いつからだろう

おんがく.8

よるのあと／adieu

THE 有村架純主演映画「ナラタージュ」主題歌を歌った正体不明の歌手adieu。その正体は上白石萌歌でしたとさ。THE FIRST TAKEの１回目を飾ったのは実は彼女。透き通る歌声に力強い眼差し。多くのアーティストから楽曲提供を受け、いまもadieu名義で歌手活動にガッツリ取り組んでいる。

『あなたが嘘をつかなくても生きていけますように』と手を離したことは幾度かありますが、あれは幻だったんでしょうか。
なぜ嘘を吐くのでしょうか。なぜバレていないと思えるのでしょうか。不自然な一挙一動に気づかれないと思っているのか、気づかれていても確信を持つことはできないであろうから何も言われないと思っているのか。
他人を舐めすぎなのでは。
日常に織り交ぜられた類の嘘は、苦し紛れの嘘とは以って異なると感じます。さらには、用意周到であるならまだしも、あなたごときの拙い嘘にこちらが騙されると本当に思っているのか、今一度正気を問いたい。
嘘をもってして、何を願うのか。どこへ向かうのか。
騙す方にも騙される方にも覚悟が必要です。その嘘で何を守るのか、護った気になっているのか、どうぞ教えて頂きたい。
愚直なほどにやわな懺悔を、揺れに揺れる定まることのない歩みを、わたしは責めたことはない。それがどんなに勝手であろうと、どんなに不誠実であろうと、それは実直な感情なので。
しかし、嘘は、嘘なので。
騙せるという驕りや自己感情第一優先を隠しながら押し通す卑しさをはらんでいることに、嘘吐き本人すら麻痺して気づかなくなる恐ろしい呪いです。

『持った思い出のすべて悲しみだけじゃ寂しいでしょう　よるのあと　まじない解いてあげるわ』

吐いた嘘で気づけばがんじがらめになっているあなたが、其れらを丁寧にほどいて、あなたらしく笑っていられますように。

何回も何千回も願いながら『さよなら』。

2022.12.7