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nene888
雑感64 詩を書く
「こんなものは、詩じゃない。詩というものは……」
大阪文学学校の詩の講座に、初めて参加したときに言われた言葉だ。詩が何を表現し、どんなものかもわからずに書いた詩を、評された日を今でもよく覚えている。
この評をもらって、また詩を書いてみようと思うまでに一年。コロナ禍が広がって、でもまだコロナウィルスが非日常だと思われていた時期だった。もう一度詩を提出してみようと思ったのは、最初の評をくれた人に直接会わなくても済みそうだからだった。
その時の講座は開かれず、作品への講評が載ったプリントが送られてきた。わたしの作品には、「ポエジーで良い。もっと工夫を」
そこから、いくつか書くようになった。何とか及第点のものも、箸にも棒にも掛からぬものも。評をくれた人とは冗談を言えるようになった。
「ハートのねぎ」も、詩の講座に出したものである。いくつかの課題はあるが、何とか読めるレベルにはあるらしい。
この詩に出てくるシーンは、なに一つ事実はない。ねぎを切りながら、空想で作った詩である。現実にあったことを詩に綴っただろうと思われているが、父から料理を出してもらったことはない。
間違った解釈でいいのかと問われれば、わたしはそれでいい。本当にあったことだと思われるほどに自然な形なのであれば、小説を書く者としてはうれしいことだから。
最初の評から二年半。詩の世界を、少し深く探ってみたい春がくる。