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2014年40冊目「楽観主義者の未来予測 上巻 原題 ABUNDANCE The Future is Better Than You Think」

とても面白かったです。お勧めです。

著者が予想する未来は、「90億人の人々が、清潔な水と、栄養価の高い食べ物、手頃な価格の住宅、個人別の教育、最高水準の医療、そして汚染の原因とならないエネルギーを手にしている世界」が実現できると主張します。

その前提は、次の4つを活用することです。
「(線形的にではなく)指数関数的に成長するテクノロジー」、
「DIY革命」、
「テクノフィランソロピスト」
「ライジングビリオン(成長する10億人)」。

この本を読むまで、このようなビジョンは考えたこともなく、タイトルを見ても楽観的すぎるのではないかと思っていました。しかし、それは逆で、私たちが悲観すぎるせいであり、その原因は私たちの脳の働き(悲観を4倍大きく感じる)、置かれている環境(悲観的なニュースばかり取り上げられる)によりバイアスがかかっている可能性が高いと思えました。

簡単に言うとこの本の副題の「未来はあなたが思っているよりも明るい」と思える本です。皆が読んで、行動を起こす人が増えると世界が変わると思えます。

上巻のポイントを記載します。

【全体像】

・18世紀末にマルサスは「人口が増加する力は、土地が人間のために食料を生み出す力よりもはるかに大きい:人口論」と唱え、様々な人が繰り返し指摘した結果、1960年代にはコンセンサスらしきものができ上がった。

・1972年には成長の限界がローマクラブから発表され1200万部が売れ、世界に恐怖を与えた。

・結果、人口を抑制する必要がある。と言う話になったが、トップダウン式で人口抑制に成功した話はほとんどない。

・人口を減らせないのであれば、パイを大きくすることを考えれば良い。これは目新しい考えではないが、現代はその実現可能性が大きく向上している。

・その変化を起こす力は3つあり、それらはテクノロジーにより支えられている。

・1つめは「DIY革命」。そのレベルは凄まじく、少人数のグループが大企業が諦めた宇宙飛行を実現させたり、ヒトゲノム配列解読競争で米国政府と引き分けたりしている。

・2つめは「テクノフィランソロピスト:技術慈善家」の台頭。自らの莫大な財産を世界的課題解決に使っている。ビル・ゲイツはマラリア撲滅、マーク・ザッカーバーグは教育変革、ebay創業者夫妻は発展途上国での電気普及。若くして成功した人たちが、世界全体のことを考え出している。

・3つめはライジングビリオン。ピラミッドのボトムビリオン(底辺の10億人)が、ネット、マイクロファイナンス、ワイヤレス通信などによりライジングビリオンになりつつある。

これら3つと指数関数的に成長するテクノロジーが組み合わさると、地球のパイを大きくすることができる可能性が高い。

・この本は、このパイのことを「潤沢さ」と呼んでいる。「潤沢さ」はマズローの人間の欲求の階層構造によく似た「潤沢のピラミッド」で表現している。

このピラミッドの一番底辺は「身体的欲求に対処」することになる。つまり、十分な水と食料、そして住宅の提供である。(現在数十億人が安全な水を入手できす、26億人が最低限の下水を利用できず、20年までにこの不足により1億人以上が亡くなると推定されている。その大半は乳幼児である)実は乳幼児の死亡と人口増加は相関がある。乳幼児がたくさん死ぬので、たくさん子供を作るのである。健康状態を改善すると人口増加が止まる。

・ピラミッドの2層めは、エネルギー、教育、情報・通信である。これらが組み合わさると、短期は生活水準を高め、長期には「専門化」と「交換」への道が開かれる。教育により専門性が高まり、情報・通信により、専門家どうしが交換できるようになる。そしてエネルギーにより、動物のフンなどを暖房や料理に使っている35億人の健康と大気汚染が改善される。

・最上位層は健康と自由だ。これは理解しやすい。

・この上巻の特徴として約90pにわたる参考図版が挙げられる。その中でも、各国の状況が大きく改善しているデータがある。TEDで最高の統計学と言われているもの、ぜひ見て欲しい。

【指数関数的テクノロジー】

・実は技術の進歩は、線形的(つまり直線的)ではなく、指数関数的(つまり、爆発的)に進歩する。例えば飛行機から宇宙飛行。1953年時点で宇宙旅行のテクノロジーがなに一つ存在していなかったのに、57年にソ連がスプートニクを打上げた。これ以外にも、半導体業界のムーアの法則。カーツワイルの予測。

・つまり、我々が知らない、気づかないだけでテクノロジーは凄まじい勢いで進化している。その進化により、医療、教育、エネルギー、通信、水、食料分野でよりエコで循環可能なシステムができる兆しができつつある。

・汚水から安価に安全な水を作る技術。水だけで農作物を作る技術。水産資源も同様だ。あるいは、エネルギーも太陽光の技術が飛躍的に向上し、こちらがメインで、火力等がもしもの時のエネルギーにする可能性も出てきている。

【ピラミッドの底部を作る】

・これらの指数関数的テクノロジーの進化が、ライジングビリオンの可能性を高めている。70%から80%の性能だが価格は10分の1と言う商品を作ることができてきて、それが彼らの生活を一変させている。例えば携帯電話。安価な携帯電話が普及した為、そこを通して教育が出来たり、マイクロファイナンスができたり、つまり、彼ら自身がビジネスを始める可能性が高いどんどん広がってい。10年前には考えられなかったことだ。つまり、大きな市場ができつつあると言うこと。と同時に大きな才能が出てくる可能性あると言うこと。

あまりに中身が多くてサマリにくいです。

ともかく

私たちが感じている以上に世界は可能性があると思えます。

ひきつづき下巻もどうぞ。

▼プレイングマネジャー本 そこそこ評判良いです。良かったら読んでみてください。

▼中尾塾(経営者塾)とTTPS(徹底的にパクって進化させる)勉強会共催でアンコンシャスバイアス勉強会します。良かったら参加ください。


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