったのが、『そもそもゲームにする必要があったのか?』という単純な疑問。小説とか別な媒体でも成立していた印象。
罪をクリアしたユーザーが求めていたのは、もっと別な角度のお話だったんだろうとなぁと想像している。というか、舞耶が主人公のお話が求められていたのか、には疑問が残る。
個人的には、たっちゃんの方が主人公らしいと思う。舞耶じゃないんだよなぁ。
というか、舞耶が最後まで好きになりきれなかった。チョメチョメがどうしても生理的に無理。その隠語に性的な意味しか代入できなくて、人としての魅力を損なっていたと思う。なんであんな口癖にしたんだ。それ以外は嫌いじゃない。バカみたいな服のセンスも含めて。
確かに『罪』の後継ではあるし、物語のオチとしては文句はない。
でも、ゲームっていう媒体に落とし込む必要はなかったような気がするし、『続編』を銘打つには本筋のテイストが違いすぎる。
そもそも、2の開発初期にはW主人公構成だったらしい(罪攻略本より)し、『視点を増やすことで一風変わったストーリーテリングをする!』というのが2全体の開発側のテーマでもあったように思える。
僕にとっては『罰』が最後の初見ペルソナだ。
良くも悪くもこいつが一番異端だと思った。
だからこそ、「〇〇はペルソナじゃない!」の論争では、こいつも名前が挙がるべきだと思うし、現状挙がってなさすぎると思う。
やった人が少ないのか、2信者が記憶を美化しているのか。
なんだか少しモヤモヤした気持ちが残った。
無駄な演出と合体魔法の劣化
全体的に『罪』より人形劇の演出が強化された印象を受けました。
でも、そのぶん無駄な演出が増えた。
例えばアジトに潜入するシーンでも、パーティ5人が移動する様子をいちいち見せられる。最後の2,3人だけでいいじゃん。あとは中で待機させてたら? みたいな演出が多い。
一度や二度じゃないので、全体のテンポを阻害していたように思いました。各イベントを少しだるく感じてしまったのはそのせいか。
あとはパーティメンバーの離脱が多すぎた印象。
話の流れ的に離脱は仕方ないんだろうけど、本当に必要か? といえばそうでもない。
数的不利を作って難易度を上げてやろう、みたいな悪意を感じる。
ボスが全体的に強いのも相まって、不快に感じてる点でした。JOKER戦だるすぎ。許さん。
最後に、合体魔法の大劣化。メガブレイズくん返して。
スキル構成が変わったのはまだしも、行動順にランダム性が加わったのが普通にストレスでした。
合体魔法の使い勝手が悪くなったので、合体フィニッシュも狙わなきゃ無理。
『罪』はレベリングを合体魔法でこなしてたけど、『罰』は全体魔法がメインでした。メギドラを崇めるのだ。
そのせいでペルソナの育成ができなくて、カードを集める羽目に。くそめんどくせぇ。
レベリングの際は、使う魔法を固定するといいかも。
その属性じゃ対応できない悪魔と契約して、フリータロットをもらう係にすると結構捗る。この辺りは『罪』の方が好きだったなぁ。
総評
『罰』単体として見たときに、前後に継承されているペルソナの文脈を無視した作品であることは否めないと思う。
それとも『学園ジュブナイル』という枠で切り取ること自体、あの時期のアトラスの本意じゃなかったと読み取った方がいいのだろうか?
この作品を味わうためだけのPSVITAをわざわざ買ったけど、感想としては「うーん」。
アーカイブス専用機としての価値があるからまだしも、笑顔で「満足!」とは言えないかな。
でも、P2を推す人の気持ちは痛いくらいにわかりました。
確かに無視されるべき作品じゃないよね。P3以降を至高として、P1、2を「なかったもの」扱いされると、プレイを通して得た感情がぐちゃぐちゃになる。なるほど、ニャルはここにもいたのか。
売上で見ると、ペルソナ1が50万本、罪は27万本で、罰は20万本売れてる。
つまり、罪ユーザーの2/3は罰を遊んでいるし、ある程度選別されたユーザーしかいなかった気がしている。そりゃあユーザー層も濃ゆくなるよなぁ。
これで歴代ナンバリングは全制覇となりました。
一周回ってP3を遊びたい気分になったので、P3いきます。
早くハッカーズが遊びたい。あと、メトロイドプライムも。
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