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2014年4冊目「日本と世界はこうなる:日下公人が読む2014年〜」

※この記事は2014年1月のものです。

とても興味深い本でした。将来を予見する本を昨年もたくさん読みました。強引に大別すると日本を人口等などのデータから分析する場合は先行きが暗いと予測し、精神などについての観点から分析する場合は日本こそ伸びるのだという論調になります。この本は後者です。

ざっくり書いていることをまとめると、
1.  2014年はグローバリズムからローカリズム(地元)へ世界が変わる
2 . その時、土着文明・文化がない人・国・地域はアイデンティティ・クライシス(我々は何者なのか?)に襲われる
3 . 一番アイデンティティがある国は日本なので、世界は日本を学ぶようになる
4 . 安倍首相は「日本を取り戻そう」と総選挙ポスターに書いたが、何年前の日本に戻すのか。極論すると日本は縄文時代にまで遡れるが、そんな大国は他にはいない。
5 . 2014年はアイデンティティ・クライシスに起因する混乱と分解が多発するが、それを説明できる世界史はまだない。

面白そうでしょう。

以下にメモランダムにキーフレーズを残しておきます。
・言語差、学歴差、階級差に紐づく人種問題がアメリカで起こる。
・多数の方言(7大とか10大方言、あるいは細くすると数十の方言)からなる中国は言語圏別に分解する。
・日本は歴史を知らなさすぎる。1964年日本社会党が中国を訪れた際に毛沢東さんは「共産党が政権を取れたのは日本軍のおかげであると」社会党が謝るのを遮った。現在の関係は、このようなことすら知らない情報劣位戦の結果である。
・情報劣位戦のおかげで、日本人は必要以上に卑屈になってきている。外務省や経済産業省の官僚に代わって、優位戦ができる人材が必要である。
・日本人同士では通用する独自の精神構造がある。例えば、「相手の悪口は言わない」「過去は水に流す」「非礼を行う相手は自滅する」「天道が許さない」「一歩引いた礼儀正しい態度で接すれば、相手も同様に接してくれる」
・一般的な国際関係論である「日本は特別高尚な国」「世界はみんな腹黒い」「白人は有色人種から略奪しても恥じない」事を知らないといけない。
・国際交渉は人脈が重要。会議で大げんかしているヨーロッパのキーパーソン同士が、スイスの別荘で家族ぐるみで付き合っている、と言う事実を知っているかどうかが重要。更にそのコミュニティに入っているかどうかが重要。
・官僚は将来を読めないので、中期計画を前提に予算措置をさせてはならない。その典型が年金問題。
・技術は必ず移転する。日本から中国、韓国の話は、以前はアメリカから日本で起きた問題とまったく同じ・
・今必要がない不急・不要産業が成長産業。ペットだとか高齢者。高齢者を会社出身者ごとに海外で居住地を作るなんてのはどうか。フィリピンに三菱OB村を作ると高齢者が現地の人と繋がり、日本企業のビジネスチャンスもできる。
・選挙区を全国1区にする。

なるほどって話もあれば???って話もあるのですが、すべて、ある論理で考えるとあるかも!と言う内容です。お奨めです。

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