悲しい夕日が沈んでいく。思えばこの光景も見慣れたものだ。なのに一緒に見る人や自分の気持ち次第でこの美しさも如何様にもなる。 君は綺麗な人だった。ポニーテールが似合う凛々しい人だ。いつも優柔不断な僕を見かねてなんでもリードしてくれたね。 でもそれは「たまにはアナタが引っ張ってよね」という意思の照れ隠しだったのかもしれない。 君から別れを告げられて最後に向かったのがこの海。もうじき夕日が落ちるのが見える。人はほとんどおらず、皮肉な事に波の穏やかさは僕の心中とは裏腹な
僕らがついばんだ フライドポテトから滲んだ 油の染みの広がる様が 心に一滴 静かに落とされた 艶々しい終わった恋の味に似ていた 結局のとこはそう 何も進歩していなくて 君はその事を 未だに酒の肴にしている でも進歩どころか 何も変わってないのは君だよ その笑顔も その痛いほどのまどろんだ瞳も ほらだんだん情けなくなる これだけ惑わされても心の全てを握られてるとは ほらだんだん心が染まる 勝てないから 逃げられないから ほらだんだん僕が離れてく 知らぬ間に時間はゆるりと流
ありゃ1997年の話だ 世界や日本はやっとこさ前を向いた その時に自分がこの世に生を受けた きっとこれから先の眩い未来のために 腐敗したとは言えないが 澄み切ったとも言い切れはしないな おそらく澱んだ原因の一部は 煮え切らない青春と青白く揺らめいてる希望と一抹の不安が織り成している 定まらぬジレンマだろ? 彼女が痛みに耐えていたとしても 俺は平気な顔で街をまた歩く 彼が苦しみから逃げようとしていても 俺は平気な顔でまた街を歩く そりゃ人生だから経たら色々あるよな でも貫き通
詩が響くのは君のせい トマトを好きになったのも君のせい 胸の中で 至る所で 君が零れ落ちる アンニュイな路地裏を 隙間風のようにすり抜けて 大通りはランウェイ まるでクイーンだ 凛々しく闊歩する でもホントは ため息漏らしがちで でもホントは 健気な笑顔を見せて いてくれてるから僕も君を求めたくなってしまう 詩が響くのは君のせい トマトを好きになったのも君のせい 胸の中で 至る所で 君が零れ落ちるから 繋ぎ合いたい手は暖かで でも恋の思惑は強かで 止まらないで キスす
突然の雨には 困ってしまうものだ 生憎折り畳み傘は 君が持ってたはず 思い出してしまうから 心が濡れる さよなら代わりのキスは深い罪の味 痛いほどに心がめくれる いつまで経っても想う君はつまり 僕の最後のひとなのかも 雨が止んだ後の 水溜りに映った 僕の顔はなんだか とても研ぎ澄ました だけど何かが空っぽな 透明だった 君がいなくなったから 僕もいない 寂しいのかも分からなくて だけど眠って目覚めて 次へ進む カラダだけが 前へ進んでく さよなら代わりのキスは深い罪の
君と出会って 世界が広がって 恋する事を 深く知りました 君の笑顔も 落ち込んだ背中も 全て愛しくて 心ざわめいて 「ごめんね」なんて言わないでよ 僕だってずっと出来た人間ではないから そんな瞳で僕見つめないでよ 帰り道を間違えてしまうじゃない ホテルに行きたい 下心はない ホテルに行きたい 君を抱きしめたい ホテルに行きたい 頷いてくれりゃいい ホテルに行きたい 見つめ直したい 綺麗事だけじゃもう 済まされない様な気がしてる それは君も分かってるだろ? 言葉にするのは
雨降りの夜なら 身がすくんで敵わない あの時の君の気持ちも こんなんだったんだろう 「分かり合えない」 ポツリとつぶやいた君の 長い睫毛に滴る雨粒 「僕は上手くやれてるよ」 お世辞にもそう言い切れないけど 心のスピードは速くなるばかり 「行かないでよ」「そのままでもいいよ」 空になった言葉が コンクリートを濡らす 明日には僕も変わる 昨日までの君とは違う 違和感に寂しさを感じながらも 次の恋に出会う為には 君とサヨナラしなくちゃな 生温い決意とは 裏腹な冷たい雨 ガ
「あ、やべー…ちょっとティッシュくれない?」 「またぁ?お前ほんとよく鼻血出すよね。」 「いやぁホントだよな…病院行っても良くわかんねぇって言われてさ、「良くわかんねぇじゃねぇよ!」ってツッコミそうになったわ。」 「へへへ…でもお前そんなんじゃ、私服でも白いシャツとか着れないよな、真っ赤っかになりそう。」 「そうなんだよ〜。だから服も条件反射で赤っぽいやつ買っちゃうんだよ〜。そのせいでやたら派手なやつみたいになって恥ずかしいけどな〜」 「…やばい、乗り過ごした!」
「ねぇねぇ、知ってる?」 「何が?」 「土星ってさ、真ん中に丸い星があってその周りに環があるでしょ?」 「…うん、そうだね。」 「で、実はこの環も内側と外側に分かれててね、その間の隙間のことを「カッシーニの間隙(かんげき)」って言うんだって!」 「…うん、いきなりだね、それがどうしたの?」 「…はぁ…なんで男の人ってすぐに結論を求めたがるのかなぁ?」 「いやだって…別に天文学を勉強してるわけじゃないし、未沙希も僕も別に星になんか興味無い…」
「…この一球、この一球なんだよ…」 そう呟きながら強く握った白球は、ダイヤモンドのように力強く輝いていたのをしっかりと覚えている。 脚を上げて思い切り踏み込み、上体をちぎれんばかりに捻り、その力の全てを指先に伝達させて、科学などでは証明させたくない、自分のありったけの気持ちを乗せた白球を放り投げた。 ここにいた僕らが主役だと言わんばかりに 昔から母親の玉子焼きは砂糖多めの甘い味付けで、僕はそれが大好物だった。その中で同級生とは玉子焼きが「甘い派」と「しょっぱい派
昔からの友人と食事をしていた時の話… 「おい、あいつ覚えてるか?中学のときヤンキーだった樋口ってやつ」 「えぇ?そんな奴いたっけ?」 「ほら、いたじゃんか。取り巻きから「ひーくん」って呼ばれてた…」 「あぁ!思い出したよ、めっちゃ喧嘩っ早かったやつだよね。」 「そうそう」 「で、その樋口がどうしたの?」 「いやあいつ…」 「何、なんか隠し事?」 「あんまり大きい声では言えないんだけどさ…死んだらしいんだよ。」 「えぇ?…どうして?」 「噂によると薬物中