きれいな目がなんで?
佐藤秀明『三島由紀夫 悲劇への衝動』(岩波書店)を読み終えました。
三島45年の生涯をコンパクトにたどれる良著です。
読後感。
「なんでこんな風になってしまったのかなあ」。
三島は、30代に入った頃から、右翼的な思想家になって行くのですが、私は20代の三島が好きです。
すべての絶対的なものを拒否して、第2次世界大戦後の焦土に、たった1人で立っていた三島。
世界はすべて空虚である。
すべてのものはニセモノである。
しかしそれをもうごまかさないで、生きて行こう。
牢獄の死刑囚。
しかし自由のために死ぬ、誇り高い死刑囚として。
みたいな三島が好きでした。
三島の20代後半の恋人だった豊田貞子さんは、後年の三島が主演した映画を最後まで見れなかったと聞いています。
「あの、きれいな目をした公威さん(三島)はもういません」
みたいな感想を持たれたと。
わたしも三島には最後まで、すべての絶対性を拒否して生きる、きれいな目の芸術家であって欲しかったです。
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最後まで読んでくださって、本当にありがとうございます。これからもがんばります。中村 拝。