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WSプログラムデザインの記録「知らない街」

実施日:不定期(このルールで遊びたい人で自由に実施可)

場所:その都度プレイヤーの知らない路線と知らない駅で

参加者数:数名(2〜4名推奨)

主催:実施者自身(企画・構成・著作は中脇健児、藤本遼、丸川正吾)

WSタイトル:「知らない街」

カテゴリー区分:価値の変換、疑い系

※この取組はオープンソースプログラムとして自由な利用を認めますが、著作権は放棄しておりません。営利目的や催事利用の場合は著作者に一度お問合せ下さい。

【ねらい】

私たちがヨソ者として地域やコミュニティを楽しむ場合、縁や土地柄など「知ってる」ことが多ければ多いほど、その面白さや魅力を堪能できるという前提がある。しかし、「知らない街」は、逆転の発想で「知らない」ことでコミュニティや地域を楽しむ。いわば「旅人」の作法であるのだが、これをただの「飲み会」という普段の生活延長上の時間と距離の中で行うことから、「知らない」の特異性を存分に楽しむ。

知らない沿線の知らない街の知らない駅に降り、ぶらりと飲む。気になる駅名で降りる"ジャケ降り"、地元の人がひっそり集いそうな居酒屋を見つける"地域スカウター"、次の一軒は駅を変える"はしご駅"というルールで楽しむ。

いわばTV番組的な街歩きだが、テーマには「設定による日常の改変」がある。

“知らない・調べない”という設定によって該当するいくつかの沿線から選ばれた沿線・街は急に特別な存在となり、さらに過ごし方のルールから知覚が全く異なり、特別な時間を過ごすことになる。

旅人は電車の乗客や風景からなんとか街の情報を得ようとし、受け取る情報量と質も含めて大きく変わる。車内からうかがえる街の様子を好き放題に喋ることは他の乗客にすれば自分の街のことでもあるので、思わずヒソヒソ声になってしまう。また、店の構えや隙間から伺える店内の様子から、本来の目的である「飲み」を託すことは博打的要素が加わり緊張感は計り知れない。そして「知らない」という価値観は、普段、下に見られるが、「「知らない」ことを逆手にとって、こんなに楽しめることがあるのか」という気づきが道中否応無しに生まれ、まさにこの時間は、価値観や景色の印象、自分の振る舞い方など、すべてがこんがらがる。

街は日常のままなのに。街に何もおこっていないのに。知らない街がテーマパークに様変わりする。そして帰宅後、その街に関する気になるいくつかのことを調べた時に「わかる」ことも「だからそうだったのか」「え?!そんな大層な街だったのか」という時限爆弾的な気づきを生む面白さもある。

私たちは何かを創り出そう、生み出そうとする時、「汗をかく」「協力してもらう」「お金をかける」というベクトルに走りがちだ。しかし、着眼点次第で、ある種「とんち」のような思考によってまだまだ遊び方があることを体験することは、そもそもの前提や当たり前を疑い、まだ見えていない気づけていないものが、いかに多く世界にはあることを私たちに問うてきてくれる。

【内容】

<事前準備>

行くメンバーは3〜4名が望ましい。

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次に、全員が知らない沿線探しと集合場所を決める。

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集合場所を決めたら最後、一切調べない。

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<当日>

電車に乗る前に、路線図を見て、1軒目の「ジャケ降り」駅を決める。(移動中、何もなさそうでも決めた駅は変えない)

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降りたら、「地域スカウター」を作動させ、地元っぽい店を勘だけで探し歩く。
(降りた駅で周辺地図などは見ない。もちろんGoogleMapは論外)

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見つけた店で一杯を楽しみ、二軒目は「はしご駅」としてまた駅を変える。

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遊び方は以上。至ってシンプルなものである。
以下は過去に開催した「知らない街」の紹介動画である。

vol.1「今里筋編」

藤本遼と中脇健児でプロトタイプ版「京阪本線編」を実施してから一年後にオープンソース化を目論み行った第一弾。丸川正吾がレギュラーメンバーに加わり、記録動画が誕生する。毎回女性ゲストを迎えるという3人ならではの型ができあがった。

今里筋は地下鉄だったため、風景が一切わからない降りる駅はほとんど団地街。二駅目は店を探して歩いていると違う沿線の駅前まで行ってしまっていた。三軒目は番外として駅を変えず、途中合流の女性たちを迎え、ただの合コンのように。。。
vol.2「JR奈良線編」

「ジャケ降り」に選んだ駅名がことごとく静かな住宅街。一堂不安にかられながらお店を見つける絶妙な回です。今回の女性ゲストは藤本遼のインターンとして関西に短期滞在していた新潟県出身で東京の大学に通うNさん。

丸川正吾の撮影・編集力が向上しつつあるのと、3人のテレビ番組パロディ感が少しずつ上達している点も見逃せない。
vol.3「近鉄奈良線」

ゲストは「毎日どこかがダンスホール」の中西祐紀子さん。アシスタントには関西で福祉のお仕事をしている笑顔がステキなゆりっぺさん。
いつもより画面が華やかでございますが、二駅目のあまりの暗さに、カメラマンのハトさんが、弱気になっているところが今回のポイント。

中西祐紀子さんにマイ櫓を持参いただき、知らない街の知らない街角で突如盆踊りをする記念のコラボ回。夏の大阪ぽさがよく出ています。

vol.4 JR和歌山線。

ゲストは『PUBLIC HACK』著者の笹尾和宏さんと、コニュニティデザイン業界の岡部まりことstudio-Lの林 彩華さん。公共空間の自由利用の可能性を説いた『PUBLIC HACK』は、まさに「知らない街」の精神そのもの!

JR王寺駅から高田駅で楽しんだ回。一駅目から不安感漂う街並みに一同ハラハラ。そんな道中のやりとりもお楽しみください。
vol.5 京福鉄道(嵐電)。

2019年の年末にふさわしく、メンバーは企画発起人の中脇 健児、藤本 遼、丸川 正吾の3名のみで開催。見知った間柄ならでは、真面目な話題が出て、ダメ出しあり、恋話あり、今後のビジョンあり。カメラの回っていない裏側でなかなかの真面目会でした。

嵐電沿線の京都の界隈は、観光地ではなく、歴史と住宅地が混在とした下町の雰囲気で、街の隙間にポツリポツリと味わい深い店が佇まいが印象的。


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後記

キッカケは中脇・藤本が飲む約束をした際、お互い気兼ねなく飲める場所として、さらにお互いが知ってる自慢をしないためにも、二人が知らない街で飲もう、というノリから始まった。

少しゲーム性を持つためにいくつかのルール設定を設けたところ、単なるまち遊び以上のものがある気がして、その面白味の部分を後から思索し言語化したのが本プログラムの狙いである。

また、思いつきの街の遊び方だが、翻って見ると、私鉄王国関西ならではの地域特色があるように思えてならない。この遊びが全国各地でできるものなのか、それとも何か地方地方で違う特色が必要かどうかは、今後広がっていく中で見定めたいと思う。

一方、「知らない街」は、講演など話をするとき、事例として紹介すると、予想以上の反響がある。どこか時代が誰でも手軽にできる街の遊び方、ちょっとヘンテコな遊び方を求めている気がしてならない。


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今までのnote記事
<プロジェクトのHOWTO もしくはAtoZ>

・はじめに
「平成」という時代とファシリテーター、ワークショップデザイナーに至るまで

・プロジェクトが始まる前に気をつけたいこと
プロジェクト型チームの危険性と心構え

・さあ!スタート!そんな時に
【コトの立ち上げ方、進め方】

・プロジェクト、少し慣れた頃の次のステップ
【プロジェクトが拡がるコツとチームづくりの一歩】

・プロジェクトを拡げるにはチームづくりから!
【プロジェクト型チームを作るコツと注意点】

・プロセスで衝突しがちな「そもそもさん」「とりあえずさん」
【ナナメの存在とプロセスデザインの話】

・組織内で進めるプロジェクトにおけるナナメ役の立ち回り方
【ナナメの関係の作り方(従属関係のある中、進めていくプロジェクトの場合)】

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今までのnote記事
<ワークショップの記録と振り返り>

「HOW TO or NOT HOW TO」(アイデア創出系)

「ツレヅレ市場弁当」(価値の変換、疑い系。出かけるコンテンツ)

「ワイルド午後ティー」(価値の変換、疑い系。出かけるコンテンツ)

「いつも何度でも(ワークショップデザイナーver)」(学びなおし系(メタ認知促進型))


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