高校3年生のキミへ
春のセンバツに続き、夏の甲子園も中止に。
今の高校3年生の球児たちは
誰一人として(自分達の代で)
甲子園に出場できなくなりました。
この学年は私が少年野球のコーチをしていた頃
から見てきたので、思い入れもひとしおです。
彼らの「今」が心配で、
高校3年生のK君に手紙を書きました。
よかったら読んでみてください。
K君へ。
昨日、悲しくて簡単には受け入れられへん、
とんでもないニュースが流れたなぁ。
監督さんからはどんなお話があった?
俺もわずかやけど監督経験があるから
監督さんの苦悩もわかります。
甲子園という大きな目標に向かって
これまでずっと頑張ってきたKの姿を
見てきたから、
薄っぺらい言葉はかけられへんわ。
すぐに切り替えて前を向けるはずがないし
俺もしばらく切り替えられへんと思う。
けど、俺なりに考えて
Kに言葉を届けたいと思い手紙を書いています。
高校3年生になったKは
もう立派な大人やと考えてるから、
子供扱いはしない。
今は無理かもしれんけど
いつかきっとわかる時が来ると信じてるで。
これまで小さい頃から沢山の悔し涙を流し、
ツラい事もいっぱいあったよな?
(もうええわ…やめよう…逃げたい…)
弱い自分の心の声も
イヤになるほど聞いてきたはずや。
でも、負けんかった。
逃げんかった。
弱い自分の心に打ち勝って、
今日まで、ここまでたどり着いた。
これまで、
遊びたい気持ちもグッとこらえて
努力してきた時間、
仲間とぶつかり合って励ましあって
乗り越えてきたきつい日々。
甲子園が中止になったからって
何もかも台無し!にはならへんよ。
これまでのすべてがKの勲章やし
誰にも盗られへん、
永久に減ることのないKの財産やで。
今回、
自分の力じゃどうしようもない事
が世の中にはあるってことを知ったな。
地方大会があって全国大会があること、
当たり前やと思ってたけど
当たり前じゃなかったんやということも
学んだ。
辛いけどな。悔しいけどな。
でもこれが現実やねんな。
世の中には
当たり前なんてひとつもないんやで。
野球ができることも、
ユニフォームの洗濯や毎日のお弁当も
高校の授業料とか道具代、遠征費も
何ひとつとして当たり前じゃない。
そして、当たり前の反対は
「ありがとう」
今こそ、これまで支えてくれた親に
感謝を伝える時なんちゃうかな。
Kは知らんと思うけど、
お父さん、仕事終わってから夜中まで
アルバイトしてたんやで。
何でかわかるよな?
Kはこれまで自分に負けずに
苦しい事を乗り越えてきた力がある。
一緒に乗り越えてきた仲間が沢山いる。
今は辛くて悲しくてやり切れへんけど
絶対に乗り越えられると信じてる。
だから、
他人を恨んだらアカン。
誰かのせいにしたらアカン。
ヤケクソになったらアカン。
野球を嫌いになったらアカンで!
こんなに辛いことがあっても
たとえ時間がかかっても
Kはそれをパワーに変えることができる!
俺はずっとKを信じてるからな。
【高校3年生の子を持つ親御さんへ】
今、お子様にかける言葉が
見つからないという方は、
どうか無理に言葉をかけずに
ただ見守ってあげてください。
彼らはもう大人です。
野球を通じて、
自分の力で立ち上がる力を
身につけてきたはずです。
今の彼らにとって最も不要な言葉が
「正論」です。
こういう時の正論ほど
苦く、飲み込みにくいものはありません。
正しいとわかっていても飲み込めないのです。
アドバイスはいらないので、
お子様と一緒になって泣き、苦しみ、
感情を共有してあげてください。
大丈夫、
きっと前向いて立ち上がる日がきます。
信じてあげましょう。
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