聖者の棒珍

　岡田は恐怖におののいていた。泊まっていた部屋に、お化けが出た。岡田が「疲れた……」とつぶやき、誰かに頭を叩かれた。頭を押さえて岡田は驚き、「誰だ！！」と怒鳴っても、誰もいない。
　岡田の腕時計からアラーム音が流れる。腕をつねられた。あわてて体をかわす。やはり、誰もいない。
　トイレに行きたくなった。しかし不気味な現象ばかり起きて、布団から出るのが嫌だった。しばらくして、我慢できなくなってトイレに向かった。用を終わってドアを開けようとして、開かない。おかしいと思い、何度かノックをすると、開いた。午前3時だった。そして、ドアが外れて倒れた。
　岡田の一番嫌いな男が「あなたに幸運が訪れるよ」と言った。間髪入れず岡田は「嘘つけ！！」と言おうとしたが、あくびが出て、「ハッピー！！」と言ってしまった。お化けは消えた。岡田に、幸運が訪れた。