◉玄関に立ち尽くす。
早朝。私は朝まですっきり眠れないタイプである。
このnoteでも何回かお話したことがあるが、膀胱目覚まし時計が暴れ回るのだ。
順調に歳を重ねていますの姿勢。
先日もいつもよりも仕事の時間が遅かったのでゆっくり寝ようと思ったが目覚まし発動。
きっちり5時ちょうどに目が覚めた。
私は二度寝をあまりしないタイプだ。
しかし、何をするわけでもなく、リビングでただただ座り、一日をどういうふうにして過ごそうか考える。
朝6時半ごろ、私の足音で長男が起きてきた。
早朝から、こっちのけんとを大熱唱する長男を見て、一日の始まりは、これぐらいでないとと、勉強になった。
出発時間は、まだだったのだが今からもう仕事なんだと言いながら、家族にサプライズでマクドナルドを買いに行く事にした。
「仕事に行ってくるよ。」
と、家を出る際、玄関まで長男が見送ってくれた。
出発の景気気づけに、はいよろこんでの英語バージョンを大熱唱してくれた。
本当はサプライズでマクドナルドを買いに行くだけなのだが。
大きな声で。
しかも英語バージョン。
しっかりフルコーラスで。
なかにしさんも聴くにしさんの表情。
違うんだ我が子よ。
パパはサプライズでマクドナルドに行くだけなんだ。
本当はまだ仕事に行かなくてもいい時間だ。
ただ、妻と息子に サプライズで、仕事行ってくるよと言いながら、マクドナルドを買って帰るという。
パパはそれがやりたかっただけなのだ。
しかし、息子からしたら、そんなサプライズがあるとは当然思うはずがない。
ただひたすら、ただひたすらに仕事場という戦場に出かける父を盛大に見送るために、父を景気づけるために、こっちのけんとを大熱唱する。
しかも英語バージョン。
そして玄関で。
歌っているうちに出ていけばいいのだが。
走り出したこっちのけんとはもう止められない。
歌が終わるまで、私は靴を履いたまま、ずっと玄関に立ち尽くしているのである。
こんなに盛大に見送られてはハンバーガーを持ってまた自宅に帰ってくる自分が恥ずかしくなってくる。
ひょっとしたら息子もあれだけさっき魂揺さぶる声で歌ったのに仕事じゃなくてただただハンバーガーを買って帰るだけだったのかよというテンションになるかもしれない。
結果私は
早めにウチを出て1人マクドナルドを食べた。
息子よ。すまなかった。
私が穏やかに眠っている君を起こしてしまったからサプライズは失敗したんだ。
今度また早く目が覚めた時、パパは
はいよろこんで。
あなたがたのため。
こっそりマクドナルドを買いに行く事だろう。
それではまた。