Wヤング「お笑い弁当物語」
平川：最近は金の値打ちが無くなったね
中田：ほんまやね
平川：まァ考えてみてください、今の世の中千円札一枚で何が買えます
中田：大したもん買えませんで
平川：この前、家の窓ガラス割ったんやけど、窓ガラス一枚、千円で買えませんで
中田：この前、ワイシャツ破れたんやけど、ワイシャツ一枚、千円で買えませんで
平川：この前、一万円札落としたんやけど、一万円一枚、千円で買えませんで
中田：当たり前やないか！
平川：ちょっと気の利いたもんやったら、絶対に千円では買えませんわ
中田：これは確かに言えまっせ
平川：君のネクタイ一本買お思ても、二千円するがな
中田：君のワイシャツ一枚買お思ても、三千円するがな
平川：君の嫁はん一晩買お思ても、四千円するがな
中田：アホか、今五千円やぞ！
平川：なんやそれ！
中田：考えたら、ほんま、昔と比べて金の値打ちが無くなったね
平川：ほんとやね
中田：今では、千円出して大根買うても、ええとこ８本ぐらいしかないけど、昔やったら、千円で大根２５本は十分買えたで
平川：ほんと、今では千円出して百円切手買うても、ええとこ１０枚ぐらいしかないけど、昔やったら千円で百円切手３２枚は十分買えたで
中田：買えるかい！
平川：今なんか、千円札一枚持ってても、映画見て、寿司食べて、コーヒー飲んだらお釣りこんやろ
中田：おつり来るどころか、反対に足が出るがな
平川：ところが昔やってみ、テレビ見て、番茶飲んで、水飲んでもお釣りきたで
中田：それやったら今でもお釣り来るわ！
平川：君、もし一円玉が地面に落ちてたとしたら、拾うか？
中田：そんなもん拾うかいな
平川：ほな十円玉は？
中田：拾わへんね
平川：百円玉は？
中田：百円玉やったら拾うわ
平川：まだまだ貧乏人やねェ、僕なんか、千円札が落ちてるの見つけても、その千円札、靴で踏んで行くで
中田：なんやて、千円札、靴で踏んで行くてかい
平川：靴の裏にのり付けとくけどな
中田：拾ろとんのやないか！
平川：金の値打ちが下がっていくのと一緒に、金の質も下がってるね
中田：金の質が下がってるというと？
平川：昔は一円玉は真鍮で出来てたけど、今の一円玉なんか見てみ、アルミやで
中田：ガタッと質が落ちてるね
平川：十円玉でもそうや、銅で出来てたけど、今見てみ、銅やで
中田：一緒やないか！
平川：あらそうか
中田：昔が銅で、今も銅では、君も”どう”しょうもないがな
平川：「ちょっと聞いたあ？」
中田：まだ言うとんのかそれ！
平川：僕のミスでした。十円銅貨は、今も銅で出来てるもんね
中田：ほんま、君は”どう”かしてるで
平川：「ちょっと聞いたあ？」
中田：もうええねやそれは！
平川：しかし、金の値打ちが無くなったということは、物価が高なったということになるね
中田：そうや、ほんま、物価が高なったわ
平川：食料品の値上がりなんかものすごいがな
中田：おかげで、うちの晩御飯なんか、今まで五種類のおかずが出てたのに、最近では三種類になってしもたがな
平川：気の毒に、うちなんか今もずっと、晩御飯のおかずは七種類のままや、生活水準の違いは厳しいねェ
中田：ほんとうらやましいでっせ、昨日の晩御飯のおかずでも、うちなんか、すき焼きと刺身と茶碗蒸しの三種類だけですわ、それに比べてここの家七種類でっせ・・・大根おろし、タクワン、ごま塩、デンブ、のりの佃煮、青のり、金時豆
平川：待て待て！安い物ばかりやないか！うちの昨日の晩ごはんのおかずはそんなん違うがな
中田：ホー、ほな君とこの昨日の晩御飯のおかず、どんなんやったか聞きたいね
平川：大根おろし、タクワン、ごま塩、デンブまでは合うとんねや、けどその後の、主力を形成する三種類が違うがな
中田：主力を形成する三種類と言うと？
平川：まず焼き肉
中田：ホー、焼き肉があったか
平川：あとまで聞け
中田：焼き肉違うんか？
平川：焼きにくーい網で焼いたメザシね
中田：・・・
平川：それからカズノコ・・・
中田：やった、カズノコが出たか！
平川：あとまで聞け
中田：エッ！？
平川：カズノコまかい（数の細かい）チリメンジャコね
中田：チリメンジャコて！
平川：それから、トロ
中田：トロ！トロの刺身やな
平川：トロロ芋の煮つけ
中田：結局、安い物やないか！
平川：実を言うと、うちでは晩ごはんには、あまり主力を置いてないねや
中田：すると、主力は朝ごはんか？
平川：いやいや、主力は昼の弁当ですよ
中田：そう言えば、君は毎日弁当持ちやね
平川：嫁はんが愛情をこめて作ってくれるから、そら豪華な弁当やで
中田：うらやましいねェ、で、今日はどんな弁当や？
平川：今日は彩り鮮やかな、チラシ寿司や
中田：彩り鮮やかというと？
平川：まず、黄色があるやろ
中田：黄色は玉子焼きですわ
平川：それから、赤ね
中田：紅ショウガですわ
平川：それに青ね
中田：青酸カリですわ
平川：青が青酸カリやて、そんなアオなこと言うな・・・「ちょっと聞いたあ？」・・・弁当というと駅弁というのは独特な味があるね
中田：その駅、その駅によって売り声が違う、浜松のうなぎ弁当の売り声（幽霊風に）「うなぎ弁当、うなぎ弁当」
平川：豊橋のいなり寿司の売り声（相撲風に）「いなり寿司、いなり寿司」
中田：峠の釜めし（幽霊風に）「かまめしやー、かまめしやー」
平川：松坂の牛肉弁当（相撲風に）「牛肉弁当のはりかえ」
中田：おーい駅弁！（汽車の窓開ける）駅弁くれ駅弁
平川：駅弁てそんな断わらんでも、駅で売っとる駅弁は、駅弁に決まってまんねん
中田：ほな、商店街で売ってる弁当は？
平川：ショウ弁でんがな
中田：汚いわ！一つ貰うわ、なんぼや
平川：三百円です
中田：千円でお釣りくれ
平川：（ゆっくり釣りの勘定をする格好）
中田：おいおい、早うお釣りくれな汽車がでてしまうがな
平川：私はそれを待ってまんねん
中田：どついたろか、早うせい、出るがな
平川：（反対側に動いたり、ギャグ）
中田：アッ落とした、この弁当汁がこぼれてべんとう、べんとう（ベトベト）やないか！
平川：べんとう、べんとうやて・・・「アホかいな！」
中田：「ちょっと聞いたあ？」と違うんか
平川：新しいギャグや
中田：「君よりマシや」
平川：合わすな
中田：それよりこの弁当どないしてくれるねん
平川：ほなその弁当、た”べんとう”くか？
中田：食べんとくかやて「アホかいな！」
平川：「君よりマシや」それは僕が言うねん
中田：今日は弁当のシャレやな、早う替わりの弁当くれ
平川：急がんと、もうちょっとマツタケ弁当
中田：マツタケ？ええ加減にしいたけ弁当
平川：しいたけ弁当？
中田：何でも言うたらええねん
平川：お前の嫁はん、梅干し弁当
中田：お前の嫁はん、夜中におこし幕の内弁当
平川：お前の嫁はん、夜中にパンツ箱（はく）寿司弁当
中田：お前の嫁はん日の丸弁当
平川：いやうちのはニンシン弁当
中田：誰の子や
平川：タラコ弁当
中田：そんな子供早いことチラシ寿司弁当
平川：なんちゅう事をイワシ弁当
中田：君も負けとらんな
平川：君には絶対、カツ丼弁当
中田：そんな弁当、あるんか弁当
平川：あってもなくても、言わな負けるがな弁当
中田：長すぎるわ弁当
平川：君の顔よりましじゃ弁当
中田：いっぺんどつき上げたろか弁当
平川：そんな可哀そうな弁当
中田：どこまでいくねん弁当
平川：あんたのお尻、釜めし弁当。いっぺんカキ寿司弁当
中田：何べんもさわったらお尻割れてハンバーグ弁当
平川：あんた前はちくわ弁当、いっぺんトリメシ弁当
中田：知らんと握り飯弁当
平川：それはいかめし弁当
中田：逃げんとこっちへきずし弁当
平川：いやここに折り詰め弁当
中田：どこまで行くねん
平川：ほな、このへんでシューマイ（しまい）弁当