日本の営業をアップデートせよ。
こんにちは、セールスサイエンスラボの中谷(@midvalley2nd)です。
先日、『それでも僕らは本を書く』というタイトルで、執筆活動の内容についてnoteを書きました。
本日はその続編、実際に『営業解体新書』の中身(構成案)を簡単にご紹介できればと思います。
なぜ日本の営業は進化しないのか
『日本の営業は高度経済成長から進歩していない。』多くの場面でそのように語られます。
確かに未だに、『何をすれば売れるのか』という答えは、セールステックが浸透してきた現代でも、ほとんど誰も解明できていません。
それは、
といった古い考えから脱却できていない組織もいまだに多いことも原因だと考えられます。
これではいつまで経っても日本の営業は進化しません。
それを解決する手段の一つとして、SFA/CRMを中心としたセールステックを導入する企業も徐々に増えてきてはいるものの、この問題はまだ依然として解決が進んでいるとは言いづらい状況にあります。
そして、多くの営業パーソンは『答え』を求めて多くの営業に関する書籍を読み自己研鑽を積むケースも多いものの、そこには『かつての偉大なトップセールスの自伝』と化した実用性、普遍性がなく体系化、構造化されていないストーリーばかりが並べ立てられています。
結果、『誰も答えを知らない』もしくは、一部の超優秀なトップセールスの頭の中にのみベストプラクティスが存在している現状となってしまっているのが現状なようにも思います。
なので、営業に必要な能力(コンピテンシー)を洗い出し、トップセールスと、それ以外のセールスパーソンの能力差分を調査し、解明し、トップセールスのスキルを民主化しようと考えました。
日本のIT法人営業493名のアセスメント結果
私たちは2019年9月にこのプロジェクトを発足して以来、
といった活動をしてきました。
実に4ヶ月近くもの期間を『設計(事前準備)』に費やしてきました。
そして2020年1月、ついに493人分の『日本のIT法人営業パーソン』のコンピテンシーデータを手にしました。
そしてデータサイエンティストの方に協力いただき得られた分析結果。
ここからは一部抜粋でご紹介差し上げます。
まずは収集できたコンピテンシーの母集団について。
けっこう優秀層が多いですね。
そして経験年数と業績の関係性についても。
これは面白いですね。
~10年に向けて、下位層の割合が減っていきます。
一方、それを超えると逆にまた下位層の割合が増えていきます。
これは、『優秀な人は営業を若いうちに卒業していってしまう』のか、『10年以上営業をやっていると、だんだんモチベーションが保てなくなってきてしまう』のか、様々な捉え方ができそうですね。
ここまでは属性情報の一部ピックアップでした。
(本調査では属性情報×コンピテンシー情報という掛け算でデータ収集しております)
<回答者ごとのカテゴリ別平均値の分布>
6カテゴリ、70項目のコンピテンシーを収集しましたが、その全体像がこちらです。
カテゴリによって、バラつきが大きいもの、少ないもの、それぞれの傾向は見えますでしょうか?
(あまり開示し過ぎるとネタバレがすごいのでほどほどにしますw)
上位と下位を分けて回答をプロットするとこのように傾向が見やすくなります。(全カテゴリの情報は今回は載せませんw)
このように見ると、その差は明らかですね。
結論としては、
ということが言えそうですね。
全70項目の差分ランキングまでは開示できませんが、そこまで掘り下げていった結果、最終的には
このあたりに最も大きな差分が見られてきます。
ちなみに決定木分析においては、
ちょっと小さくて見えづらいですが、
この上記3要素を満たしている人の、86%がトップセールスであったという結果が示されています。
※補足: 本書ではアンケート結果を間隔尺度とみなし各分析を行う。回答傾向の間隔調整は行っていない。
アセスメント結果の考察
我々の主張は、『勝負は提案前に決まっている』ということです。
これは、優秀なセールスパーソンにとっては当たり前でしょうし、多くの場面で様々な方が言っています。
ただ、その論拠は『経験値』でしかありませんでした。
それが今回、初めて統計的な有意差を以て、証明されました。
本調査は、『法人IT営業』という、商材が無形で複雑×意思決定プロセスが複雑という営業の中でも最も難易度の高い分野の調査でした。
もし、これが低価格帯のBtoC営業であれば『プレゼンテーション』や『クロージング』、BtoC高額商材であれば『ヒアリング』が重要になっていた可能性もあります。
BtoBの営業であればより費用対効果(ROI)の概念も重要度を増しますし、論理(ロジック)で意思決定をされる要素が強くなります。
そのような観点からも、『事前準備』や『社内意思決定ルートの攻略』が重要度を増しているのではないでしょうか。
営業と一括りに言っても、『対法人/対個人』、『新規顧客開拓/既存顧客深耕』、『対大企業/対中小企業』、『有形商材/無形商材』、『高額商材/低価格商材』等々、様々な切り口で営業属性が変わります。
そのような中で、より営業職は専門性を増し、求められる能力は変化しているのではないでしょうか。
つまり、このような営業属性の前提なく、『営業は○○が重要だ』という今までの論調はもはや通用しなくなってきているとも言えると思います。
こと、今回のような法人IT営業においては、商談の中身(提案等)と比した際に、より『商談前』の重要性について大きな示唆を与えてくれました。
案件当たりの金額が大きく、提案工数の掛る法人営業だからこそ、①売上(着地)予測②商談事前準備③社内意思決定ルートの攻略④ターゲティングのように、『如何に確実に、如何に効率よく受注するか』という能力が求められているように思います。
ここまで、疑いようのない事実として証明されているのではないでしょうか。
しかしながら、『それをどのように行うか?』については、まだ明らかになっていません。それは、この後の章にて実際に誰もが羨む実績を残してきたトップセールスにその手法をインタビューしていきたいと思います。
トップセールスパーソンへのインタビュー(5~10名)
この章は、まだインタビューを実施中につき現時点ではあまり明記できませんが、、
『外資企業トップセールス経験者』、『スタートアップ企業トップセールス』、『エンタープライズセールスのスペシャリスト』、『日本一の営業代行会社のエバンジェリスト』、『日本発のメガスタートアップトップセールス』等々、錚々たるメンバーにお声掛けさせていただいております。
ここでは、
といった内容について切り込んでいきます!
日本のIT法人営業、新・ゴールデンスタンダード
To Be Determind...
実際に、『”日本の”営業パーソンのデータで』、『統計解析を用いて』、『約500人』という信頼に足るサンプルサイズで、『70項目のコンピテンシーで』実施された、(私調べでは)日本で初めてのデータドリブンな書籍、かつ『真のトップセールス』の知見を惜しみなく盛り込んだ革新的な書籍で、日本の営業をアップデートします。
ここで得られた示唆と知見をもとに、
ターゲティング ⇒ 事前準備 ⇒ 商談 ⇒ Forecast &意思決定ルート攻略
の一連のフローを刷新していきます。
乞うご期待ください!
さいごに
※出版社が決定し執筆を進めていたものの、諸般の事情により本プロジェクトは頓挫してしまいました。楽しみにしていただいていた方にはこの場をお借りしてお詫び申し上げます。