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『虎のたましい人魚の涙』くどうれいん
9月。まだまだ日中は暑くて、ジャケットを着ると額に汗が滲み、コンビニやカフェでは芋や栗の商品がこれでもかと並んでいる。
未だに「ファイルを新しく作成 ショートカット」や「気遣いありがとう ビジネスメール」とちまちまGoogleで検索しながら、なんとか働いている。
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ひよっこ中のひよっこ社会人でどうしようもないが、金曜日の夜は大好きだ。三連休はもっと大好き。
先週も今週も、三連休の内の1日は蔦屋書店で過ごしている。
本棚の間をふらふら歩いて本を物色して、コーヒーを2杯飲んで、本を読んで、併設してる花屋を覗いて、5時間滞在した(居座りすぎだと思う)。
本屋のふかふかのソファに座って読み終えた、くどうれいんさんのエッセイ『虎のたましい人魚の涙』。
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突然琥珀のピアスを買ったり、ファミリーレストランでドリアを食べたり、まつ毛パーマをかけたりしながら、営業として働いた就業後に原稿に向かい、社会人と作家の二足の草鞋で歩き続けるくどうれいんさん。カッコイイ。
ドリンクバーが苦手でもドリンクバーが好きな人まで苦手に思う必要はないと思えるようになった。
中学生二年生のとき。わたしはませており、彼氏ということになっている同級生がいた。わたしが頼み込んで嫌々付き合わせていたような人で、いま思うと申し訳なくて仕方がない。
中学生の頃の恋愛は本当にわけがわからず、「彼氏ということになっている同級生」という表現があまりにもピッタリで感服してしまった。
いつもまっすぐ斜め下に差し込むように伸びているまつ毛が、くるりと上に曲がっていた。
そのあと立ち寄ったユニクロのすべての鏡でわたしは自分のまつ毛を見た。
自分の中のすでに知っている心情や感性を、著者がさらりと言葉にしてくれている時、「ああそうだ、私こう言いたかったんだ」と安心するような気持ちになる。
当たり前に知識量が足りなくて毎日困り果てながらビジネスに関する本を開いているが、週末はきちんと私が読みたい本を手に取って、芋と栗のスイーツを食べ尽くそうと思う。
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