夢路いとし・喜味こいし「もうかりまっか?」

いとし:もうかりまっか?

こいし:なにが?

いとし:商売がもうかりまっか?て聞いてるねん

こいし:商売がて、君と私は一緒に漫才やっとんねやぞ。私が儲かるかどうかは、君かてわかるやろ

いとし:そんなもんわかるかい。私らのギャラの計算とか分配は君の受け持ちでやっとんねやで

こいし:やってますよ。君は計算に弱いから

いとし:ほな、君が計算をごまかしてる分まで私はわからへんやないか

こいし:ごまかしてる分て・・・

いとし:ピンハネもうかりまっか?

こいし:もうかるかい!しかし君、その「もうかりまっか?」というあいさつを誰かれなしにするのやめよ

いとし:したらあかんか?

こいし:そら商売してる人に逢うた時はそれでええかも知らんけど。この前なんか、幼稚園へ行ってるうちの孫に逢うた時も「もうかりまっか?」て挨拶したらしいやないか

いとし:確かにしたけど、私が「もうかりまっか?」て挨拶したら、君とこの孫、ちゃんと答えよったで

こいし:どう?

いとし:「ぼちぼちでんな」て

こいし:・・・あのな、幼稚園の孫がなんで「ぼちぼちでんな」なんて答えるねん。金儲けもしとらんのに

いとし:君、孫の実態を知らんな

こいし:孫の実態て?

いとし:お年玉で貯めた金を、幼稚園の先生に貸して利子で稼いどんの知らんのかい

こいし:そんなことしてるかい!

いとし:「もうかりまっか?」とあいさつして、商売人の人が「ぼちぼちでんな」と答えた時は、すごく儲かってる時らしいね

こいし:どうして?儲かってたら「よう儲かってまっせ」て答えるやろ

いとし:そんなこと言うたら、税務署が怖いがな

こいし:なるほど

いとし:「あきまへんな」と答えると、まあまあ儲かってるわけや

こいし:けど、私の知り合いの商売人なんか皆な「よう儲かってまっせ」て言いよるで

いとし:そら皆な潰れかけや

こいし:潰れかけ!?

いとし:潰れかけの時は、儲かってるように見せかけな、取引先が警戒するやろ

こいし:なるほど、商売人のあいさつて難しいもんやねえ

いとし:ところで、君が嫁はんにやらせてるお好み焼き屋、もうかりまっか?

こいし:(少し考え)・・・あきまへんわ

いとし:そらあかんやろねえ、あの汚い嫁はんでは客来んわなあ

こいし:訂正・・・ぼちぼちでんな

いとし:そらなんぼ頑張っても、あのババチい嫁はんでは、ぼちぼちまでやわなあ、きたないきたない

こいし:・・・よう儲かってまっせ!

いとし:なに?

こいし:よう儲かってまっせ!

いとし:そうか、やっぱりあの店潰れかけかいな

こいし:ええ加減にせい!

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