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【最強の写真学習】これで基礎を固める  第7章. 自分のイメージを表現する

おはようございます。
アラスカの中島たかしです。

今回の内容は、タイトルから写真活動の核心に迫る感じがあります。

今日も、米国で写真学習しつづけている僕が、欧米の情報をベースに、日本語で解説をしてゆきます。

10回にわたって行っているのは、海外の写真参考書 Creative Nature & Outdoor Photography という最強の写真教科書についての解説です。

なぜ最強なのかは、こちらから。

この第6章でも、著者ブレンダの本書のゴール「撮影の前に感動のワケを考え、それを伝える術を学び、いま読んでいるあなたがそれを習慣にすること」を見据えて、、、

☆いま学んでいる基礎的要素は、表現にどうつながるのか

ということを、【表現ポイント】という形式で、記事の中でハッキリわかるようにしていきます。


【まえおき】

唐突ながら、「写真はスゴい。そのシーンのエネルギーを、見た人に伝えることができるのだから… このことをよくよく考えてみてください」と著者のブレンダさんは述べています。

この7章では、そのエネルギー、つまり自分のイメージを、「どう表現してゆくのか」、チャンスを逃さないための撮影準備の行程もふまえて皆さんにお伝えしてゆきます。


はじめに見ておく【今日の結論】

「事前準備をして撮影にのぞむ。それを具体的なテクニックを含めた写真表現にまで詰めて考えておく」ということになります。

お話する内容は、写真の中で扱う被写体をどう撮るかを、撮影前から考え、準備したものになります。これは扱うテーマが広いので、的を絞ってお伝えしてゆきます。では、、、

blog 目次用の枠【7章】

【記事ジャンプ用】


では1つ目から行きましょう。

今日の内容1
【予測しえない最高の瞬間まで手に入れる】

本書では、Celebrating Moments というテーマになっているこのパートですが、予期しない瞬間までをも手にするには、どうするべきかが語られているパートです。

またこのパートは、今回の第7章のテーマである「イメージを表現する」うえで、欠かすことのできない事前準備です。

予測し得ないことをどう、準備するのか。

その準備のために何をすべきか。著者は、テクニックとアーティスティック・スキルが必要だと言っています。噛み砕いていきましょう。

詳細は後ほど述べますが、まず「テクニック」を二つに分けると、これまでの章で触れてきた、カメラの「メカとしての扱い」と、光や線、色の「読み取り方などの構図のこと」です。

では、もう一方のアーティスティック・スキルとは一体なんなのでしょう。

一言でいうと、直観のことです。直感ではなく、直観…
なにやらややこしいことを言うようですが、この二つの言葉は違います。

▶直観:知識の持ち主が熟知している知の領域で持つ、推論、類推など論理操作を差し挾まない直接的かつ即時的な認識の形式である。(ウィキペディア)

▶直感:理性を働かせるより先に、五感あるいは第六感が感じ取ったこと

シンプルにすると、直観は「ひらめき」、直感は「感じ取ったまま」

つまりアイデアや創造性は、感じ取ったままの直感では生まれ得ないもので、あらゆる知識や経験というフィルターを通過して生まれた「ひらめき」こそが、写真のイメージに当たるものです。

まとめると、アーティスティック・スキルとは、磨き上げた直観をつかう方法ということになります。そして、これがイメージを表現するうえで、またチャンスを逃さず撮影してゆくうえで、とても重要になります。

このスキルがあると、現場で感じた空気や自然の脈動を肌で感じとった後、どこに自分のポイントを置いて撮影するかが、瞬時に判断できるようになります。たとえばあなたがいま、ある動物の動きを見ているとすれば、その動物が、あなたの直観によって、次にどう動くだろうかということが判断でき、結果、どこにカメラを運び撮影したら良いのかが、わかるようになります。

つまり、直観が磨かれると、物事の本質と先が読めるようになるのです。

著者であるブレンダは、ここまで噛み砕いて書いていませんが、内容はこのことを暗示しています。

【ポイント】
直観を磨くことで、予測ができるようになる。また、目の前の風景で、何がエッセンスとなっているか、自分の写真表現の意図が、瞬時に判断できるようになる。

どう直観を磨くのかについては、←こちらの記事をどうぞ


今日の内容2
【自然の中のジェスチャーをとらえる】

次の写真をみてみましょう。

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クマが膝をかいていて少しお茶目で可愛らしいしぐさですね。

これは、擬人法的な写真の捉え方です。本書中では著者ブレンダも、完全に擬人法とは言っていませんが、人間にもある温かみのある関係や愛情を、寄り添う動物や花々のたわむれのように、ジェスチャーをこめると、表現が豊かになると言っています。

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このパートは、正直なことを言うと、僕はあまり使わない表現手法です。

ま、それはさておきですね。しぐさによる対象の表現方法というのが、写真では可能だということです。この場合も、事前に対象をよく研究していなければ見落とすことが多くなるでしょう。

そういったチャンスを逃さないようにするために、

・自分の自然に対する知識を日頃から養う
・現場を事前によく調べる
・撮りたい絵のためのテクニックを身につけておく

ということは、追加して覚えておくと良いと思います。

動物のジェスチャーで言えば、人のしぐさと共通するものが多いのは事実です。もし野生動物からそのようなシーンを表現してみたいのであれば、ペットを飼っていれば、そのペットを公園に連れ出して、一日一緒に過ごすだけでも、さまざまな表情を見せてくれるでしょう。また、対象の動物が大型であったり、ペットにいないようであれば、動物園は最高の練習場所です。

僕はちなみにアラスカに渡る前は、動物のしぐさをよく勉強するために、野毛山動物園へ通い詰めたことがありました。

擬人的な手法を使うということはしないですが、しぐさというのはその動物の本質を表すことでもあるので、(たとえば鳥の求愛行動では、くちばしをすり合わせたり、翼を広げてメスにアピールするという行動)そういった、動物の本質を捉えるための、とてもよい勉強になります。

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【表現ポイント】
しぐさ(ジェスチャー)というものを、植物や動物のなかに見出して、それをしたときに、撮影してみる。それが、愛情や、喜怒哀楽、平和、幸せなどの感情を表現するのに役立つことがある。


今日の内容3
【チャンスに手が届かなかった僕の後悔】

ひとつここで、本当に起こる深刻なことをお伝えしたいと思います。写真に対して真剣に考えている人ほど、よくよく聞いていただきたい。これは僕の失敗の経験からです。

すばらしい好機というのは、掴んで初めて好機といい得るのであって、事前に準備しておかなければ、表現はおろか、じつは気づきすらせずに、通り過ぎていきます。音も立てることなく過ぎ去ってゆく、取り返しのつかないものでもあるのです。

僕は自分の写真人生をかけて、アラスカの厳冬期にオオヤマネコを追っていました。オオヤマネコは、10日間かけて、遠くに1回見ることができれば良い方です。それくらい撮影高難度の野生動物です。撮影チャンスでいえば、20日間に一度あるかないか。それくらいのものであります。

そして、その撮影に挑んでいた一昨年の2月。僕はアラスカでも奥地のとある山小屋に滞在していました。

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林道からさほど離れておらず、車では行けないものの、道路から山小屋まで500mくらいの小道があり、毎日そこを行き来してました。

ある日「撮影をおえて」小屋に帰る道すがら、なんと目の前に2頭のオオヤマネコが姿を現しました。目の前です。交尾期だったので雄と雌であることは間違いなく、僕の存在をほとんど気にすることなく、その距離15mほど。荒い息遣いまで聞こえてくる近さまでせまり、そのまま森の奥へ消えてゆきました。

このときのことは、僕は一生忘れることはないでしょう。このときカメラを片付けてバッグにしまい込んでいたという後悔とともに。

こういうふうにストーリーとして語れば、それはそれで人々を楽しませることができるわけですが、僕自身、この悔しさは言葉ではいい得ないものがありました。「なぜあの時、いつものようにカメラをぶら下げていなかったんだろう…」これは僕が事前に撮影イメージをしていたオオヤマネコのオスとメスのシーンだったのです。それが目の前に来たときに、僕はカメラを持っていなかった。

現実とは、そういう影の厳しさも同時にもっているのです。ですから、準備を怠ることなくやるに越したことはないわけです。ぜひ、チャンスを逃さないで下さい。


さて、話はずいぶんと逸れました。
本題に戻ってゆきましょう。

次は、「動き」をとらえるということです。

今日の内容4
【本書から学んだ僕の作例8 動きの表現】

本書の中でExpressing Motion として語られている、動きに対する表現の方法についてです。こちらはすこしテクニカルなお話になります。

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カメラが捉える優れたことに、人の目では固定できない見え方をする」ということが挙げられます。それは、川の流れを遅いシャッタースピードで写し取り、1枚の写真にできること、逆に数千分の1秒という高速シャッターで、動きを止めて1枚の写真に表すことの2つに分けられます。

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迫力を表現したい場合は、後者の方で、アグレッシブに動く対象を画面いっぱいに配置してその動きを止めることで、迫るインパクトを出すことができます。

逆に、「動き」からでも、川の流れを滑らかに描写することで、静けさや落ち着きを表現することもできるわけです。

ここでも著者であるブレンダは、「First, ask yourself... まず自分に問うてみて…と言っています。

「what effect of motion you want to bring out, then use that answer to decide which tequniche you will give you the best result」

訳すと、

「あなたが引き出したい動きの効果は何かをまず、自分に問うてみてください。そのあとで、どのテクニックを使えば『あなたにとって』ベストな表現(答え)になるのか決めるのです。」


では、今日は半分成功、半分失敗した僕の写真を例としてみましょう。以前にも出てきましたね。

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これはシーンとしては良い写真ですが、点数をつけるとすれば75点という微妙な結果です。

ここで僕がブレンダのクエスチョンに回答すると、まず、引き出したい動きの効果は、ハチドリのホバリング(空中で飛びながら静止することができる、この鳥特有の飛行の技術)をちょうど花の蜜を吸っているときに固定したかった。これは瞬時に判断できました。ここは成功です!ここまでで50点。

では、つぎに、そのためにどのテクニックを使えばよいのか、これも瞬時に導き出せて、シャッタースピード優先で速いシャッターを切っています。なので65点は取れました。しかし、、、

1/1250秒というシャッタースピードでは、ハチドリの羽の動きを止めることはできませんでした(写真)。ここは知らない世界だったんです。それで最後の点はとることができなかった。

速いスピードであることは知っていたし、事前にハチドリの写真を見て撮影データも何度か見たことがあったので、イメージはできていましたが、「1/4000秒でなければ羽の動きは止められない」ということは自覚していませんでした。

アラスカの無人島に南から渡ってきたルーファス・ハチドリ、このシーンの後、僕の場所から飛び去り、10年たった今でも、同じ光景を目にすることはありません。厳しい現実です。


いまは速いシャッタースピードの例ですが、もう一つ行きましょう。遅いシャッタースピードを使った作例です。

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こちらは、イマージと技術の組み合わせという観点で行けば95点を取れている写真です。もちろん欲を言えば、川からサケが飛び跳ねていればなお良いですが、この1/40秒というシャッタースピードでは、飛んだサケは固定できません。

この年は、サケの遡上が芳しくなく、ここのヒグマがその現状に直面している、


以上になります。

この記事をここまで読み進めてくれた方は、おそらく写真の作品づくりを考えられている方だと思います。

これからも英語圏の教材をベースに、ハイクオリティな写真を制作するための内容を少しづつ記事にしていく予定です。

ぜひコメント・ご指摘くだされば幸いです!

                            中島たかし
              Nakashima Photography 公式ホームページ

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