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2014年26冊目「稼ぐ力」

大前研一さんの著書で副題として「仕事がなくなる時代の新しい働き方」「あなたは、自分の仕事に名札と値札をつけられますか?」とあります。日本で働いている会社員にとっては耳の痛い話も多いですがお勧めです。

まず最初は日本がなぜ苦しんでいるのかを統計データ等で説明しています。主なデータは2つです。

日本は先進国で唯一と言って良いほど対外投資と対内投資の差が大きいのです。つまり先進諸国は外国に投資している額とほぼ同額を自国に投資をしているのです。しかし日本は海外投資の3分の1程度しか投資をしていないのです。日本国内に金が回っていないわけです。

もう一つは労働人口です。こちらも先進国の中で唯一労働時人口が右下がりなのです。つまり、投資が少なく労働人口も減っているわけです。これは苦しいはずです。しかも、そこに数千人規模でのリストラが繰り返されました。これも大きなダメージを与えています。

では、どうすれば良いのか?

平均的な仕事をしている位では日本は勝てないというのが結論です。つまり、社会人になっても学び続けないといけないと述べています。大卒レベルの能力では食べていけなくなると言います。

その中で日本が学ばない事を示すデータがあります。大学院に占める社会人の割合です。アメリカは23%、韓国は10%、日本はわずか2%なのです。会社の外でハードとソフトの知識取得が不可欠だと言います。しかも、それは国内だけで引きこもっていてはダメだと言います。また、女性活用のために安倍政権の育休3年はあり得ないと一刀両断です。(これは私も同意見です。)

もしも大前さんが面接官であれば何を質問し、これから生きていける平均以上の人材を見極めるのかも書いてくれています。人ができない仕事を物語で話せるかどうかで判断すると言うのです。納得感高いです。

管理職になって以降のキャリアの作り方についてもアドバイスしてくれています。中間管理職として3つくらいの異なる分野での仕事経験が望ましい。例えば営業管理職を数年やった後、資材部門でコストダウンをし、更に海外駐在をするというような経験が良いと言うのです。(これも納得感高いです)

さらに上に上がれた場合は、3つの役割が求められる。1つは全くの新規事業の立上げ。2つめは事業再生。3つめはうまく行っている事業を更に伸ばす。(これも納得感高いです)もちろん、この3つともできる人はめったにいない。何屋になるか決めるという事ですね。

しかし、日本の50代に質問すると「やりがいを見つけた人」はわずか25%以下に過ぎないそうです。やりがいを自ら作り出せない人が4分の3という計算になります。これでは日本は勝てないというのがよくわかります。

これ以降は具体的な会社や施策に対して大前さんの意見が書かれています。

例えばIBMがコンサル領域へ進出決めた後、黒字のPC事業を売却したのは慧眼。

アップルは無料アプリのせいでマージンを取れなくなり凋落する可能性が高い。

ソフトバンクのアメリカ進出は、国を超えて成功したキャリアは無いので失敗する。

NTTはKDDIも合併することが生き残る道。

EVは安い原発前提の技術のため未来は暗い。

マクドナルドのバリューセットはカスタマ不在で、CVS含め競争激化で厳しい。

日本各社は後継者選びで失敗する可能性が高い。

最後は大前さんの英語勉強法が書かれています。

耳の痛い話も多いですが、お勧めです。

▼前回のブックレビューです。

▼プレイングマネジャーを助ける本を書き、12/18から発売しています。


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