はさま NO.1
タテコーの舎弟でヒコちゃんという奴がいて、はさま愚連隊の特攻隊長を名乗っていた。ある日、
「俺は由紀と結婚する。そして家を建てる。俺は、絶対に幸せをつかんでみせる。お前等もがんばれよ」
とメンバーに言い放った。
タテコーが現れて集団珍走を開始した。排気音が周辺にこだまする。はさま愚連隊は何人か崖に落ちたり、ヘアピンカーブで曲がりきれず湖の底に沈んだり、メンバー同士で殺し合って死体が四方八方に飛び散った奴もいた。ヒコちゃんは何事もなく安全運転である。
ヒコちゃんは心の底から安堵した。つくづく、悪魔に心を売り渡さなくて良かったと思った。
「俺はタテコー君の後を継ごうと思わない。はさま愚連隊は解散だ。俺は小心者の真性包茎だし、不良をやめる。もう敵もいないし、この街には」
「ヒコちゃん、敵が現れたらどうする?」
「現れないって、敵は」
ヒコちゃんはウンコしながらゲロを上げた。
いきなり敵があらわれた。
ヒコちゃんは、
「やろうって言うのか!」
と吠えて相手の胸を包丁で刺した。
「誰であろうが、なめられてたまるか!」
人を刺したヒコちゃんに明日はない。残虐的な今日をヒコちゃんは生き抜こうとして、けつまずいてチンポを大ケガした。しかし笑みを浮かべていた。
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