私の作品が盗まれた!? ~Web小説作家の無断転載対策~ 第1章 事の発端 ~大量無断転載事件~
まずは自己紹介から。
私は中村尚裕と申します。非商業作家を名乗っております。
とあるWeb小説サイトに作品を投稿しております。小説、エッセイ、などなど。
さて、事の発端ですが。
私と同じWeb小説サイトを利用している、ある作家さんが声を挙げました。
「おい、私の作品が他サイトで勝手に公開されてる! 他の作品もあるぞ!」
実はこの声、二ヶ月前から細々と上がっていたようです。
ですが今回声を上げたのは知名度の高い作家さんで、その知名度が作家さんたちの警戒心を広く喚起した模様でした。かく言う私もその一人。
早速、問題のサイトを検索してみました。自分の作品が無断転載されていないことを祈りつつ。
——ヒット。
見事にやられていました。
タイトルも本文もそのまんま丸ごと無断転載です。ご丁寧に某国風の表紙イメージ画像まで付けられて。
ですが、私の逆鱗に触れたのはこのポイントではありません。問題なのは。
——作者名がない。
ここに何の悪意を嗅ぎ取ったかと言って、それは〝作品を盗む意思〟です。作者欄に盗っ人の名前を書き込んだら、作品は盗っ人のものとして公開されます。
それどころか、本家であるこちらの作品を〝盗作〟呼ばわりする可能性すらあり得るのです。
これを笑って済ませられないのはなぜか。
実例をこの眼で見ているからです。
それがApple社のiPadおよびiPhoneの商標権問題。
2011年にiPadが、またiPhoneについては現在に至るも、中国を始めとして世界各国で商標権、即ち名称の著作権を主張されて、金銭をたかられているのです。
これについては後述するとして。ここではまず〝無断転載が最大限の悪意をもって行われた〟とご理解いただくのが先決です。
この無断転載事件、声を上げた作家さんに留まらず、実に多数の作家さんと作品が巻き込まれていました。しかも、声を上げる端から被害が拡がっていくのです。
ここで作家さんの間に拡がった心理は。
——自分は盗っ人のために作品を書いているんじゃない!
ごもっとも。私もはらわたが煮えくり返りました。これ以上の怒りを感じたとして、誰に留めようがありましょう。
で、この事件を通して私の肝に刻みつけられた経験則と言えば。
——どこも自分の作品を守ってくれない。
これは非常にモチヴェーションの下がる事実です。ですが。
——作品を引き上げて裡に篭もれば、逆に盗っ人の思う壺。
理由は後述しますが、ともあれ戦うこと、即ち海賊版対策を講じることが建設的な解決策へ繋がるものと私は考えます。
ではどう戦うか。
それを考えるには、まず敵の思考を探らなければなりません。
次章では敵、即ち盗っ人こと無断転載者の狙いについて考察を巡らせてみましょう。
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