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劇団普通『病室』

※ネタバレあり

久々の三鷹市芸術文化センター、劇団普通『病室』観てきました。
毎年おなじみ「MITAKA “Next” Selection 22nd」の1作目です(8日まで上演)。

茨城のとある病院に、入院している4人の「とうちゃん」の物語。
ベッドを模した白い箱状のセットが4つだけというシンプルなセット。
セリフは全編茨城弁。
4人はそれぞれ、家族とさまざまな問題を抱えている・・・。

で、帰宅した今の気分をひとことで言うと、

「帰省から戻ってきたときのようです」

というのも、ちょうど我が家も2年前に父の入院騒ぎがあったので、4人の中の「片岡さん」一家を見ていると、そのときのことがまざまざと蘇ってきてしまったのでした。
もちろん父と「片岡さん」はタイプはまったく違うけれど、入院中の事件のあれこれや母の苦労など思い出さずにはいられなかった…。

父を気遣い世話をやく母と、東京から帰ってきて若干入っていけない娘(私だ)。
ショッピングセンターで一緒に買い物する母娘(私もしたからわかるあの感じ)。
クルマがないと不便だ問題(田舎あるある)。
そして、若い理学療法士さんとの会話(うちの父もリハビリをしていた)。

・・もう、いちいちあるあるすぎていたたまれない気分に(笑)
全編茨城弁というのがこれまたリアリティに輪をかけてくれる、これ山口弁に変換したら、まんま地元の病院の光景になりそうですもん。

そして、なぜ私はこれを客席から観なくちゃいけないんでしょう?というギモンと、でもそれを舞台上でここまで生々しく描き出してくれるこの劇団すごい!という驚きと。ふたつを同時に抱えながらの、不思議な気分での観劇となったのでした。
この劇団が名前にも掲げている「普通」を舞台にすることの意味って何だろう?考えさせられています。 

「ふるさと」とか「家族」とかって、優しさや温かさといった良い部分もありつつ、人間の嫌〜な部分もあけすけになってしまう複雑怪奇な存在だと思うんですよね。
そこのところをじっくり描きつつ、でも、プラマイゼロよりほんのちょっとプラスかも?と感じさせてくれるのが、この作品の魅力なのかなと思います。

そんなわけで私にとっては一筋縄ではいかない作品だったわけですが、たとえば東京生まれの東京育ちの人がこれ観たらどう感じるんだろう?
わかる〜となるのか、それとも別世界のように思えるのか?
私自身はこの作品に描かれている世界がじつは日本の大きな「普通」だと思っていますが、そう実感する人ってどのくらいいるんだろう?
そんなことも気になりました。

4人の中の「佐竹さん」がめっちゃいいキャラだったなあ。
一番重い病状で、いちばん寂しい境遇のひと。
一見コワモテだけど、その率直な物言いが気持ち良く、シャイで心優しいひと。
他の3人はみんな「あるある」だけど、このひとだけは、いそうでいないのでは。
そしてこの「佐竹さん」こそが「プラマイゼロよりほんのちょっとプラスかも?」と感じさせてくれるキーパーソンであり、「普通」を演劇に繋げてくれる架け橋のような存在であった気がします。


※観劇前に久々、ひとりカフェごはん

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