URBAN PERMA CULTURE
0【はじめに】
みなさんは、昨日のご飯(1食〜3食)、何を食べたかすぐに言えますか?
もしくは、そのご飯にどんな材料が使われているかを考えたことがありますか?
というのも、私は、特に都市の食文化に対してかなりの危機感を抱いています。
・困ったら、すぐコンビニのご飯で済ます。
・ケータイを見ながらご飯を食べる。
・飲食店では両耳イヤホンをつけながら食べる。
私はこのような食事方法を度々見かけることがあります。
こうした食事を続けていると、後々自分がどんな料理を食べているのかがわからなくなります。
しかし、こういった行為は特定の個人の問題ではなく、そうせざるを得ない構造になっていると思われます。
今回の①その問題の構造と、②新しい生き方としての
「PERMA CULTURE」を紹介したいと思います。
1【専門化する都市】
■よろず屋<専門家
都市とはもともと「まつり」のために使われる場所でした。それは政治であったり宗教であったりそこで人々は普段では得られないようなハレの時を過ごしたり、物資を手に入れたり、揉め事を解決してきたりしました。都市とは本来そのような役割があったのです。
その都市が、近代化以降巨大化しすぎたため、職業を専門分野に分けざるを得なくなりました。
みんなが大体同じことやる職業形態から、細かく専門分野に別れた。
そうしてあらゆる分野をシステム化しすぎたため、人々は自分の専門分野以外には介入しなくなりました。
そうして社会の問題を「自分ごと」として考えることができなくなったのです。
COVID-19に関するニュースでは特に「専門家が言うには、、、」という言葉をよく聞きました。専門家はパワーワードのように使用され、その言葉を聞いた瞬間、人間は思考停止し、その意見を聞き入れるようになりました。
専門家が扱う全ての機能から個人は切り離され、一方的に消費活動を繰り返すだけの存在に貶められています。
グローバル化した消費社会では、一見消費者に無数の選択肢があるように思えますが、あくまで買えるのは”売られている商品”だけでしかありません。自分の意思で選んでいるように見えてその選択肢は既に決められているものなのです。
■食文化の専門化
自分の専門分野以外を「消費」することに慣れすぎていると、簡単なことですら自分で「創造する」ことができなくなっていきます。
既製品を消費するばかりで、ゼロからイチを作りだすことができない。
その際たる例が食を創造すると言う行為です。
ご飯がないとき、普段から料理をしていない人は、外食するか、お湯をかけたらでき上がる食べ物が頭に浮かぶと思います。
それは、食文化が専門化しすぎていて、自分で何かを創ると言う発想が消滅しているのです。
料理している人でも、スーパーに売られている商品がどういった成り立ちでその商品と化しているのかを理解している人は少ない。
そう、「誰が、どのように作っている」のかわからずに、毎日異物を口の中に入れ続けているのです。
また、もし外部から食べ物が供給されなくなると、3.11の時のように、急にスーパーから食べ物がなくなったときに、自分で食べ物を作ると言う経験を積んでいないと、どうしていいのかわからなくなる。
僕は、なんとなく、「レンジでチンするだけ料理はできる」と平気で考えている子ども達が出てくる予感がしています......
2【新しい生き方としてのPERMA CULTURE】
そんな現代都市における、新しい生き方として、「PERMA CULTURE」と言うのがあります。
パーマカルチャーとは言う言葉は、「permanent(永久の)」と「agriculture(農業)」を繋ぎ合わせた造語だ。環境や生態系を破壊することなく、自然の豊かな恵みによって人間の必要性を満たす、さまざまな技術のこと。(中略)
要するに、農村のお百姓さんなら誰もが持っていた技術だ。 (ソーヤ海 2015)
→なんでもかんでも専門化するのではなく、小さな所から、自分で創造してみようよ。そうすると、今までブラックスボックス化していた所が明らかになるし、
何よりも食に感謝できるようになる。
「種を植え、芽が出てくる。そして植物が育ち食糧が手に入る」と
そうすると、自然と人間とのつながりを感じられる。
本当の豊かさとは、スパーでラベルを見比べることよりも、安全で新鮮なものを食べられると言うこと。
食の成り立ちを理解し、自然の中で生きていることに感謝する。
■例えば....
何も、食糧を自給率を100%にしろというわけではありません。
少しでもいいから自分で食べ物を作る知恵と技術を身につけて、意識を変革していくのです。
例えば、ベランダでトマトを育ててみる。その際もネットで正解を探すのではなく、自分なりに試行錯誤しながら育ててみる。
そういった生活を続けると、スーパーに行くと自分が向ける目線が変わるはずです。
4【参考文献】
■(ソーヤ海 2015)『都会からはじまる新しい生き方のデザイン』
他にもまだまだたくさん魅力的な「PERMA CULTURE」について書かれています。是非読んでいただきたいです。
■(内田樹 2020)『日本習合論』