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プリンセスオブザイヤー2022決勝戦観戦記

協会員であるボクが言うと手前味噌になってしまうのですが、Vtuberプロテストやfuzzカップを個人戦にしたこと、雀王戦E3リーグを放送対局にしたことや特昇リーグ新設など、どう考えても今の日本プロ麻雀協会の中には相当優秀な幹部がいる模様。

企業の方々もそういうのをツブサに見てて、先日はピンクイオンアスリートサポート様がパートナーになってくださり、今回は株式会社久様がスポンサードしてくださるとのこと。

ボクは20期前期入会で雀王戦E2リーグ所属ですから、協会の中では末席中の末席ですが、やはり身の引き締まる思いです。

そんなことを知ってか知らずか、若手が面白そうなことを始めたみたいです。よかったら大会フォローしたげてください。今日火曜日なので、今夜開幕なんじゃないかと。実はこの観戦記を今書き上げたのも、この宣伝をしたかったってのがあるんですヨ。

前置きが長くなりましたが、以下、プリンセスオブザイヤー2022決勝戦の観戦記です。

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あくまでも推測にすぎないのだけど、登場順は準決勝の勝ち上がり順なのだろうか。まずは準決勝A卓1位通過の水崎ともみさんが登場。

8期後期入会

第10・16期女流雀王決定戦2位
第7期夕刊フジ杯麻雀女王団体戦優勝
第6回フェニックスオープン優勝など

プロ歴も実績も十分。準決勝はA卓全3回戦中1・2回戦を連勝し、4人の中で1番最初に決勝進出を決めた。女流雀王戦は2022年9月25日現在Aリーグの首位を走っており、このプリンセスオブザイヤー2022を獲得し、存在感をアピールするとともに、女流雀王との同時戴冠といきたい。

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続いてはA卓2位通過の佐月麻理子さん。

11期前期入会
第14・19期女流雀王
第26期麻雀マスターズ優勝
第15・16期女流雀王決定戦4位
第20期女流雀王決定戦2位など

第13期雀竜位の武中進さんをして「今は逢川・佐月時代としてもいい」と言わしめた、協会女流の看板選手。女流雀王戦Aリーグは言うに及ばず、男女混合の雀王戦でもB1リーグに所属していて、協会初の女流雀王・雀王の2冠を目指す。彼女にとって、プリンセスオブザイヤー2022は通過点にすぎない。

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B卓1位通過、田なべもえさん。

17期前期入会
第10回チャンピオンロード〜ClubNPM〜優勝
第11回チャンピオンロード〜新人王〜優勝

チャンローについては証拠の資料も1枚貼りつけておこう。

このプリンセスオブザイヤーは、上で田なべさんが八面六臂の大活躍をしてるチャンピオンロードとルールやレギュレーションが酷似してる。この大舞台や人気と実力を兼ね備えた3人の先輩たちに萎縮しなかったらチャンスがあるんじゃないだろうか。

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安達瑠理華プロ。

最高位戦日本プロ麻雀協会所属。42期後期入会。

ここでちょっと豆知識なんだけど、最高位戦は現在第47期が最も新しい期で、これは協会で言うと21期ということになる。だから、最高位戦プロのプロ歴を協会で表すと、47−21=26引けばいい。ゆえに安達プロは42−26=16となるので、協会で言うと16期入会と同じプロ6年目だ。

つまり今回のプリンセスオブザイヤー決勝卓進出者をプロ歴の長い順に並べると、水崎さん・佐月さん・安達プロ・田なべさんとなる。

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卓についた4選手はもちろんのこと、実況の松嶋桃さん、解説の綱川隆晃さんにも緊張感が残る中、佐月さんが大きな麻雀を魅せる。

役満・国士無双の一向聴まで漕ぎ着ける。必要牌は發と9mのあと2枚。

口をキュッと結び、「今回初めて着た」と語った衣装で32000を目指す。

露骨な佐月さんの河に、安達プロが怯むことなく1枚切れの中を叩っ切る。そこに立直をかけたのは親の水崎さんだった。嵌2sを入れて赤5mを曲げる。待ちは69mだ。

すわ9mのめくり合いになるかと思いきや、立直で上家の河が無防備になったところを突いて安達プロが参戦。絶好の嵌7pをチーして36p待ちの聴牌に。ヤオチュウ牌も勝負する構えのファイティングポーズを取った。

戦前のインタビューで安達プロは「決勝進出が決まった時ではなく、準決勝進出が決まった時にドレスを購入して自分を追い込んだ。」と語った。腹の括り方を知っている人の行動だ。卓外でもだし、今局もそうなのだろう。

150人からの参加選手がいる大会の決勝戦で、国士無双と親リーにはさまれて、ボクにこの勝負ができるだろうか。

この3軒勝負は、親リーの水崎さんが安達プロへの当たり牌である3pをつかんで決着。タンヤオ・ドラ・赤の3900にリー棒と1本場を入れて5200の収入になった。

しかしこの1回戦そのものは田なべさんが安達プロをかわしてトップで終局。2人の若手が先輩たちに思ったような麻雀をさせなかった。

すると、2回戦は連対・逆連対が逆転する形に。水崎さんが点棒を持つと、安い手での局消化も決まり、1回戦連対の田なべさん・安達プロにつけ入るスキを与えなかった。

スコアは下の通りだけど、着順を見ると、
◆田なべさん1ー3
◆水崎さん4ー1
◆佐月さん3ー2
◆安達プロ2ー4
となっている。トップに+40pt、ラスに△20ptがつくプリンセスオブザイヤー2022では、1半荘のトップラスでひっくり返る点差だ。

もしボクが4回戦のうちのどれか1つのみを担当することになったとしたら、この3回戦を選んだと思う。本当は試合が始まる前に担当が割り振られるので、そんな選び方はできないんだけど…。

東1局親番の田なべさんが1枚目の發から積極的に仕掛けてホンイツを目指して行ったところ。ボクとの分岐点(腕の差)が現れる。上のツモ4sで14sの筋に不安が残るのと、赤5s引き、ダブ東の重なりを考慮して、ボクなら打1sとするところなんだけど、田なべさんは一気通貫を見て打東とした。

田なべさんの思惑に牌が応えるツモ6s。

(ああ、ボクなら2000オールだわ…。)と暗い気持ちになってたら、スクショが追いつかなかった。最後は2sツモで見事な4000オール(發・ホンイツ・一気通貫)に。

田なべさんはこの後点棒を減らしてラス目にまで落ちてしまうんだけど、南1局の親番でもうひと頑張り。

まずは2着目の西家安達プロに聴牌が入る。ドラの嵌7mを入れて、待ち取りは2pに期待できないシャンポンよりも場況と枚数で嵌3mに。

完全一向聴だった田なべさんは、25pではなく3pを暗刻にして聴牌。

力強く追いかけ立直を打つと、安達さんから8pを打ち取った。立直・タンヤオ・赤だったところに、裏ドラをめくると表示牌が2pで18000にランクアップ。プリンセスへの扉が開いた瞬間だったのかもしれない。

「もし後から観戦記の担当を決めさせてもらえるならこの3回戦だ」と言うだけあって、ボクの書きたい局はもう1つある。プリンセスへの扉が開いた18000和了のすぐ次の局、南1局1本場のことだった。

まずは、トータル2位でこの半荘も2着目の水崎さんからタンヤオの先制立直。女流雀王決定戦経験者の水崎さんは、この半荘を田なべさんに取られたら苦しくなるのが分かっていたのだろう。一発や裏ドラをつけてツモり、親の田なべさんに親被りをさせたい。また2mの暗カンにも期待できる。

押し引きが難しかったのは親の田なべさん。でも、「押し引きが難しい」と勝手に言ってるのはボクだけで、もしかしたら田なべさんはこのツモを想定してたのかもしれない。絶好のペン7pを入れて14s待ちで再び追いかける。13000点のリードを守るという発想はなかったのだろうか。もし取材が許されるなら聞いてみたいところだ。役ありで、1sは先制立直の現物だし。

水崎さんの立直が47s待ちで、田なべさんの立直は14s待ち。4sの行方が気になるところなんだけど、これが思いがけないドラマを生み出す。

佐月さんの平和・赤赤・ドラドラの一向聴に嵌4sがスッポリハマったのだ。

佐月麻理子、渾身の立直宣言。47pで跳満・倍満なんてことになったら、このnoteのトップ画もあるいは差し替えになったかもしれない。

結果は、水崎さんが自身4枚目の1sをつかんで田なべさんに5800は6100を放銃。観戦記者・中島由矩なかしまよしつねが選ぶ、プリンセスオブザイヤー2022オブザイヤーの1局を制したのは田なべさんオブザイヤーだった。

漫画「スラムダンク」で例えると、この3回戦は山王工業戦だった。

4回戦では大きな事件などなく、南4局オーラスを田なべさんが4着→2着になる、準決勝3回戦を彷彿とさせる和了りで締め、熱戦にピリオドを打った。

準決勝の時の方が嬉しそうだよなぁ…と思うのは、決勝戦の大舞台が田なべさんを萎縮させてしまったのか、はたまた大先輩3人を前に自分のしでかしたことの重大さに気づいてしまったのか。4回戦終了5秒後にはプリンセスとしての自我が芽生え始めてる。

もうすぐ5回目のMリーグが開幕するけど、赤ありでこういう大きな結果を残すとどうしてもMを意識してしまう。田なべさんが、じゃない。ボクが、だ。

なんかイロイロ書いたけど、要約すると1行にまとまるんだよな。

もえぴん、おめやでー。



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