司法の独立を盾に暴走する検察は、統帥権の独立を盾に暴走する日本陸軍と同じ。

国の統治機構の中に、「一方向」の独立機関が存在し、それにマスコミと国民が応援すると、必ず暴走し、国を亡ぼす。

太平洋戦争を始めてしまった理由は多くの要因があり、単純に一つの原因にまとめることはできない。しかし、よく言われるように「陸軍が暴走し、それを政治が止められなかった。」というのは、大きな要因の一つだと思う。

なぜ、止められなかったのか。それはこれも良く言われるように「統帥権の独立」があったからだ。天皇の軍隊であり、「国民=内閣」の軍隊ではなかった。天皇の軍隊なら、天皇の意向をくみそうだが、それも無視し、「君臨するけど、統治せず」の通り、天皇もどうすることもできなかった。

しかし、ここでいう独立とは、政治側から見た独立であり、軍部から見た場合は独立でない。軍部は、大臣を内閣に出しているので、大臣をひっこめると言えば、内閣は総辞職するほかなく、何もできなかった。

この「一方向の独立」こそ諸悪の根源であった。さらに悪いことに、この軍部に、マスコミや国民が、応援したのだ。
この応援の背景には当時の「政治不信」があったのも大きい。

これで暴走するための条件はすべてそろった。そして暴走し、敗戦し。国は亡びた。

この暴走する条件をすべて満たした国の機関は現在も存在する。
検察庁である。

検察は、まぎれもなく行政機関だ。検察官は行政官である。
だから、国の統治機構も行政機関として設計されている。
法務大臣は検察トップを任命し、個別案件の検察官への直接の指揮権は禁止されているが、検事総長へのすべての指揮権が認められている。

しかし、司法の一翼を担う機関であることから、政治の方から党利党略で利用されても困る。
このあいまいさを利用し、法務大臣の検察トップの任命権も、指揮権も事実上封印されている。

であるから、検察は政治の方から見れば完全な独立機関だ。司法改革を拒む検事総長を変えられないし、拷問的取り調べが行われても、政治の方から、「それはいけない」ということすらできない。

一方、検察の方から見れば、独立でない。
検察庁は法務省の下部機関であるにも関わらず、検察トップが法務省のトップであり、法務省を牛耳っている。にもかかわらず、政治からは独立している。であるから、検察に不利な改革は何一つできない。

日本の刑事司法から始まった韓国も台湾も、取り調べに弁護士の立ち合いが許されるように改正したが、日本はいまだに実現できていない。
まさにこれが理由だ。

検察は、国の統治機構において完全に「一方向の独立」を手に入れた。

そして、悪いことに、マスコミも国民もその検察を「正義の味方」として応援している。

政治汚職や、政治資金不正の問題が発生すると、「検察頑張れ」と声があがり、刑事事件では、マスコミは検察からの情報やリークを垂れ流し、推定無罪を無視し、一緒になって被疑者を追い詰める。

#検察庁法改正反対騒ぎでは、元アイドル歌手が検察をもてはやし、なんと弁護士会までもが検察の応援団となった。

そして、極めつけは日本国民の中に先天的に組み込まれた「政治不信」である。これで暴走する条件は整った。暴走しないわけがない。

特捜検察というのは、自ら事件を作り出して起訴するから、定期的に世間に注目される事件を作らないと存在意義がなくなる。

「ライブドア事件」や「村上ファンド事件」のころは、何か新しい時代を予見させる高揚感みたいなものがあった。「これからは、インターネットの時代だ。金融の時代だ」(私はそのころITで起業したばかりだった)
一方、保守的な層からは「ネクタイもしない若造が、球団買収やテレビ局を買収するなんて、けしからん」、「働かないで、マネーゲームで金稼ぎするなんてけしからん」という声もあった。

これらの声に呼応するかのように、検察はこれら会社のトップをだれでもやってるような容疑で逮捕した。そして、通常より重い刑が言い渡された。
新しい時代への高揚感はすべて吹き飛んだ。

その後、日本経済は低迷することとなる。IT産業は育たないし、株価も低迷を続づけた。

日本社会は同じ過ちを最近でも繰り返した。「日産ゴーン事件」である。
貰ってもいない給与を書類に記載しなかったという、一回注意すればいいようなことで、いきなり逮捕し、人質司法の術中に堕とし入れる。

こんなことでいきなり逮捕されるなら、怖くて会社の経営などできやしない。日本に海外から優秀な人材は集まらないし、投資もなくなる。

コロナ渦で、日本のデジタル化の遅れが明らかになった。そして、岸田首相の口から出た言葉は「デジタル敗戦」。

あの時とまったく同じだ。







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