しろがねの葉を読む②~銀山とそのまわりの町には役割があった

大森の町は、石見銀山の周りにあって、栄えたが、この本を読むと、大森の町はあとからできたものだとわかった。もともと関ケ原の戦いがあるまでの銀山は、地元の山師たちが仕切っていたのが、関ケ原で徳川の部下が入ってきて、銀山を直接管理するようになった。幕府直かつというやつだ。銀山の産出量や取引がすべて陣屋で取り仕切られるようになり、地元の山師たちが職を追われる様子が小説にも書かれている。

このときにできたのが仙の山の麓の町で、主人公のウメが暮らすまちだ。しかし、政変が起きて、新しい町がつくられることになる。これが今にもつづく大もりのまちのようだ。

この小説の面白いところが、銀山やその周りの村、積出港だった温泉津、ふもとの街道町や、陣屋がおかれる中心町など、それぞれの町や集落、場所の役割が書かれていることだ。ウメが生きた生涯は、まさに、これらの場所の役割が時代とともに変わっていく時代。激動の時代だ。

そう思いながら、かつて訪れた大森や、温泉津、銀山の間歩を思い出しながら、この物語を読んでいる。


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