中谷干/nakayakan

SF(すこしフューチャー)な短編を淡々と書き続けたい https://twitter.…

中谷干/nakayakan

SF(すこしフューチャー)な短編を淡々と書き続けたい https://twitter.com/akayaka

マガジン

  • トライアルズアンドエラーズ

    作成中

  • すこしフューチャー

    少し未来を舞台にした短編小説集 カクヨムに置いていたもの https://kakuyomu.jp/works/1177354054883419994 を少しずつ改稿しつつ投稿

  • この物語はフィクションです

    登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

記事一覧

シン・エヴァンゲリオン劇場版 後半の解釈の解説のようなメモのような何か

シン・エヴァンゲリオン劇場版でエヴァが完結を迎え、物語をどう決着させるかというのに興味があったので2回ほど見てきました。 趣味でたまにものを書いたりもする人間と…

老舗の味

彼女と二人で近所を散歩していると、何やら古めかしい建物が目に入った。 「こんな店あったのか」 「創業120年だって。すごいね」 店頭に掲げられた、時代がかった木製の看…

健康管理システム

(頭痛ぇ……) 会社までの道のりをだらだらと歩きながら、胸の内でそんな事を呟く。 昨晩、仕事帰りに同期の連中と飲みに行ったのだけど、隣のテーブルの連中と意気投合し…

母さん助けて

「俺だけど」 「はいはい……おやまあ」 テレビ電話の着信に、老婦人は目を細めた。 画面に映るのは、夫にどこかよく似た目つきをした、自分によくにた輪郭の壮年の男性。 …

バイトテロリスト

「おい、見てみろよこれ」 そう言って友達が見せてきたスマート端末には、コンビニの若い店員が、店のおでんで悪ふざけしている映像が表示されていた。 どこからどう見ても…

選択肢

ピローン♪ 携帯端末の通知音が響く。 ……ったく、映画見てる時に……。 少し面倒に思いつつ、VR映画の映像空間にARオーバレイ表示された携帯端末に手を伸ばす。 僕の携…

12月1日

「あれ……?」 とある冬の朝、オフィスに出社したばかりの若手社員が怪訝そうに声を上げた。 「今日って12月2日でしたっけ?」 「ん? 今日は1日だろ」 ちょうど後ろを通…

欲しいもの

「わかったか?」 「だめ……」 夜遅く、食卓を囲んで渋面になっている夫婦。 「欲しいものくらい、聞く事できないのか?」 「だって、それ聞いたらサンタさんいないってバ…

シン・エヴァンゲリオン劇場版 後半の解釈の解説のようなメモのような何か

シン・エヴァンゲリオン劇場版でエヴァが完結を迎え、物語をどう決着させるかというのに興味があったので2回ほど見てきました。

趣味でたまにものを書いたりもする人間として、物語の構造というか「どういう意図でこのシーンを置いたか」「どう物語を着地させたか」みたいな事を把握したい気持ちがあり、主にマイナス宇宙突入後、物語後半の各シーンを自分がどう理解/解釈したか、みたいなことをまとめた、これは解説のような

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老舗の味

老舗の味

彼女と二人で近所を散歩していると、何やら古めかしい建物が目に入った。
「こんな店あったのか」
「創業120年だって。すごいね」
店頭に掲げられた、時代がかった木製の看板に筆文字で書かれているのは、いかにも昔からやってます、という雰囲気の店名。
老舗の煎餅屋さんらしい。
辺りに煎餅の焼ける香ばしい匂いが漂っている。
「ちょっと見ていこうよ」
彼女に引っ張られて店内に入ると、建物の外観と打って変わって

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健康管理システム

健康管理システム

(頭痛ぇ……)
会社までの道のりをだらだらと歩きながら、胸の内でそんな事を呟く。
昨晩、仕事帰りに同期の連中と飲みに行ったのだけど、隣のテーブルの連中と意気投合して夜中まで大騒ぎ。
その結果がこの二日酔いだ。
歩くその一歩一歩にあわせてガンガン響くような頭痛。他の人から見たらだいぶ冴えない表情をしているに違いない。

激しい頭痛との格闘の末、ようやく会社の前に到着。
入り口に近づくと、瞬時に網膜が

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母さん助けて

母さん助けて

「俺だけど」
「はいはい……おやまあ」
テレビ電話の着信に、老婦人は目を細めた。
画面に映るのは、夫にどこかよく似た目つきをした、自分によくにた輪郭の壮年の男性。
珍しいこともあるものだ。
あの無精者の息子が、あちらから連絡してくるなんて。
「久しぶり」
「久しぶりだねぇ。あんたから連絡してくるなんて珍しい」
「いやぁ、最近活動のほうも一段落ついて、久々にお袋の顔が見たくなってさ。元気?」
「おじ

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バイトテロリスト

バイトテロリスト

「おい、見てみろよこれ」
そう言って友達が見せてきたスマート端末には、コンビニの若い店員が、店のおでんで悪ふざけしている映像が表示されていた。
どこからどう見ても衛生上問題ありそうな事をやっていて、この悪ふざけに使われたおでんがもしそのまま売られていたら……と考えるとぞっとする。
「うわぁ……」
「こんなのネットに上げたら炎上するに決まってるのにな。世の中アホな奴がいるもんだ」
「ほんとになぁ……

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選択肢

選択肢

ピローン♪

携帯端末の通知音が響く。
……ったく、映画見てる時に……。
少し面倒に思いつつ、VR映画の映像空間にARオーバレイ表示された携帯端末に手を伸ばす。
僕の携帯端末はVRゴーグルとペアリングしてあるので、VR空間上でも必要な時は端末の置いてある場所がわかる。端末の画面もVR上で確認できるので、VRゴーグルをわざわざ外す手間がない。

ささっと画面を一瞥。メッセンジャーの通知だ。
この気の

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12月1日

12月1日

「あれ……?」
とある冬の朝、オフィスに出社したばかりの若手社員が怪訝そうに声を上げた。
「今日って12月2日でしたっけ?」
「ん? 今日は1日だろ」
ちょうど後ろを通りかかった上司が応じる。
「でも、ほら」
若手社員は端末の右上の日付を指差すと、そこには「12月2日」と書かれている。
「あれ?」
昨日は月末の締めの作業に追われていたし、いくつか月末の支払い処理もしたし、どう考えても11月30日。

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欲しいもの

欲しいもの

「わかったか?」
「だめ……」
夜遅く、食卓を囲んで渋面になっている夫婦。
「欲しいものくらい、聞く事できないのか?」
「だって、それ聞いたらサンタさんいないってバレちゃいそうだし……それにあの子が本当に欲しいもの言ってくれるかどうか」
「だよなぁ」

もうすぐクリスマス。
二人は息子へのプレゼントについて相談しているところだ。
例年ならもうとっくにプレゼントを買って、息子にバレないよう、隠し場所

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