共同生活は楽しい「子どもも親もうれしい午後遊び」(『土の匂いの子』抜粋)
解散場所でそのまま遊んだり、誰かの家に行ったり、午後に遊ぶ場所はさまざまだ。
「きょうは、はくちゃんのうちに行く!」と一人が言い出すと、ぼくもわたしもとなって、自然と午後遊びの場が決まる。上の子のお迎えやPTAなどで迎えに来られない母もいるため、手の空いている母たちで、他の子どもも見る。
この「午後遊び」は、子どももうれしいけれど、親もうれしい。体力のありあまっている子どもを家に連れ帰って変にぐずられるより、思う存分子ども同士であそんでくれたほうがいいに決まっている。親はその間に用事をすませたり、夕食の準備ができる。外部の友人などから、「子どもを預かるのは大変じゃないの?」と言われるが、実はまったく逆で、楽なのだ。
なかよし会の保育当番をとおして、預かる子どもたちの性格から癖までわが子のように把握している。そして、なかよし会の保育の基本、「口はチャック、手は後ろ」の見守る保育の姿勢で接していると、おとなを頼ることなく子ども同士でずっと遊んでいる。どんなに子どもが多くても、余計な世話を焼く場面はほとんどない。
たまに、親戚の子や久しぶりに会う友人の子を預かると、たった一人でも手がかかるのに驚く。「たっちゃんがかしてくれない」「おえかきしてもいい?」「ジュースがほしい」など、とにかく何でもおとなに報告し、おとなに解決してもらおうとするのだ。
でも、これが年ごろのふつうの姿なのかもしれない。なかよし会の子はこうしたおとなへの報告が非常に少なく、子ども同士でいつの間にか解決している。
娘が大きい組のころには、最大で10人以上の子どもが来た。助っ人の母も1〜2人来てくれる。まず、子どもは風呂場へ直行。なかよし会の後は、足は汚れていて当たり前、全身泥だらけなんてこともざらだから。
「はーい。みんなハイハイでお風呂場行ってー」
1列に汚い足を上げながら、ハイハイでお風呂場に行き、自分でさっさと服を脱ぐ。余裕があるときは、足を洗うだけでなく、お風呂に入れてしまう。「みんなでお風呂」は子どもも大好き。自分で頭も体も洗える子がいふると、いままでできなかった子も刺激を受けて、自分でやったりする。
お風呂がすんだら、おやつタイム。その後は好き勝手に遊び始める。ここで母たちも一段落。子どもにはもったいなくて食べさせられないようなスイーツとコーヒーでホッと一息。もちろん、子どもに見つからないようにほおばる。