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太田千八のナワとび大会

  ナワとび大会が行われた。校内に全児童が集まり、全員でナワとびを開始した。
 三年一組の太田千八は運動神経に自信があり、ナワに足を引っ掛けることもなく、勝ちあがった。
 結局、グラウンドには二人の男が残り、睨み合い、一対一のナワとび対決で決着をつけなければならなくなった。
 太陽が照りつける午後二時の息詰まる状況で、太田千八と二年二組のヒコちゃんはホイッスルの音であやとびを始めた。「うおおおおっ」と太田千八は張り切ってピョンピョンとび続ける。一方、ヒコちゃんは異常なまでに汗をかいており、あやとびをしながら泣きじゃくった。
「何でボクがナワとびで戦わなくちゃいけないんだ」
 ヒコちゃんは足を引っ掛けて、地べたに倒れ込んだ。
「ち、畜生……ボクの負けだ……」
 太田千八には拍手が送られて、うれしそうな顔でガッツポーズをした。
「応援してくれた人達のおかげで、勝てました」
 小学三年生が、そういう意味の言葉を吐いた。
「応援など、してねえよ。お前は嫌われ者だろ!!」と多数の人が石を投げつけた。太田千八はナワを振り回して石を払い落とそうとしたが、ひとつもかすらなかった。顔面に岩をくらって、保健室に運ばれた。

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