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夏の宵がすきだった

 まだ夏がこんなに暑くなかった頃、夏も宵になれば、昼間の熱もほどけて気持ちいい風もとうりぬけました。

一面の宵待草を見たことありますか?
その昔、高校生の頃、母と言い争って、河川敷迄、自転車を走らせました。
あたりが暗くなりはじめた頃、河川敷一面を覆う凛とした黄色の花をみつけました。  月見草だと思っていましたが、黄色のは宵待草だそうです。
月にむかって黄金色の輝きを放ちます。
幻想的な景色に胸のすく思いでした。

宵に咲いて朝にはうそみたいにしぼんでしまう花・・・。
花言葉は、移ろいやすい不確かな恋心みたいです。
気持ちというのは移ろいやすいものです。
永遠の愛など幻想なのかも知れないですね。

私にとって夏は、さまざまなノスタルジーと共にあります。
都会の方がもう長いのに、なぜか思い出すのは田舎にいた時の土の匂いのする思い出ばかりです。
井上陽水の『少年時代』も去り行く夏を思うノスタルジーです。
この熱を帯びた空気に、ふっと隙間が見えた時、いつもその先に秋を感じて、なごりおしく、淋しい気持ちになるのですが、ここまで暑いと、ただただホッとするのかなと、思います。
あの夏の宵の時刻が好きでした。

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