『インデックス投資は勝者のゲーム』のまとめ(前半10章まで)
感想
この本の帯の裏に三大投資家の一人ウォーレン・バフェットの
との評で、世界最大規模の資産運用会社で、世界初のインデックス型投資信託(インデックスファンド)を個人投資家に提供した会社バンガードの創業者である著者のジョン・C・ボーグルを讃えています。
(※出典 インベスターズキャンプ Wikipedia バンガード社HP)
また帯の正面に
市場全体のポートフィリオを有するファンドを取得し、永遠に持ち続けること
とどんと書いてありこの本の結論が簡潔に言い表されています。
この本を読み進めると第3章以降韻を踏むようにインデックス投資が良いという事を、その都度の言葉の使い方は変われど、ひたすら繰り返されます。
主題はインデックス投資についてですが、本の中で投資全体にも言及しています。「インデックス投資」以外に「個別株投資」にも当てはまることにも言及し株式と債券を50:50の比率で保有すると良い。年間リターンも3.6%というなど現実的な数字も挙げています。
また作者は章ごとに『私の言葉だけを信じる必要はない』と題したコラムを掲載。大阪の人が最後に付ける『知らんけど』の要素もありますが、他の有名投資家等の言葉を使ったり独りよがりでない事への信ぴょう性も持たせています。(※出典日刊SPI 2021/01/23記事)
ただ、かの『ジョジョの奇妙な冒険』で登場したシュトロハイムがよく使った世界一チイイイイ!!(原作ではチは小文字)のごとく米国賞賛一辺倒であり、文章表現も専門用語が多く専門用語解説を横に置いて読む必要もあります。この本に出てくる分散投資も米国中心で中国や欧州等への世界全体を考えたインデックス投資ではありません。(※出典RENOTE、Wikipedia)
そこには多少偏りを感じると思いますが、基本的な考え方自体は年金運用や保険会社の運用にも生かされているものです。手堅く投資をしている人のバイブルとも言えます。
第一章 寓話
ゴッドロックス家の人々
※ゴッドロックス家という架空の一族の話からスタートします。
この一族が100%米国の全株式を保有して儲かっていたところに助言者が現れました。一族中でのより大きく儲けたいと願う者が、その助言者に代金を支払い運用を始めた当初はうまく行くものの、やがてその富の増大するペースが遅くなり始めてしまいます。
これに焦った一族の者たちは、さらに別の助言者を雇い、より多くの「助言代」を払ってしまいます。どんどん減り続ける富を眺めその一族は頭を抱えてしまいます。
そうした状況の中で一族の長老格の叔父が、助言者をすべて追放し助言代の支払いをやめるように提言します。一族は長老の忠告通り助言者をすべて追放すると、ふたたび富の増大するペースが戻りました。
この寓話からは売買が増えれば金融業者に支払うコストや税金が増え、それに伴い、企業の所有者たる株主が手にするリターンの純額が減少することを訴えています。
さらに要約すると投資の本質はコスト意識であり金融業者やアドバイスする人に払うコストを可能な限り減らせという事です。
第二章 根拠ある熱狂
株主の利益と企業の利益は一致しなければならない。
長期的には、株式のリターンは企業がもたらす利益と配当金です。株価は一時的には、業績に対して良くも悪くも評価されるときはありますが、その企業の生産的長期的な状況に集中し金融市場に見られる感情による短期的な動向に左右されてはなりません。
投資での成功は、金融市場で行われる「投機」をやめて、企業への「投資」にする必要があります。
第3章 企業に賭けろ
簡潔にして勝て、オッカムもカミソリを頼りにしろ
どのようにして「企業」に投資が良いのか?
それは、
市場全体を網羅し、コストが低いインデックスファンドの所有が合理的で生産的で結果を出しています。それはインデックスファンドを通じて、米国の企業を保有することは合理的で生産的であることはこれまでの歴史が証明しています。
※オッカムのカミソリ 問題の解が複数存在する場合、もっとも簡潔なものを背たくすべし。(思考節約の原理やケチの原理とも言われています)
第4章 どうしてほとんどの投資家は勝者のゲームを敗者のゲームにしてしまうのか
簡単な計算というれ冷徹なゲーム
敗者になる原因は金融業者に払う「コスト」です。それは投資家が本来獲得するリターンを、「コスト」が食いつぶしてしまうからです。
金融業者のコスト(手数料など)は高く、そのコストは投資家が儲からなくても負担するものです。だから投資の成功と失敗を分けるのは「コスト」ですからコストが低いインデックスファンドを選択するべきです。
第5章 もっともコストの低いファンドに集中せよ
資産運用会社の取り分が増えれば、それだけ投資家が手にするものは減る。
コストの高いファンドとコストの低いファンドを比較した場合、コストの低いファンドの方がリターンの点で優位であることが証明されています。ここでも複利のマジックが働きその差は短期的には小さいですが長期に複利運用した場合、その差額は大きなものになってしまいます。
インデックスファンドはコストが重要である点からも最も適している投資です。
第6章 配当は投資家の最良の友なのか
だが、投資信託はあまりに多くの配当をかすめ取っている。
長期な複利運用でもたらされる配当は市場での上昇をもたらす事への寄与は高いです。アクティブ運用の投資信託の経費は、配当収入ではなく、ファンドの純資産に基づいて支払われています。
高すぎるアクティブ運用ファンドの経費は配当収入を食いつぶしていまい、せっかくの配当が長期的リターンに大きな影響があるのに、その配当に係る経費に使われてしまいます。
それを避けるには、そのコストの低いインデックスファンドへの投資が最適です。
第7章 大いなる幻想
うわぉー、投資信託は公表しているリターンを投資家が手にすることはめったにない
投資家は、投資信託のリターン100%獲得していると考えるのは幻想で資産運用会社にそのサービスに対して徴収されるコストを支払うことに加えて追加でのコストも支払っていることになります。
平均的投資ファンドの長期リターンはそのコストがあるために株式市場に水をあけられインデックスファンドの半分以下です。
「平均的な投資ファンドのリターンがインデックスファンドの半分以下」の理由は、強気相場がピークのときに、「みんながやる」と投資家が資金を投じる間違ったタイミングと、腕の良くない投資ファンドを選択する、「間違ったファンド」に投資家が投資することがままあるからです。
投信業界は、投資家の感情を刺激し、そのときどきの流行に見合った新しいファンドを売り出すのでさらにこの問題を大きくしています。
インデックスファンドの長所は、この期待はされるが結果が伴わないファンド選びを排除することです。投資で成功するには、インデックスファンドを通じ株式市場全体を保有し特に何もしないことです。
第8章 税金もコストである
必要以上に国に支払う必要はない
隠れたコストがもたらすほぼすべてのペナルティからインデックスファンドは優れた防衛策となってきました。平均的アクティブファンドは、長期的な様々なペナルティが市場参加者に課せられそのペナルティが投資信託の投資家が蓄積した資本を破壊してきました。
また投資家が手にするリターンをさらに減らすのが「税金」です。
平均的アクティブファンドは、頻繁に株の売買を行うのでその都度売却益が発生し税金がかかるのでリターンは当然減ります。
マイナスの要因は
それに加えてインフレです。投資家は、ファンドのコストを名目値のドルで支払います。実質値のドルで受け取ることで、私たちの生活コストが上がる(インフレで)ことでその価値を損なわれてしまいます。
ところがインデックスファンドはコストが低い。これはインデックスファンドの保有する株に支払われる配当の多くがインデックスファンドの受益者に直接わたるという事です。
第9章 良き時代はもはや続かない
株式市場も債券市場もリターンが下がるという前提で計画を立てるのが賢明
2017~2027年のバランス型ポートフォリオ(株60:債券40)の予想される年間トータルリターンは3.6%である。その内訳は、アメリカの株式市場の予想される年間リターンは4%、債券の予想される年間リターンは3.1%とします。
全体として(バランス型ポートフェリオ)は、3.6%と予想されます。資産運用を考えるうえでは現実的な根拠です。
アクティブ運用ファンドを通じて投資をするとコストが発生します。その年間コストは1.5%。さらに、インフレ率2%を考慮すると、なんと投資家が手にするリターンは0.1%となります。
年間リターン3.6%-年間コスト1.5%-インフレ率2%=0.1%
という計算です。
バランス型ファンドの予想リターンを0.1%、これより低い数字になることも考えられます。その反面、株式市場のポートフォリオを保有するだけでコストの低い「インデックスファンド」への選択が投資が成功を保証するものです。
第10章 長期的な勝者を選択する
針を探すな、枯れ草を追え
長期に渡って優れたファンドを探し出すのは難しい。355本のファンドで成功しているのはたったの2本しかないです。
です。
しかしそれは枯草の山で針を探すようなものです。それを追うより枯草の山で針を探すな、枯れ草を買えです。30~40のアクティブ運用のファンドに投資するなら市場全体を買う「インデックスファンド」が良いのではないでしょうか?
インデックス運用が嫌な人も!
つづきは