偏愛ラプソディー
誰かを特別に思うこと、それはもう偏愛です。
久しぶりのBL談議です。 BLはちょっとと言う人も是非聞いてください。
楽しみにしていた『25時 赤坂で』も、今週最終回を迎えます。
私は夏野寛子先生のこの作品が大好きで、眠れない夜には読み返し、もう4,5回は読んでいます。 読むと余計に眠れなくなります。
売れっ子俳優の羽山と、BLドラマで共演するチャンスをつかんだ新人俳優白崎のお話です。
この二人は大学時代に映研の先輩、後輩、の関係でした。
顔だけで,もてはやされていた羽山は、クールですが、そのころ唯一顔以外のことで自分に意見してきた白崎に特別な感情を抱いていました。
役作りの為という名目で始まった恋人ごっこも一線は超えないまま、終わりに近づいていきます。
羽山のポーカーフェイスでグイグイいくところと、羽山に翻弄される白崎の初々しさがとても面白かったのですが、原作では性的な描写も多く、実写でそこを描くのは大変だったのではないかと思います。
とはいえ、純愛にこだわって、整合性をもとめ過ぎててちょっと残念に思いました。 羽山のセリフで「欲しいもの手に入っちゃった」と「こんなにエロいならもっと早く・・・」というのが印象に残っているのですが、実写では「今ならまだキレイな思い出で終われる」って、えっ、うそでしょと思いました。 駒木根君もすきなのに、世界観が深刻すぎて、重い感じがしました。 最終回はどうなるんでしょう。
偏愛といえば、桜日梯子先生の『抱かれたい男1位に脅されています』も偏愛度高いです。 これも役者同士の話ですが、やはり性描写が多いので、実写はむずかしそうです。
西條高人は5年連続の抱かれたい男No1の座を若手新人俳優の東谷准太に奪われます。 クオーターでスペインの血を受け継ぐ准太の発情天使ぶりに翻弄される高人ですが、これも笑ってしまうくらいの偏愛度です。
そしてなんといっても偏愛度マックスは『劇場版ポルノグラファープレイバック』を含むシリーズです。 この作品は実写化されて、世界観がみごとに広がりました。 映像は壮大でキレイで、もはや文学的でした。
主人公、木島理生の不器用で偏屈な生きざまが、露わに描かれます。
「生活力もないのに、プライドだけ高く無駄に繊細で・・・」
と自ら言っていますが、その偏屈な純文学くずれのポルノ作家を、竹財輝之助さんがとても魅力的に演じられています。
出会った時は大学生だった久住春彦を演じられた猪塚健太さんもステキでした。
挿入歌はすべて鬼束ちひろさんで『書きかけの手紙』も『スロウダンス』もせつなくなります。 歌詞のなかに「普通じゃなくたってそれでいいからねと」というフレーズがあるのですが、究極の偏愛ぶりです。
三木康一郎監督、最高の恋愛ドラマをありがとうございました。
そして私が今じわじわとハマっているのが『体感予報』です。
昨年の夏頃の作品で、原作は読んでいません。
最初見た時、独特というか、偏愛に過ぎて、さすがの私もちょっと引いたんです。 でも久々みたらこの偏愛ぶりが、なかなかいいんです。
樋口幸平くんの瀬ケ崎瑞貴が、かなりの俺様で、声色といい至近距離で、もしくは耳元で発する言葉の威力がすごいんです。
この演技振り切れてるなと思います。
相手の葉君は鷹揚で自信がなくぼーっとしているから、異常なまでの偏愛を、支配と思っています。 最後にやっとこんなにも愛を向けられていたことに気が付きます。 この世の片隅にこんな偏愛が潜んでいると思うと
バカみたいだけど、うらやましい限りです。
この2人のインスタライブもアーカイブになっていて見たのですが、葉役の増田君の若干の天然ぶりと、そこをつっこむ樋口君の言葉にも愛があって、思わず笑ってしまいます。 この二人は相性がいいんですね。
という訳で久々にBLを語れて嬉しい限りです。
この広い世界で、あなただけという偏愛度が高いのがBLなんだとつくづく思いました。