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#短編小説

ふしぎのきもち

ふしぎのきもち

 彼は自分が知らないことなどこの世にないと思っていた。幼いころから本の虫で、ありとあらゆる本を貪るように読んだ。食事時も本を読むのをやめないものだから、母親が怒って無理やり本を取り上げると、腹を立て、ぶつぶつ不平を言っていたのを、母親は放って置いたのだが、しばらくすると静かになっている。不審に思った母親が彼を見ると、一心不乱にドレッシングのラベルを読んでいた、そんなこともあった。
 そんな具合だっ

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