鼻水マン 鈴本ちん五
小学4年生・鈴本ちん五が鼻水をたらしながら、組立説明書も読まずにテントを家の庭に張っていた。
「高さ20メートルのテントだぞ、やったぜ!!たぶん……世界一の大きさだ!」
ちん五は鼻水をすすり、半ズボンを脱いでグルグルと頭の上で回し、喜びを表現した。
そこに友達の村越が現れて、
「おい、心霊スポットへ行こう」
と誘った。ちん五は大きな声で「嫌だ、テント張ってるから、行きたくない」と返して、村越に殴られてしまった。
なぜ、殴られなければならないのかと、ちん五は泣きそうな顔で「ふざけるな!!」と吠えた。
村越は、「テント張りと肝だめしなら、肝だめしのほうが怖くて面白いだろ?」とちん五を問いつめた。
ちん五の泣きっ面が満面の笑顔に変わって、ちん五は夕日の向こう側に行こうと1人で走り出した。
途中で疲れて歩き出し、自作の変な唄をうたって通行人の大人に笑われて、ちん五はますます機嫌を良くして、夕日の向こう側に行った。そのまま消息不明となり、みんなを嬉しがらせた。