アホ＆うどん

　ひたすら浮かれ騒ぐお笑い番組を２時間仕切り続けたお笑いのＢ田が、哀しげな顔をして楽屋に戻ってきた。普段のＢ田は寡黙な男である。彼はうどんを食べたくてマネージャーに伝えた後、誰とも話したくないので横になって寝たフリをした。
　楽屋のドアをノックする２人の男がいた。１人はヤクザ、そしてもう１人は新興宗教の教祖だった。
　２人は寝たフリをするＢ田を見下ろし、小声で会話をしていたが、Ｂ田にはすべて聞こえた。
　ヤクザに対して借りがあって、教祖には貸しがある。
「おいＢ田！本当は起きてるんだろ！！」
　ヤクザに声をかけられて、Ｂ田は体を起こした。
　そして、３人は正座の姿勢をとり、Ｂ田は２人と向きあい、とりあえず土下座をした。
　２人はびっくりした。
　Ｂ田が顔を上げた時の表情がニヤけているのを２人とも見のがすはずがなく、
「お前は絶対に俺達をバカにしている」
　と同時に怒り、袋叩きにした。
　そこにうどんの出前があらわれて、全員にうどんをぶっかけて、喜びながら泣いた。