「先生をやっていても先生じゃなくなっても幸せ・いわたつ」
明日が楽しみなのは
今日できなかったことが
できるようになるから
福島正伸
「世界各地を旅してきた、地球探検隊の中村隊長が、
僕の教育のルーツを一緒に探検してくれました。
ご自身のルーツを知る機会として、ラジオを聴きながら
一緒に思考の旅に出てもらえたら嬉しいです。」by いわたつ
「いわたつ」こと岩田 龍明さんがTwitterで紹介してくれた。voicyラジオは今の俺にとって「旅」と言ってきたが、対談相手の現在過去、そして未来を聴いて、ルーツを探求・探検しながら、一緒に自分事として思考の旅をしているから、おもしろいし飽きない。旅行会社を経営している時も今も、俺はトコトン「人が好き」なんだと思う。
いわたつは、今月から高校生向けに開校した「暮らしの藝術大学」呼びかけ人の一人。いわたつから見た「暮らしの藝術大学」呼びかけ人は旅x教育チーム。以前放送しnoteで紹介した望さん(増田望三郎さん)の「地球宿」で「暮らしの藝術大学」、「くるまざ大学」を運営する中村あっちゃん(中村あつよしさん)と出会ったという。
「暮らしの藝術大学」呼びかけ人や特任教授に共通しているのは、複数の生業を持っていること。いわたつも、元小学校教員の経験を活かして学童クラブを運営、放課後子ども支援員として、また作曲など音楽クリエイターとしても活動している。voicyラジオ対談6日間、フォローして聴いてほしい。
いわたつは、1982年生まれ32歳。彼は、「何で教育と関わりたいと思ったんだろう?」何度も自問自答した。「先生という存在がおもしろいからだ」にたどり着いた。その答えが導き出されたのは最近の事だという。「何をするか?」よりも、「なぜ?」「何のために?」が自分の中で腑に落ちると、後は経験が積み上がっていく。遠回りをしたとしても人生に無駄なことなど一つもない。
幼少時代いわたつにとって、先生は特殊な存在だった。「先生だけが住んでいる星」があるのだと思っていたが、隣の子のお父さんが先生だと知ると身近な存在に変わった。「先生って楽しいし面白い!こういう人が増えていけば社会は変わっていく」と思ったという。俺が小学6年の頃、先生に憧れを持ったのは、笑顔で仕事をしている大人が担任の先生しかいなかったことを思い出した。大人が笑顔で仕事をすると子供は変わり社会も変わっていく。
中学から吹奏楽部に入って大好きな音楽と出合い、音楽を理解して音楽を読み解く生活は、今もリコーダー演奏家や作曲家として続いている。音楽をやりながら英語教師になりたくて大学は教育学部を選択した、いわたつ。大学院時代、日本各地の学校を見る機会が、今の活動に大きく影響している。彼が先生になることを決めたのは、富山県にある堀川小学校の授業を見学したことがきっかけだ。「泣いたり笑ったりしながら、子どもが本気で自分や仲間と向き合い、自分を育てる授業」だった。大学院2年、教員時代6年の計8年間、全国の小学校を訪れる。気に入った小学校には何度も通った。まずは良いと思ったところをコピーして自分らしくやり直していく。「子どもたちは何をおもしろいと思っているのか?」世界観を共有し子どもの視点に立って一緒に楽しむと「子供の中に先生がいる」と思えた。「32名の生徒がいたら、先生である自分が33人目の生徒になる!」「子供たちを信じて待って引き出して一緒に過程を楽しむ」に共感した。ただ、小学校の教員時代、自分が生きるのに必死で「もうちょっと周りを見なよ!いつか辞めるんだよね」って周りから言われていた。そこで、「先生をサポートしながら先生を育てる仕事をしたい!」に、思いがシフトしていった。
2020年3月、青年海外協力隊でボリビアの派遣が決まった矢先、コロナで行けなくなった。「無職!?ただのおじさんじゃん!?」退職金の残高が減っていく現実、「退職してゆっくりできたのは3日間。仕事がないことが怖かった」と正直に語ってくれた。執着や大事なものを手放して身軽になることで物理的にも心も軽くなった。自分の好きなことも嫌いなところも書き出すことで自分の強みと方向性に気づく。そんなフリーランス生活2年でわかったこと。「先生をやっていても先生じゃなくなっても幸せ」。模索を続けた2年、お金の貯金より能力の貯金ができたんじゃないかな。
仕組みや仕掛けを作るのか好きな、いわたつ。「子供にかける時間のように自分にも時間をかける。」って言葉が印象的だった。「〜するべき」って無理に自分に押しつけ義務感で動くと楽しくなくなる。「やりたいからやる!」に変換し楽しく笑顔でやることが大事だと思う。「【暮らしの藝術大学(くらげ)】でやるようなことを自分でもやってみたい」って、いわたつの気持ち、よくわかる。俺も特任教授を任されて同じような気持ちだから。大切なのは、自分に優しく無駄な時間を過ごせる心のゆとり。工夫して余白の時間をつくれるかが、これからの時代を自分らしく生きる鍵だと思う。いっぱいいっぱいだと精神的余裕はなくなるが、余白時間があると自分に優しくいられる。そうすると他人にも優しくなれると思う。
身近なところでは、他人よりも何事もゆっくりで暴れん坊、発達障害の疑いのある我が息子、颯馬(ふうま)。先月まで担任のI先生は、そんなフウマにいつも優しく接してくれた。毎日の送迎時、連絡ノート、ママと同じようにI先生に甘えるフウマを見てわかった。子どもに優しい先生が増えると、もっと人に優しい社会が実現できると思った。
仮にまた、いわたつが現場の小学校教員に戻っても、同じように見えても同じではない。螺旋階段を一段上がってると思う。やりたいこと、理想を追求し、自分らしくあれ、いわたつ。
本当にさまざまな旅行者がいますが、
自分の意志で旅を続けるすべての人にあてはまるのは、
世界を経験する方法としての旅を、
ほかのたくさんの選択肢の中から
積極的に選び取ったということです。
「いま生きているという冒険」 石川直樹