れいわ新選組の増税反対デモに参加してみた話

「デモ」という言葉を聞くと、どういった情景を想像されるでしょうか。
激突する群衆と警備隊。炸裂する火炎瓶。鳴り響く怒号、鬨(とき)の声・・・。

・・・そんなエンドゲームのような激突シーンはございません。もっと明るくポップな行進でした。しかしそこには確かに「叫び」があったし、未来への希望、願い、祈り、様々な情念が渦巻いていた方に思う。

オールドルーキーとして社会人をはじめて4年目になるだろうか。少しばかり健康を犠牲にして日々の仕事はなんとかこなしていける。連休を使って社外の技術交流会に参加したり、同業者のコネクションを作ったり、我ながらよくやれてると思う。本当にやれるだけのことはやっている。年収は令和の世の日本男子の中央値にギリギリ届くかどうかといった所。
仕事に不満は無い。社長は昼礼で「岸田がバカだから俺が給料上げてやるしかねえんだよ」と言ってくれる昔気質ながらに懐の深い人だ。転職は今の所は考えられない。
今年に入って甥っ子が生まれた。決して不器量ではない妹を捕まえてくれた義弟は数年間を専門学校に寄り道して国家資格をゲットした俺よりも数段バキバキにカタい仕事に就いている。おそらく福利厚生も完璧だろう。自分の人生設計を考えた時、結婚や子育てに備えてこれ以上の経済的余裕を求めるために思いつく行動は、社長に「もっと給料上げてください!」とスライディング土下座をするくらいだが、さすがに強欲が過ぎるか。
「世の中に不満があるなら自分を変えろ。」は有名なセリフだが、もはや自分をカンスト寸前までレベルアップさせてしまったら?口をつぐんで孤独に暮らすよりもまだできることがある。社会を変えるために行動を起こせばいいのだ。

都内のターミナル駅を出て寂しげな映画館や家電量販店を過ぎて小奇麗に舗装された公園のような敷地を進むと空き地に人だかりが出来ていた。消費税廃止を掲げたピンクの登りがいくつもはためいて、中には反戦や反原発のメッセージが書かれたものもあった。いい歳のオッサンが人見知りを発揮しながらチラシを配っているスタッフの人におずおずと、「あの・・・初めてなんですが・・・」とデモ童貞をカミングアウトすると、「どうぞ!」と快く群衆の中に招き入れてくれた。

程なくして、短髪に刈り上げた姿勢のいいオレンジのセーター姿の代表が、広場のモニュメントの前に置かれたビールケースの上に登ってデモの開始を宣言した。

「お休みの日に大きな音で申し訳ございません。れいわ新選組代表、山本太郎でございます!」
「今日行われるデモは、どういったテーマか?・・・『さっさと景気を上げやがれ!』そういう話でございます!」

流石は元芸能人、淀みのないマイクパフォーマンスである。それから「デモ中はキチンと隊列を守って歩いてね」「体調が悪くなった方は隊列から離脱しても大丈夫だよ」という旨のレギュレーション説明がなされて、行進の際のコール&レスポンスの練習をはじめた。
「消費税!廃止!!」
「「「消費税!廃止!!」」」

適当に拳を突き上げて声を上げていると
「最前列で歩いてみませんか」という誘いを受けてしまった。カートコバーンのようなサングラスをかけたファンキーなお兄さんとお姉さん。後で調べてみると都内で活動している反原発活動をしている団体の方々だったらしい。一緒に消費税廃止のメッセージが書かれたヨガマット大の布を持って、なんとデモ隊の最前線で歩くことになった。

案内役のスタッフに丁寧が整列しながら出発。軽トラックに積んだアンプからの音楽に乗せて「消費税廃止!」のコールが響いていく。病院の傍を行進する時には音量を控えめにしながらも「医療従事者も給料上げろ!」のコール。近しい業界で仕事をしている者としては有難かったし心強さを感じた。

公園内の歩道から警察の誘導に従って車道に進み出て行進は続く。駅前に近い人通りの多いエリアに差し掛かると、デモ隊に向かって手を振って応援してくれる人も多く、減税や政治への変革への願いの高まりを感じた。

先頭を進む軽トラに積んだアンプから流れる音楽と一緒にシャボン玉が飛ばされていた。山本太郎の軽妙なノリも相まってポップな雰囲気の演出がなされていた。デモという言葉の響きが持つ暴力的なニュアンスはしっかりアク抜きされていたが、「消費税廃止!」「裏金議員も辞めちまえ!」と繰り返されるデモ隊のレスポンスの声には昔、東京ドームで観たX JAPANの復活ライブのような熱量と必死さが込められた叫びの成分が含まれていた。

物議を醸した「現金よこせ!」というコールもあったが、現在の国内の経済状況では、社会保険料や消費税によって可処分所得を巻き上げられ過ぎて国内に流通するカネの量が絶対的に不足してしまっている。言葉尻にツッコミを入れられるのは確かだが、現金給付によって景気を底上げしなければならないという政策は何も間違ったことは言っていない。

欧米においては左翼という勢力は人種問題やLBGT等の問題に傾倒して市井の人々の生活実態には全く関心を払わない鼻持ちならないエリートの集まり(バラモン左翼というらしい)というイメージが固まってしまい、そのことがトランプ大統領の誕生のきっかけになったそうだが、れいわ新選組は貧しい人々や労働者の味方としての本来的な意味での現代に蘇った左翼政党と言えるだろうか。

この文章を書いている私個人はれいわ新選組の全ての政策に賛同している訳ではない。中国資本の企業が国内の自然を破壊してソーラーパネルを設置するくらいなら原子力発電所を稼働させ続けた方が(目クソ鼻クソだが)「まだマシ」程度には考えているし、国防のために憲法改正や自衛隊を軍隊とするべきか否かという議論はあって然るべきだろう。ただ個人的には今のアメリカに尻尾を振る岸田文雄率いる腐敗した自民党のために他国と戦うというのはまっぴら御免である。

万が一、今後れいわ新選組が政権与党の立場を獲得して消費税廃止をはじめとした国内の経済回復の諸公約が達成できなかった時には、その次の選挙では別の政党を応援するだろう。民主主義とはそういうものだ。しかし国防、経済、教育、福祉、全ての国家政策において「国民から徴収した税金を上回る予算で国家は活動できない」という江戸時代や中世のような経済観を教義とする財務省の体制をガチンコで叩き潰せるのは山本太郎率いるれいわ新選組の他にはないという確信がある。立憲民主党は米山隆一をはじめとした財務省の手先が数多く在籍しているし、国民民主党は玉木代表が元財務省官僚のため強硬な姿勢はとれないだろう。大阪維新の会に関しては構造改革路線や拝金主義といった現在の自民党の悪い所を濃縮還元したような輩(やから)のような集団なのでハッキリ言って論外である。

私にできるのは職場の後輩に「選挙行ったらラーメン奢ってやるぞ」というくらいかも知れない。投票率を上げるのが重要だかられいわに投票しろと強要はできないが。
はじめて選挙活動のボランティアというものもやってみようとも考えている。

俺達の戦いはまだ始まったばかりだけど、長期連載は間違いない。

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