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鼻水マン 鈴本ちん五
小学四年生の鈴本ちん五が鼻汁をたらしながら、組立説明書も読まずにテントを張ろうとしていた。
「アハハ、アハハ、楽し〜な。アハハハハ。高さ20メートルのテントだぞ、やったぜ〜。チンポチンポ!!たぶん、世界一の大きさだ!!イエ〜イ」
ちん五は思いきり鼻汁をすすり、半ズボンを脱いでグルグルと頭の上でそれを回した。
そこに村越二富が顔を出し、
「おい、肝試しに行こう」
とヨダレを垂らして誘った。ちん五は馬鹿でかい声で「嫌だ!!行きたくない!!」と返して、目を剥いて二富に顔を近づけたら、殴られてしまった。
「二富!何するんだ」
倒れこんだちん五が、今にも泣きそうな顔で言った。
二富は「テント張りと肝試しなら、肝試しのほうが怖くて面白いだろ〜?」とヨダレを地面まで垂らして、すわった目つきで問い詰めた。
ちん五の泣きそうな顔が世にもうれしそうな顔になり、ちん五はなぜか走り始めた。
ちん五は大きな夕日の向こう側まで行こうとして、歯を食いしばり、途中で疲れて歩いた。そして自作の変な歌を、支離滅裂に歌って通行人の大人に笑われてしまった。ちん五は腹いせに口笛を吹いた。