形意拳・劈拳は「劈(切り下ろし)」するのか?
形意拳の基本、五行拳の「劈拳」は、なぜ「劈拳」と呼ぶのか?
改めて考えると、「劈」(切り下ろす)でも「拳」でもない。
まず、なぜ「劈」と呼ばれるかというと、形意拳が槍の技法から生まれていることに関係している。
動画で、形意槍の「劈勢」を示してみた。
このとき、確かに槍は切り下ろしているので「劈」と呼ぶにふさわしい。
この技法は“槍を持ったとき”に「劈」になるのであって、これが徒手になったとき、手の動きとしては、必ずしも「劈」にならない。
徒手の劈拳を行う際、「劈」の字に引きずられて、左手を上から下へ切り下ろすように出している人が見受けられるが、私としては、これは正しくないと考えている。
実際に何か打ってみれば、この打ち方ではあまり威力が出ないことがわかるだろう。
劈拳を行う際、左手は、右手と場所が入れ替わるように出す。
もうひとつ、劈拳は開掌なのになぜ「拳」と呼ぶのか、これは定かではない。
流派によっては文字通り劈拳を「拳」で行う流派もあるが、これも「劈」と同じく、文字に引っ張られるのが必ずしも正しいとは限らない。
私としては、開掌で行う「劈拳」を学んでいるので、これをそのまま伝えるしかない。