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2014年41冊め「楽観主義者の未来予測 下巻」
こっちも良いですね。
たくさんのイケテイル事例が載っています。いくつかをピックアップします。
・キヴァ(スワヒリ語で結束の意味)は個人間のマイクロファイナンスで、誰でも開発途上国の小規模事業に直接融資を行えるウェブサイト。2009年初めの段階で18万人の起業家がメンバーとして登録し、1週間に100万ドルの融資がされており、12年には融資合計は10億ドルになっていた。キヴァの融資には利子は無いが返済率は98%を超えている。(借り手は利子を払い、それはマイクロファイナンスの運営費になっている)これは特殊な例ではなく、アメリカだけで3万人の社会起業家が活動し400億ドルの資金を集めている。
・テクノフィランソロピスト(技術慈善家)たちの中で勢いを得ている概念が、インパクト投資あるいはトリプルボトムライン投資というもの。これは収益を生み出すと同時に社会問題あるいは環境問題について一定の目標を達成する企業を支援するという考え方。彼らは小切手を切ってよろしくではなく、その後の人的資本ももってくるのだ。ワクチン問題に取り組みだしたゲイツ夫妻は、チームを立ち上げて、そのチームが世界のリーダやWHOの幹部に会えるように手配した。この違いが大きな成果の違いを生み出している。
・ボトム・ビリオンに対して成功を収めた企業も出てきている。インドのアルビント・ミルズは世界の第5位のジーンズメーカ。同社のジーンズは40ー50ドル。しかし、一日2ドル以下で暮らしているボトム・ビリオンにこの値段は高すぎる。そこでラフ&タフと言う1着のジーンズの材料キットを6ドルで仕立屋を通じて販売し、大成功を収めた。
・同じくグラミン・フォンはバングラデッシュで1300万人が契約しているが、これをきっかけに仕事につけたり、マイクロファイナンスで起業できたりすることで、貧困から脱出している人が大勢出てきている。
・エネルギーについての明るい未来。太陽電池の生産製造は10年間年率45ー50%の伸びており、発電量は2000倍、価格は60%下落している。過去30年間のデータでは、生産量が2倍になるごとに、コストは20%減少する「スワンソンの法則」となっている。シリコンのコストは薄く安くなっており、さらにカーボンナノチューブを使った太陽光発電(パネルすら不要)、通常の窓をパネルにする方法の発明などが次々と起きており、更に安価な蓄電池もできてきている。アメリカは月旅行計画と同様のサンショット・イニシアチブで2020年までに75%コスト削減を掲げている。これにより、石炭よりも競争力のあるエネルギー源が生み出される。
・教育も次々に進化している。反転学習などは際たるものだ。ゲームを活用した学習法も出てきている。カーンアカデミーはすでに大きな影響力があるし、すでに教育改革を始めている。
・医療分野の発展も凄い。簡易な検査装置がアフリカなどで活用され出しており、それにより乳幼児の死亡率が下がり出している。おそらくこれにより人口増加スピードも下がるはずだ。
これらは本の一部に過ぎません。これ以外にもたくさんの事例が載っています。人間の脳は指数関数的に増える事は理解しづらいそうです。そんな兆しが満載で、ほんとワクワクする本です。
上下巻ともお勧めです。
▼前回のブックレビューです。
▼Business Insider Japanに寄稿しました。