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2014年39冊目「ひらめきはカオスから生まれる」

そんなに期待せずに読み始めたのですが、とても参考になりました。お勧めです。

人生であれ仕事であれ、誰にとっても「穏やかなカオス」が不可欠だ!というのが結論です。全部カオスでもなく、全部規律でもなく、少しだけカオスのエッセンスを入れるのが組織にとって有意義だということです。

議題を定めない話し合いの場を設けたり、異質の人材を輪に加えたりすることのメリットは、実に計り知れないのです。組織に余白を作り、小さなカオスを意識的に導入することで、思いもよらない「偶然:セレンディピティ」が生まれます。斬新で創造的なアイデアもそうした風土から芽吹くのです。

意外にも少しのカオスは、組織の機能を向上させ、優れた学校を設立し、革新的なビジネスを生み出し、著者の実体験として弾力性に富んだ軍隊をも創造するのです。

私は昨年4月にリクルートテクノロジーズに着任した際に、社内にある「アドバンス・テクノロジー・ラボ」に対して、組織を強化する部署だと感じました。その時は、ベル研究所の本を読んで確信したのですが、こちらの方が理解しやすい内容ですね。いくつか例を挙げておきます。

・まずは、余白の事例です。
脳は何もしていない時に「デフォルト・モード」と言う機能が動いていて、それが脳の各部とネットワークを作り、それがセレンディピティを作り出すきっかけになっているそうです。実際、ぼーっとしている時に革命的なアイデアを思いついたと言う話は沢山あります。

アインシュタインは友人との議論の後、結論が出ないと諦めて敗北宣言をして、自宅で眠りについた瞬間に特殊相対性理論を思いついたそうですGoogleのAdWordsもビリヤードの順番を待っていたエンジニアがぼーっと周囲を眺めている時に生まれたそうです。J・Kローリングもマンチェスターからロンドンへ向かう電車が事故で立ち往生している時にハリーポッターのアイデアが湧いてきたそうです。
ただし、大事なこと、それまできちんと考えると言う仕込みをしていたのです。仕込みがあるので、一見何もしていないリラックスしたタイミングでデフォルト・モードが機能し、それらが繋がったわけです。

・アメリカの子供が日本の子供に学力で遅れをとっていた80年代。当初アメリカは休み時間を減らし勉強時間を長くしていました。
ところが日本の学校をつぶさにみると休み時間が頻繁にあるのです。そこで友人と遊んだり話をすることが学力向上と相関があったのです。なんでもできる休み時間と言うカオスが日本の強さだったようです。
そう言えば楽しかったもんな(笑)

・次は異分子の事例。
2012年の大統領選挙でオバマの勝利と50州の勝敗、上院選挙も1州を除き正確に予測したネイト・シルバー。彼は選挙予測のプロではありません。ベースボール・プロスペクタスと言う野球関係の予測をしていた人なのです。
正に異分子。彼はそこで培ったノウハウを選挙予測に活かしたのです。

・スティーブ・ジョブスが大学時代にカリグラフィー(美しい文字を手書きする学問)にはまっていました。それが10年後マッキントッシュのデザインに活かされたのは有名な話ですね。これは知識の異分子の事例と言えるでしょうか。

・任天堂でドンキーコングやマリオを作った宮本茂さんも異分子。彼は技術者だらけの任天堂の中で唯一の工業デザイン出身。しかもコネ入社。まさに異分子。テレビゲームに物語を持ち込みヒット作を連発したのです。

・スタンフォード大学MBAは7割ほどのエリートにあえて3割ほどの異分子を入れることでセレンディピティを生み出すようにしているそうです。

・シリコンバレーはそもそも余白と異分子の街ですよね。

最後にカオスの手綱を取るためのルールが書かれています。

  1. 数字の誘惑に負けるな・・・なんでも数字で見れるとおもうな。数字で見ればイラク戦争は容易に制圧できるはずであった。しかし、違った。数字が不正確なのではなかった。数字で測れない問題を数字で見ようとしたことが問題であった。

  2. コントロールされたカオスであれ・・・前述のスタンフォードも生徒間のセレンディピティに全てを委ねているわけではない。日々の厳しい授業がベースにあるのです。

  3. 余白を生産的に活用せよ・・・必要な余白量を考え、供給し、そして考えるよりも動け。

  4. 異分子を迎え入れよ・・・組織内にも異分子がいる。そして本当の異分子を迎え入れよう。

  5. セレンディピティを呼び込め・・・そんな場所を作るのも良い。会議の始まる前に1分間皆がそれぞれ議論することを考える時間をとっても良い。上司が聞くのに徹しても良い。確率を上げる方法を見つけよう。

仕事で参考になります。ほんとお勧めです。

▼Business Insider Japanに寄稿しました。

▼プレイングマネジャー本 そこそこ評判良いです。良かったら読んでみてください

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