美容室の開業 とりあえず融資申請してみても大丈夫?
金融機関に創業融資の申請をして「申し訳ありませんが、融資はできません」と言われてしまったら?
内装工事や美容機材など、大きな設備投資が必要な美容室の開業において創業融資が受けられない、または希望額の融資が受けられないとほとんどの場合は開業そのものを進めることが出来ません。他の銀行でもお金を借りようとしますが、融資申請が一度ダメとなってしまうと、その情報は金融機関の記録の残されてしまい、次の融資申請の時にも大きく影響を与えます。だから、借りられるかどうか分からないけど、とりあえず借入の申し込みをしてみよう、というのは絶対にすべきではありません。
〇一度融資の審査が落ちるとどうなるのか?
融資申請をして融資が受けられなかった場合は、金融機関に記録が残ります。例えば、日本政策金融公庫のある支店で融資申請をして融資が通過しなかった場合、他の支店に申込をしたとしても融資が通過しなかった記録は分かってしまいます。他の支店、他の担当者なら違う判断をしてくれるかもしれない、と思ってもそれは通用しません。つまり、他の支店で申請を出したとしても結果は変わらず、融資は受けられない、ということになります。一度、融資審査が通過しなかった場合は、一般的な目安としては3か月から6か月程度は再度の融資申請は難しいと言われています。この期間はただ時間が経過すればよいのではなく、あくまでも融資が通過しなかった理由が何であるかによります。融資が難しいと判断された理由を、この期間でどれだけ改善できるのかが重要であり、時間が経過すれば再度融資申請ができる、という訳ではありません。
〇融資担当者を変えたら融資は通る可能性はあるのか?
結論を言えば、その可能性はあります。融資が通るかどうかは、融資担当者とその上司の方が融資の可否の判断をすることになります。もちろん、最終の融資の可否の権限は支店長にあるわけですが、融資担当者とその上司の方がどのように判断するのかが大きく影響をします。そうは行っても、融資担当者をこちらから選ぶことは出来ません。融資面談を進めるにあたって、今のままの事業計画、状況では難しい状況である場合は、そのまま融資申請を進めるのではなく、一旦、事業計画の見直しをして再度申請をするのも1つの選択肢です。この場合は、融資審査が通らなかったという事実が残るのではなく、あくまでも融資申請の取り下げのため、次の融資申請までの再チャレンジは、融資が通過しなかった場合に比べれば早い段階で再チャレンジが可能となります。また、融資担当者が他の方になる可能性もあります。
〇融資がダメそうな人は、融資申請をすべきではない。
「創業融資、融資申請を出してみたら借りられました!」この言葉を聞くと、やっぱり出してみないと分からないのかな?と思うかもしれませんが、実際はそうではありません。
融資が通過するだけの十分な準備をしていても、自分が融資が受けられるレベルかどうか、自信があるとは言い切れない、という人がほとんどです。正直、こんな状態で融資は通過しないと思うけど、出してみないと分からないから出してみような?という方は、確実に融資は通過しません。そんなに甘くはありません。融資がダメそうな人はどんな人なのかは、過去の記事にも書いておりますが、殆どの場合は信用情報に問題があり、自己資金が少なく、自分でコツコツと貯めてきたお金ではない場合がほとんどです。出してみないと分からない、なんてことはなく、融資が通過するかどうかは、ほぼ面談の時点では分かっている場合がほとんどです。
〇融資がダメだった人が、再び融資申請するには?
融資が受けられなかった人には必ず理由があります。融資担当者はOKだと考えても、上司がNGを出した、支店長がNGを出したという場合でも、それぞれ理由があります。次の融資申請をするまでに、そのNGとなった問題が改善されているかどうかで決まります。対策を打つためには、自分が融資を受けられなかった理由が何かを正確に把握することが重要です。そして、次に、その対策が実現可能なものであるのか、どれくらいの時間をかけて準備すれば可能なのかも考えておく必要があります。
例えば、自己資金が少ないという理由で融資が受けられなかった方の場合で、翌月に追加で100万円のお金を自己資金として増やして申請すれば通過するかと言えば、おそらく無理でしょう。その100万円はどうやって準備したのかが問われます。自己資金というのは、自分がどれだけ開業に対して真剣に向き合って、コツコツと準備してきたのかを証明するためにものです。お金さえ準備すれば良い、というものではありません。自己資金が少ないために融資が受けられなかった場合は、少なくとも、融資申請が通過しなかった時から、毎月の給与からの開業のための貯金を出来るだけ多くして、このお金をコツコツと積み上げるしか方法はありません。他の人から調達した場合はほぼ認められません。
〇おわりに
融資が受けられなかった場合でも、創業融資はあきらめなければいつか必ず借りられるお金です。創業融資が一度受けられなかった方でも、その時からしっかりと準備して再チャレンジして創業融資を満額受けられた方はたくさんいます。受けられなかった事実としっかり向き合えるかが重要です。ではまた。
美容室専門税理士 中嶋 政雄
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