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「やなせたかし おとうとものがたり」鎮魂と反戦。朝ドラ放送前に読むべし。

これが弟との最期の別れになろうとは、その時には思わなかった。戦争が終わったらまた会えると信じていた。

アンパンマン生みの親・やなせたかしさんが、2歳年の離れた弟への思いをつづった詩集。弟へのレクイエム。

やなせさんは幼くして父を亡くし、母とも離れ離れになったそうです。伯父の家に身を寄せ、複雑な家庭環境の中、無邪気な弟にさまざまな思いを抱えながら生きていました。

幼少期に弟と自然の中で遊んだ思い出、やがて成長し出来の良い弟への嫉妬……兄弟を持つ者にとっては、ノスタルジーと共感の嵐な暖かい詩ではじまりますが、そんな平和な日々を戦争が襲う

こんな美しい風景の中で ぼくらは殺しあいをしてはいけない

弟、22歳。戦わずして海に散る。
遺骨もない、届いたのは死を知らせる木札のみ。

この残酷な世界が、たった数十年前にあったのだ

戦争を過去のこととは言い切れないと思う昨今。私たちはまた同じ過ちを繰り返すのだろうか

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