巷の噂

昔からの友人と食事をしていた時の話…

「おい、あいつ覚えてるか?中学のときヤンキーだった樋口ってやつ」

「えぇ?そんな奴いたっけ?」

「ほら、いたじゃんか。取り巻きから「ひーくん」って呼ばれてた…」

「あぁ!思い出したよ、めっちゃ喧嘩っ早かったやつだよね。」

「そうそう」

「で、その樋口がどうしたの?」

「いやあいつ…」

「何、なんか隠し事?」

「あんまり大きい声では言えないんだけどさ…死んだらしいんだよ。」

「えぇ?…どうして?」 

「噂によると薬物中毒だったらしいんだ」

「嘘ぉ…そんなのテレビの中の話だと思ってたよ」

「俺も初めに聞いたときびっくりしたよ。ヤンキーだったとはいえ、まさかクスリに手を出すとはな…」

「そうだね…でも誰からそんな話聞いたの?」

「巡り巡ってだけど、俺が直接聞いたのは小泉からだな。ほら、情報通だった…」

「そんなやついたっけ?笑」

「まぁ小泉はどうでもいいんだけど、なんでも樋口のやつ、自分で使うだけじゃなくて人にも売ってたらしいんだよ」

「うわぁ…売人ってやつ?」

「そうそう。なんか「これを飲んだらハイになってまるで天国にいる気分になる」とか言ってな」

「「いかにも」な誘い文句だね笑」

「で、売ってた本人が薬物中毒で死んだってわけだ。」

「因果応報、自業自得ってやつだねぇ…」

「あと、これも小泉から聞いたんだけど樋口のやつ、クスリを売ってるって噂が広まってたらしいから取り巻きもだんだんいなくなって、葬式に来たのも最後までつるんでた大橋だけだったんだって」

「まぁ…仕方ないよね。」

「そこで大橋、こう呟いたんだってさ…」

「…何って?」

「「ひー(hi)くん…灰(ハイ)になって天国に行っちゃった…」って…」

「…もしかして…」

「…ん?」

「それ、言いたかった…だけ?」

「…今日もハイボールが美味いな…」

〜巷の噂はまだまだ続く〜

PS.このあと久々に地元に帰ったら樋口が子供連れてドラッグストアで買い物してました。クスリはクスリでも風邪薬を買ってましたよ。

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